Onomura SCuba diving Office

 

Diving Message (7/26/2021 update) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
  • 悲報! ダイビング雑誌の老舗が破綻しました

    【7/26/2021】

      二年ぶりの更新がこのような内容になることは非常に残念です。

     ダイビング雑誌の老舗である「マリンダイビング」を発刊していた水中造形センターが7月12日に事業を停止し、自己破産の申請を行いました。破産総額は2億円程度とみられ、長引く新型コロナウイルスの感染拡大が事業に大きな影響を与えたようです。

     法律事務所からの連絡により、この事実を知ることになりました。実は私も債権者の1人ですが、債権額は小さいので私のもとにお金が戻ってくることは ないでしょう。とはいえこれまでずいぶんとお世話になってきた会社ですので、無事精算が終わることを心から願っています。

    写真の説明はありません。

     かつてのスキューバダイビング業界では、「マリンダイビング」「ダイビングワールド」「月刊ダイバー」という三誌が競争を行ってきました。しかし2008年6月号をもってダイビングワールドは休刊し、その母体であるマリン企画も2016年9月に破綻しています。

     今回マリンダイビングが廃刊となりましたので、残るは月刊ダイバーだけなのですが、ここも業績ははかばかしくはありません。というのも2019年に月刊から隔月刊に発行期間を変更していたのですが、昨年11月には半年の休刊、そして本来発売されるべき今年の6月には、さらに1年間の休刊を発表しました。理由は新型コロナウイルス感染拡大による取材困難にともなう紙面製作の難しさをあげていますが、これは収益の圧迫も意味しますので今後も予断を許しません。下手をすると、ダイビング雑誌すべてが廃刊となる可能性も否定できないほど、危機的状況なのです。しかしダイビング産業の衰退の原因は根深いところにあり、新型コロナウイルスは最後の引き金と考えるのが一番妥当のように思います。

     ダイビング業界そのものはやはり極めて未熟な産業であり、自立した産業としての努力を怠ってきたことが今日の衰退につながっています。ライセンス取得費用の不透明さ、ショップの会員に自動的に引き込み高額機材の購入を強要する、あの手この手でツアーに強制的に参加させ、ある程度の利益が回収できると会員をポイ捨てする、ろくな経験もないアルバイトダイバーをスタッフとしてこき使うなど、業界としても問題が非常に大きいように思います。

     業界大手のダイビングショップも日々栄枯盛衰を繰り返しており、きちんとしたビジネスを行っているのは、海を愛しスキューバダイビングというレジャーをきちんと守ろうとする心ある個人インストラクターが営む店だけのように思います。顧客の価値をきちんと考え、最高のサービスを提供して対価を頂戴する。そのサービスの心地よさから、リピートの顧客が生まれる。これがビジネスとしての基本のはずです。逆に自らの利益を優先し、何があっても顧客から一定の利益をぼったくり、回収が済めばあとは放り出す、というのはビジネスとして明らかに誤っているように思います。

     ダイビング業界は、大きな曲がり角です。この曲がり角を乗り越えられるか否かは、本当に海とスキューバダイビングを愛する心あるプロフェッショナルの志にかかっているように思います。