9月第1週目のWeekly reportです。
いよいよ今週から9月です。しょっぱなから台風のようですが、8月下旬からめずらしく、涼しい日が続いています。
新型インフルエンザの流行が本格的になり、各地で猛威をふるっています。出現当時の状況を考えると数十倍・数百倍の速度で感染が広がっているにもかかわらず、その対策についてあまり真剣さを感じないのが今回の流行です。マスクなどの枯渇がうそのようであり、電車の車中にもあまりマスク姿の方をみかけなくなりました。これが「マスクは基本的に感染予防には役立たたない」という認識の普及の結果であれば問題はありませんが、どうもそうではなさそうなのが今回の状況です。
日本人はもともと危機意識に薄く、「のど元すぎれば熱さを忘れる」という諺が存在するように、来たるべき危機に慣れてしまうという特性があるようです。今回ももともとの意識だけが原因なのであれば、それほど問題視する必要もないのかもしれません。しかしどうもそこには、マスメディアの報道意識とチャネル増に伴う情報過多が存在するような気がしますし、それが私には危険に思えます。ひらたくいえば、インフルエンザに慣れてしまっているのです。
これだけ情報網が世界に張り巡らされた今、マスメディアはこぞって新規なネタを探しています。それが芸能人の麻薬問題であれ政治家のスキャンダルであれ、新しいネタにはこぞって飛びつきますし、各社が生き残りをかけて多方面の取材と報道を続けます。それが加熱するとプライバシー問題ややらせ問題につながっていきますが、程度の差はあれすべてのマスメディアが一つのテーマに殺到するのが常です。今回のインフルエンザも感染当初はすべてのマスメディアが殺到して報道を行いましたが、その結果として受け手側に過飽和感が生まれてしまいます。さらに多様な角度からの取材や報道がその感覚を強めてしまい、数日のうちにあらゆる情報が今更感が強くなっていきます。そうなるとそのテーマは終わりであり、次の刺激の強いテーマを求めて報道が行われる、これが現在の報道の状況です。
同時にその加熱した報道の影で、本来もっと報道されるべき事件が結果的に隠蔽される、といったことも起きてしまっています。かつてライブドアの摘発の際には、その捜査情報と強制捜査開始時刻の異例さから、情報操作が強く疑われたことを忘れてはなりません。(翌日に予定された某重大事件の証人喚問のニュースがめだたなくなるよう、強制捜査が行われたようです。)
このようにマスメディアの報道姿勢が加熱すると、結果的に報道の中立性を保とうにも一部の人間の操作によってそのあり方を操作させれてしまうこことが危惧されます。主要政党において政治のスキャンダルが発生した場合は、必ずライバル政党のスキャンダルも表沙汰になりますし、今回の麻薬を利用した芸能人の保釈も歴史的大敗を記した選挙報道の影で行われるのでしょう。
すべての報道が真実であることはありえません。もちろん報道の中立性や正確性を論じるつもりはありませんし、現在の報道が特に恣意的とも思いません。しかし過多な報道による情報が、我々の判断を狂わせているのは事実ですし、その過熱状況は本当の危険意識を鈍らせているのも事実です。危機になれることなく、さりとて過剰に反応することもなく、現在の環境を静かに見回し次の一歩に備える必要が、我々に要求されています。
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・新人全員、専門家と面談 社員のメンタル、徹底的に対策 脳と心 医療・ケア最前線
・「セブン」はMSを救えるか クラウド一体提供がカギ
・電子書籍ビジネス始動 国内出版、IT業界と連携 独自端末構想が浮上
・ドコモ in
アジア 大型出資解禁「口」も出す 委員会もうけ経営に関与
・PCデータ遠隔消去ゾクゾク 富士通やIIJ サービス分野強化
・電動補助自転車2倍 ヤマト運輸、車から切替 集配体制整備 都市部で小型店増
・EV版「リナックス」登場 慶大初VB「シムドライブ」設立
・携帯+小型プロジェクター 手軽にプレゼン NECがシステム
・LED照明 鍾乳洞に魅惑の助っ人 コケ発生減演出多彩に 観光客呼び戻しに期待
・小さく素早くネット ネットウォーカー
・全日空 二輪「同乗」ツアー、九州も 大型スクーターOK
今週は、どんな一週間なのでしょうか。