Onomura System Consulting Office       

osco top


Weekly report
next

back

 

 

 

 

osco top

 October Fourth week

 白熊が東京各地に出現しています。

 そもそもは10月8日の夕刻、渋谷のセンター街付近で外国人女性がシロクマを連れて散歩しているのを目撃されたのがきっかけでした。多くの人通りの中をシロクマはゆっくり歩き、街中に消えていったようです。多くの通行人がその正体をつかみかねた要ですが、その後シロクマは新宿に現れ、相撲を取ったり街の人をからかったりした後、東口前のステージを羽ばたき、上方に空高く飛んだそうです。

 もちろんおわかりと思いますが、これは事実ですが偶然の出来事ではありませんし、本当のシロクマが街中を散歩していたわけでもありません。これはある菓子メーカーのプロモーション活動であり、渋谷の件はロシアのパフォーマンス集団がゲリラ的に実行したもののようです。シロクマが街中を歩く映像を周囲の通行人にスマホなどに録画させ、SNS等で拡散することを狙ったようです。

 このようにSNSやYoutubeなどの新しいメディアを使った広告宣伝が、いろいろな分野で試され始めています。これまではテレビやラジオのコマーシャル、新聞や雑誌などの広告が広告宣伝の一般的なチャネルでした。多くの企業がイメージの良い歌手やタレントを使い、さまざまな形で製品やサービスを視聴者・読者に訴えてきました。その昔は、テレビのCMの長さは30秒が普通でしたが、現在ではほぼ15秒となり、番組の合間に流れるCMの種類は非常に多くなっています。これによってより多くのスポンサーを得ることができますし、スポンサーは同じ商品の宣伝を繰り返すことで、より知名度を高めることができてきました。しかしテレビや新聞、雑誌がネットの隆盛に反して凋落する中で、それらに頼った広告宣伝だけでは新しい商品の知名度を高めることが難しくなってきました。そこで考えられているのが、SNSやYoutubeを使った広告宣伝のようです。

 今回のプロモーションも、ニューズ番組を含め相当に話題になりましたので、広告宣伝効果は高かったように思われます。しかしネットで見る限り、それ以上の反響がTwitterなどであったようですので、広告会社の狙い通りだったのかもしれません。今後はこういったゲリラ的でインパクトのあるプロモーションが増えるのでしょうし、予想外の反響を生むことも十分に考えられます。

 しかしこういった広告宣伝方法は、別の問題ももたらします。現在世界的に問題になっているイスラム主義組織も、Youtubeを積極的に使った広報活動を行っています。映像のプロが作成した戦争風景を映画の予告編のように編集し、多くの種類の内容で世界中の若者に働きかけています。現在は英語が中心のようですが、やがて世界の言語に対応していくでしょうし、結果としてそれが世界中の若者を引きつけてしまう可能性も指摘されています。さらに一旦賛同やメールなどで連絡をすると、すぐにレスポンスのメールが返ってくるようですから、新興宗教同様非常に上手な勧誘活動を行っています。先日も日本の大学生が渡航しようとするなど、その内容に賛同してしまう若者が今後も増える可能性があります。

 このように新しいメディアによる新しい手法は、それを提供する側に大きなメリットをもたらします。その反面社会的な問題も惹起する可能性もありますし、まだまだ予測不能な未知の問題が生じるかもしれません。大切なことは一つの問題でそれを利用することをやめるのではなく、きちんと考え問題を解決することです。独断で専制的なやり方では問題が複雑化しますし、単に禁止するだけでは文明の進歩はあり得ません。日影はなくせなくても、コントロールは出来ます。逆に無理矢理日影をなくそうとすると、より濃い日影が生まれてしまいます。テクノロジーの進歩は、我々の道徳心やリスク管理能力も要求します。だからこそ一つ一つを諦めることなく、きちんと問題に立ち向かい、よりよい解決を見つけなければならない気がしてなりません。 

=======================================

 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・原則年内はお休みします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。