天候が不順な日々が続きます。
西日本を中心に台風を含めて大量の雨が降り続き、広島では近年まれに見る大きな災害が発生しました。各地の河川の氾濫や増水も激しいですし、多くの家屋が損害を受けています。関東も例年になく寒い日々が続きますし、本来は残暑の時期とは思えないぐらいの過ごしやすさです。伊豆熱川の地でも、8月末にすっかり秋の気配であり、今年の異常さを物語っています。
この冷夏によって野菜の収穫が大幅に減っていて、値段が高騰しています。伊豆界隈の農協の直売所も、これまで見たことがないくらい野菜が少なく、店中の棚の木目が気になる状態になっていました。このところの中国食品の問題で大幅な緊急輸入も難しそうですので、当面は家計を直撃する事態が続くのでしょう。来週には不順な天気も元に戻るような予報がでていますが、果たして本当にそうなるのかは疑問が大きいです。
この原因は地球温暖化であることは間違いありませんし、今年はエルニーニョが発生しているためとも言われています。気象庁はエルニーニョ発生にあたって、今年は冷夏の可能性が高く、北日本で多雨になることを予測していたようです。しかし6月にはそれを修正し、東・西日本は晴れが多く、北日本だけは多雨の可能性が高いと報じていました。しかしながら現実は当初予想通り冷夏の様相ですし、西日本を中心に大きな水害が発生しています。もちろん北日本の多雨も記録的のようであり、北海道では観測史上初の多雨を記録しています。
広島の土砂崩れの救出・行方不明者捜索活動は一段落し、いよいよ復旧に向けた本格的な活動が始まりそうです。継続した土砂崩れの可能性から学校に避難していた住民も、9月の学校開始とともに避難所である体育館等から退去しなければならないようです。土砂崩れで倒壊した、あるいは大きな被害を受けた住民を優先的に公営住宅に移転してもらい、少しでも多くの方が平常の生活を取り戻していただきたいと思っています。またライフラインの停止によって避難を余儀なくされている住民も少なくないようですので、一刻も早くライフラインを復旧して、元通りの生活とは行かないまでも避難所よりは遙かにましな自宅での生活を送らせてあげたいと思います。
広島の土砂崩れや土石流から学べることは、それらの可能性が高い地域にまで住宅が進出していると言うことですし、全国に数多くそういった場所が存在するということです。津波の現実を見て警戒が始まったように、今後も各地で想定外の降雨を起因とした土砂崩れの可能性はあります。自分の住んでいるエリアの状況を確認し、可能性がある地域では少しでも国や行政が防止の対策を講じていただきたいと思います。しかしなにより大切なのは一人一人の自覚と準備であることは間違いありません。土砂崩れの可能性が高まった際にどこに避難するのか、その場合に優先的に何を持ち出し、どのような行動をすべきか、足腰の弱い老人や体の不自由な人たちをどのように避難させるべきか、それぞれの家庭や地域で考えていく必要があります。その上で行政と協議し、優先的な避難場所の開放や搬送、万が一の際の究明支援などの体制を準備しなければなりません。
こういった仕組みが全国で必要となる以上、毎度申し上げるとおりクラウドを利用したIT化が重要になることは間違いありません。危険度のパラメータと住民の情報や公共施設の状況を元に、誰をどこに避難させるべきか、どういう避難方法を使わせるかなどをシミュレーションする必要があるでしょう。既往症などの病歴をもとに同様の症状を持った老人を一括して避難させることで、薬や専門医が分散しなくてすませることができるでしょうし、若手の住民を集めることで、被災のボランティアとして大きな労働力を確保することも可能になります。特殊な機器の操作や技能を持った人間を集めることで、有事の際に特殊車両や特殊技術を発揮することが可能になるでしょうし、各家庭にある復旧や救出に役立つ道具も積極的に利用できるかもしれません。
たとえば私はダイビングインストラクターですので、緊急対応の訓練を受けていますし、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDの取り扱いができる専門資格を持っています。伊豆であれば、チェーンソーや電動工具、斧やシャベル等も沢山所持していますし、緊急用の酸素吸入キット等も保有しています。重量物を階段で楽にはこぶための運搬器具も持っていますし、当然のごとく複数の潜水用の機材を保有しています。私が伊豆にいるときに近隣で災害が起きれば、私はそれらの機器を提供する、あるいは技能を提供することは当然可能です。それが伊豆に登録されていれば、間違いなくボランティアとしての戦力になると思いますし、そこで自分の専門力を発揮することをイヤだとは思いません。
普段は会社員かもしれませんが、実はこういった専門技能を持ったプロが、街中に沢山いることを我々は忘れてはなりません。ボーイスカウト経験者であれば、緊急対応の基礎やテントの設営、かまどの設置やテント張りなどは簡単にできるでしょう。もちろんロープワークも得意でしょうから、いざというときの救出や固定などで活躍できそうです。鳶職の人間であれば、高い建物での捜索や救出は出来るでしょうし、引退した看護師でもさまざまな医療支援が可能なはずです。土木や建築の専門家は家屋の危険度が判定できるでしょうし、復旧のための必要作業や手順、指示も可能なはずです。ブルドーザーやユンボ等の操作が出来る方は復旧の手伝いが可能でしょうし、ダンプの運転手であれば廃棄物の処分等に支援が可能です。
このように街のプロを災害時に効率よく稼働させることは、災害時の救出や復旧に大きな役に立つことは間違いありません。メインで活動しなくても、自治体や消防等のサポートスタッフとして機能するだけでも、人的資源の観点で豊富な予備を持つことになります。それが救命や復旧の迅速化につながるのであれば、住民である彼らにも大きなメリットがあると私には思えるのです。
となると、あとはどこに誰が住んでいるか、その人間にはどのような技能があり、どういった場面で活躍してもらえるかが明らかになれば良いだけになります。混乱した現場で自己申告されても、より大きな労力と情報操作に時間がかかるだけでしょう。そうであれば、事前にこういった能力を登録し、活用できるIT環境を構築することの方がずっと意味があるように私には思えます。仕組みは至って簡単です。クラウド環境を使って、マイナンバーや住基ネットのカードを利用し、事前に専門性を自己申告してもらえばよいのです。資格等がある場合はその番号と有効期限を入力させればいいでしょうし、信憑性は発行元の官庁とのDBとマッチングするだけで可能です。実力の見極めは必要かもしれませんが、職歴や従事年数である程度判断はつくかもしれません。また自治体にも土木や建築など専門家がたくさんいますから、それらの人間が平常業務として沿い売った経歴の審査をすることも考えられます。登録者にメリットを持たせるとすると、それらの登録を行った人間の住民税を一部控除するなどが考えられますし、万が一の際に稼働すれば、翌年の住民税から大きな控除を行えばよいと思います。あるいは避難時に住居は配給などに優遇をもたせれば、活動に対する見返りは作れるはずです。もちろん登録しても実際には参加したくない、あるいは何らかの理由で参加できないということもあるでしょう。しかしそれ以上に、何かの活躍をしたい、何らかの支援をしたいと思う人間のほうが多いと私には思えますので、仕組みとしては十分に機能すると思わざるを得ません。
毎度のごとく、その仕組みは全国統一でかまわないはずなので、どこかのSIerが構築をし、自治体に郵相で提供すればよいと思います。しかし万が一の有事の際は、その利用やシミュレーション等の費用を無償にすれば、提供企業も支援活動に参加できますし、一番コストのかかる部分が無償になれば利用する自治体も増えるはずです。
このように大きな政府をめざすのではなく、住民の専門性を活かして小さな自治体を作る。それが全国で有機的に機能した時、我々はよりよい住環境を手に入れると私には思えます。それを我々IT技術者が作り出せる未来なのであれば、我々は積極的にチャレンジする価値はあると私は信じています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・都合により、近日更新いたします。
今週は、どんな一週間なのでしょうか。