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 December Fourth week

 またまた食肉業界が揺れています。

 事の発端は焼き肉店におけるユッケ事件ですが、厚労省は生食する食肉全般について調査を進めた結果、これまでは表面にしか存在しないとされていた病原性大腸菌O−157が、レバー内部から発見されました。これにより、レバーも生食が禁止される可能性がでてきましたし、ユッケ事件に続き焼き肉店に深刻な影響を与えることになりそうです。

 レバーの生食は戦後の食糧難を背景に始まったようであり、日本人の生食好きから全国に広まったようです。ユッケやレバーは牛ですが、それ以外にも鳥や鹿、猪、鯨など、さまざまな肉を生で食べる習慣が昔から日本ではあるようです。もちろん世界でも生肉を食べる習慣はありますが、これだけ多くの種類の動物を生食で食べるのは日本だけかもしれません。

 今回の件によって、残念ながらユッケ同様レバーも、生食が原則禁止となる可能性が高まりました。さらにユッケと違い、レバー内部から病原菌が検出されたということは、表面の加熱だけでは殺菌できないことを意味します。したがって実際に今までは死亡事故は起きていませんが、「羮に懲りて膾を吹く」体質を持っている厚労省ですので、レバーの生食を黙認する可能性は低そうです。さらに国民の安全のためという原則を根拠として、今後すべての家畜の肉を生で食することが全面的に禁止される可能性もあります。こうして、日本の食文化がまたひとつ、この世から消滅することになりそうです。

 しかしこの考え方は、必ずしも正しいと思えないのは私だけなのでしょうか。こういった危険性が隠蔽され、危険な物質が国民に広く提供される状態は当然望ましくありません。だからといって、一罰百戒がごとく一つの危険によってすべてを規制対象にするのであれば、今後あらゆるものが国家に統制されてしまう可能性が生まれます。さらに皮肉なことは、その統制によって危険性がすべてなくなるわけでもない点です。それどころかこういった規制を行うと、確実に人間の想像力が奪われます。「まさか、××になるとは思わなかった。」という言葉が出てくるのは、想像力の欠如を意味します。すべてを規制して誰もが何も考えなくてよい状態になれば、危険性を想像できない人間が確実に増えます。その人間が子供を育てるのですから、子供の想像力がないのは当然のこととなってしまいます。最近つくづく思うのは、その顕著な事例が原発問題ということです。危険性を想像する力が弱いからこそ、現在の末期的な事態を国家が自ら招いてしまったと私は考えています。

 日本はもともと、大人の文化を持っていました。大人が自らの規範に沿って判断し、社会のルールを守ることは当然という考えがあったはずです。しかし戦後の日本は米国に子供の国にされてしまい、大人の文化が徐々に失われています。ルールを破るのはルールを知らない人間が悪いのであり、ルールを知った大人が教えるべきです。逆にルールを守れない人間に合わせてルールを強化したり、ルールを守っている大人にさらにそれを強いるのは間違いです。シルバーシートはなくても老人に席を譲るべきですし、それはすべての席で行われるべきものです。シルバーシートを作ったから他の席が譲られることが減りましたし、逆にシルバーシートに堂々と座る子供のような若者が増えるのです。逆にルールを強化するからこそ、その隙間は増えますし、その隙間で堂々と悪いことをできる人間が増えます。ルールを守らないのではなく、ルールの隙間があるのだから勝手気ままに行動する。これは子供の論理です。大人であれば、隙間があるからこそそれをゆとりと解釈し、そこで人間として誤った行動をすることは大人が止めるべきなのです。しかし現状は、ルールの隙間をなくすためにさらなるルールを作り出し、悪い人間はその隙間をさらに探して勝手を行う、といった状況が続いてしまっています。サブプライムを生んだアメリカがそれであり、同様の事象が日本でも起きているのです。

 たばこの危険性は、広く世間に認識されています。そしてたばこは、成人しか購入することも喫煙することもできません。それでもたばこのパッケージには、「体に悪い」だの「妊婦は胎児に影響がある」だのしつこいぐらいの警告が表示されています。その上で喫煙をするのは個人の自由ですし、大人の権利です。健康を害することを知ってその行動を行うのは、基本的に個人の自由だからなのです。となれば食肉の生食も、同様に大人の権利と考え、危険性をきちんと認識した上でそれを食べるのは自由とすべきと私は考えます。たばこ同様子供が判断できないのであれば、成人でなければ食肉を生で食べることを禁止すればよいのです。

 もちろん基本的な安全性を守るために、すべての飲食店に義務づけられている飲食店営業許可と食品衛生責任者だけでなく、ふぐ調理師のような生食用の肉を取り扱う免許制を取る必要はあると思います。逆にそういった提供側がそういったルールをきちんと守れば、提供側は営業を継続でき、国民は自分の好きなものを好きに食べることができるようにすべきと私は考えます。一方的な禁止ではなく、大人としてのルールを示し、守れる人間はそのルールの中で楽しみを得ればよいと私は考えるのです。それこそ、大人の楽しみなのだと私には思えるのです。

 子供化する社会の中で、大人として考え続ける。これが現在の日本において、一番大切なことと思います。狂牛病以来の焼き肉店への逆風は、どのような結果を現代社会にもたらすのか、私には興味が尽きません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・「HTML5」離陸期に 動画や音楽 専用ソフトなしで再生 大手サイトや広告に続々
・先端技術で家庭に蓄電池 ソニー:軽くて長寿命に 日立工機:精密機器も動く
・タブレットで学習 アプリ開発 サーバ大、初心者用アプリ 時間と費用大幅削減
・電子看板、広がる広告利用 新たなメディアに期待
・トラック、HV普及進まず 米ダイムラー「ディーゼル主流」 新興国向け価格など課題
・ウィルコム蘇生 ソフトバンク流 料金割安プラン、若者に即効 端末:新型、矢継ぎ早投入
・2度目の好機 起業家走る 仮想世界スマホに移植
・スマホで迅速は医者 日本交通とMS 運用費など1/10
・社内システムにデータを直送 ネット上のクチコミ分析 ホットリンク 連携機能を強化
・座席の圧力で個人識別 産業技術大 システム開発 車両盗難防止に活用
・米でEV用電池部品 樹脂のパイオラックス タイ年中に 日立の現地生産受け
・ITインフラ再建支援 タイ復旧 富士通や日立系 クラウド無償で提供 日本企業向け
・オリンパス、323億円赤字 4〜9月才数通期予想は未定
・アイテム課金「元祖」上陸 韓国系ゲーム会社ネクソン東証上場 家庭用ソフト会社”応戦”
・基幹システムの運用受託 SCSK 費用、自前より大幅削減
・先端和製IT海外へ 日立系:漏洩対策ソフトを販売 ドコモ:アジアに情報配信基盤
・ビッグデータ分析対等 IDC調べ 来年のITトレンド
・医師の9割が経験 最近1年のヒヤリハット 「月に1度以上」も33%
・食品の生産履歴管理システム 米IBM、中国で構築 第一弾は豚肉

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。