消費税の増税が決定しました。これによってますます経済状況が悪化することを、本当に懸念せざるを得ない状況になってきました。
しかし最近のメディアは民主党の分裂のみを報道し、消費税に関する報道はほとんど行わないのは本当に不思議に思えます。政治の混迷が現在の経済状況を作り上げていることは間違いないので、それを論じる姿勢は理解できます。しかし今後の日本経済を考えると、この混迷の中でさらに税を引き上げればますます経済状況が悪化することをメディアがどうして報じないのか、私には理解できません。
消費税は合理的な税ですが、確実に低所得者に影響が出ます。高額所得者は贅沢品の購入を控えれば増税分の負担を軽減することが出来ますが、低所得者は生活必需品に増税が及ぶため家計を直撃する事態になります。高額所得者が消費行動を控え、低所得者は生活に困窮し、社会福祉に頼る。これではいくら増税しても、経済状況が好転することはあり得ません。
今やらなければならないことは、堅調な経済成長と確実な消費行動を起こさせること以外ありえません。皆に仕事があり、働き、財を生み、税を納める。豊かな生活のために消費を行い、経済が循環する。財を生み経済が循環するので、税も徴収できる。十分な税収があるからこそ、社会福祉や公共活動にそれらを投下できる。経済が活況なので福祉を利用する割合が相対的に減り、さらに経済を活況にさせる策に税を投下できる。それによって経済がさらに活性化し、という当たり前のことをしない限り、必ず破綻は起きます。まず税からとりかかるという発想も解らないではないですが、無駄遣いの塊を正すはずだった政党が結局その役目を放棄した以上、増税はありえないように私には思えます。いずれにせよ、今後の経済状況が非常に不安になってきました。
といいつつも、消費税は上がります。となると、またまたIT業界が特需に沸く状況になってきました。JR東のSuicaシステムがそのようですが、運賃計算の消費税分をプログラムにリテラル(定数)で埋めこんでいたようです。となると、2014年に8%、2015年に10%になりますので、すべてのプログラムに改修が必要となります。JR東の試算ですと、改修に一年がかかるようであり、その中で12億3千万通りもの運賃計算の相互テストが必要なようです。今後は変数にせざるを得ないにせよ、時間が限られた中で一円の価値も生まない業務に投資が必要となったようです。JR東という大手企業でこの状況ですから、多くの企業の情報システムでも同じような事象が起きている可能性が高いと思われます。まずはプログラムを精査し、消費税をリテラルで埋め込んでいる部分を発見し、スケジュールを組んでこれらを改修・テストする必要が多くの企業で始まる可能性が高まっています。おそらく調査だけでも莫大な工数がかかるでしょうし、改修・テストまで考えると、相当な投資になってしまいます。待ったなしで間違いが許されないからこそ、相当に真剣かつ迅速にこの事態に取り組む必要が生じてきました。
しかし仮に消費税をリテラルで埋め込んでいるという問題が発覚したとして、企業が本当に改修に動くのか私には疑問があります。今後のIFRSなどを考えると、すべてのシステムを改修し続けることに合理性を感じなくなる企業も増えるように私には思えるのです。とはいえ情報システムの存在なしに、企業活動を継続することは不可能。となると、結果としてクラウドやパッケージを選択する企業が、間違いなく増えると思われるのです。
もちろん基幹部分はERP、独自部分は自社開発という企業も多くなると思いますが、それでも稼働環境はHaasやPaasといったクラウド環境に移行すると思われます。となると、有利なのはクラウドを実施している大手企業とERP関連企業だけであり、一般のSIerは相当な苦戦が予想されます。消費税増税もIFRSも、企業にとっては一円の価値も生まない業務ですから、投資額を極力控えたいというのが本音のはずです。となると、SIerは消費税特需に浮かれている場合でないことに気付くはずです。
これまでIT業界は、バブル崩壊後もさまざまな特需で生き延びてきました。しかし今回の特需の裏には、これまでのIT業界の終焉を予感させる因子が潜んでいます。その事実に真剣に立ち向かい積極的な舵きりを行えるかが、業界の未来を決めることになると私は考えています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・蓄電池、来夏16万キロワット 節電対策で能力拡大、5万世帯分
・スマホ回線 綱渡りの夏 無償ルーター100万台 混雑緩和 収益強化
・EV急速充電 課金探る トヨタなど:実証実験を開始 住商:広告組み合わせ
・データセンター 日刊で顧客争奪 震災、リスク分散の動き 釜山周辺、4割安で攻勢
・米HP、個人注力 副社長会見「8」タブレット投入
・リコー、独社を買収 IT強化
・食品規格書 作成容易に ヤマトシステム開発 クラウドで自動処理 原材料情報などDB化
・機内でWiFi 全日空・日航、国際線で
・IC乗車券 改修に1年 費用も前回上回る懸念 相互連携、システムが複雑
・ヤフー系、大量顧客データ消失 国内最大級トラブルか 情報共有ソフトが二次被害
・NTTデータ 世界5位狙う 売上高、15年までに 海外拠点を倍増
・極薄・極小、常に追求 金属の穴空け 松陽産業 2次電池向け市場開拓
・非接触IC、年内にも規格統一 読み取り機普及に弾み
・沖縄のデータ拠点活用 ドリーム・アーツ IT基盤提供など
・複合機、スマホと融合 パソコン介さず作業効率的に
・バナナが受話器 空き箱はPC 超音波照射や画面投影 東大が機能付加技術
・フェデックス、関空選択 北東アジアの貨物集約し発送 北米との近さ 仁川より評価
・平井ソニー 株主が喝 株価32年ぶり安値圏
・グーグル、メーカー色濃く AV機器・眼鏡型など投入 独自タブレット発表 サービス・ハード一体で
・電子看板、地デジ波活用 ストリートメディア 店舗・駅に専用端末
・パナソニック 津賀流会蔵 テレビ聖域視せず 33万人率い 復活の重責
今週は、どんな一週間なのでしょうか。