デング熱が流行しています。
代々木公園での感染が発覚して以来、日本では約70年ぶりの国内感染患者が発見され、日に日にその被害が拡散しています。今回は重篤な症状を示すことは少ないようですが、基本的には対処療法しか治療法が存在しないため注意が必要です。
デング熱はヒトスジシマカやネッタイシマカのようないわゆるヤブ蚊を介在して感染するようです。代々木公園や神宮外苑など、森が多く適度にしめった場所や水たまり等がある場所に、数多く生息しています。一日の飛行距離はそれほど長くはないようですが、それでもその数が多ければ、生息範囲が広がります。
今回のデング熱がどこ由来のものかは、今後のDNA分析等で明らかになるかもしれません。今のところ可能性が高いのは、日本国外で蚊に刺された人がデング熱ウィルスに伝染し、国内で蚊に刺されて感染を広げたということなのでしょう。発見場所が代々木公園なのでそこで感染を広げた可能性がありますが、新宿や飯田橋など都内の複数の公園でも感染が確認されているため、蚊の生息範囲は非常に広いようです。残念ながら都内で感染した人が地元に帰京し、そこでの感染も始まっているようですので、蚊のシーズンが終わる11月頃までは感染拡大が続く可能性が高いようです。
デング熱そのものの致死率はきわめて低いようですが、それでも体力の弱い老人や乳幼児を中心とした子供が感染した場合、その確率は高まってしまいます。蚊に刺されないことが一番ですが、それでも自然のことですから限界があります。当面はヤブ蚊の多い場所には近寄らないようにし、感染の沈静化を待つ必要があるようです。
世界的には、エボラ出血熱が大流行中です。これもデング熱同様効果的な治療薬は、まだ見つかっていません。この秋から効果がありそうな薬剤の投与が医療従事者を中心に行われる予定ですが、効果がどれほどのものか、副作用はどの程度生ずるのかはまだまだ不明の状況のようです。エボラ出血熱は飛沫感染のため、感染者の体液とふれあう可能性があると感染の恐れがあります。一説には蚊による鮮血液による感染もあるといわれていますので、日本国内にこの感染者が訪問すると感染拡大の可能性が広がります。今回流行しているエボラ出血熱は致死性が低いウィルスのようですので、感染拡大が懸念されています。致死性が高ければ劇症のため感染者が動けず、身の回りの人間や医療関係者しか罹患しない可能性が高いのですが、致死性が低いと、感染者がウィルスを保有したまま移動する可能性が高くなるため、広範囲に感染が広がる可能性があるのです。現実韓国でもエボラ出血熱感染者が見つかっていますし、日本も最大限の警戒を行わなくてはなりません。
現代はこれだけ多くの人々が海外旅行にいく時代ですし、それ以上に多くの外国人が国内に入ってくるのが現状でしょう。一旦国内に感染者を受け入れてしまうと感染拡大を防ぐことは難しいため、少しでも早い感染の発見と拡大の防止に努めなければなりません。成田や羽田等の空港で水際作戦がとられますが、それでも限界はあります。2020年の東京オリンピックでは数多くの外国人の来訪が予想されますので、もっと積極的な対策が必要となります。
まずはすべての海外とのルートについて、感染者が移動する可能性を明らかにする必要があると思われます。感染者の多い国からの来訪者は当然のこと、それらの国との往来に使われる空港を経由した旅行者も感染を疑わなくてはなりません。現在のサーモグライフィによる検査だけでなく、上記に関わる旅行者をきちんと精査する方法も考える必要があるでしょう。危険性のある訪問者は滞在先等を明らかにしてもらう必要があるでしょうし、場合によってはGPS機能のついたウェアラブルコンピュータを貸与し、健康管理と異常時の自動通知、ならびにその旅行者の移動経路を追跡するようにすると良いかもしれません。もちろん各地の拠点となる病院では、それらの治療体制と世界中の言葉を簡単に翻訳できる機器を用意する必要があるでしょうし、治療や投薬の効果を全国に通知できるような仕組みも必要でしょう。
大切なことは、これらも事前に作っておく必要がある者ということです。実際にパンデミックが起きてからでは、すべての仕組みをつくるのに時間がかかるだけでなく、感染拡大を防ぐことができないためです。起きない事を願うのは良いかもしれませんが、起きる可能性を真剣に受け止め、その発生前に仕組みを構築し普及していくことが大災害を防ぐ唯一の方法のように私には思えます。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・都合により、近日更新いたします。
今週は、どんな一週間なのでしょうか。