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 October Third week

 エボラ出血熱が、全世界で猛威をふるっています。

 エボラ出血熱とはエボラウィルスにより発症する病気であり、高い熱とともに内臓や鼻などから出血が続き、やがては死に至る病です。現在でも50%以上の致死率を示しており、ウィルスの種類によっては90%もの致死率になるなど、非常に危険なウィルスと言えます。

 エボラ出血熱の潜伏期間は一週間程度ですが、場合によっては一ヶ月以上も潜伏することもあるようです。しかしその感染は発症してからのため、早期に発見すれば隔離治療が行えますので、大規模な流行にはつながらない可能性が高いといえます。エボラ出血熱はエボラウィルスが原因であり、罹患者の体液の接触によって感染が起こります。唾液や血液はもちろんのこと、排泄物や吐瀉物からでも感染するため、特に医療従事者への二次感染が危険視されています。現に今回はアメリカやスペインなどで医療関係者の二次感染が生じており、その拡大を防ぐべく各国が慎重な対応を取っています。

 さらにこのウィルスの恐ろしいところは、いまだに根本的な治療薬が発見されていないところです。治癒者の血清は効果があることが証明されてきていますが、それ以外の薬はまだまだ限定的な効果しかなく、世界中の研究期間が真剣にその開発に取り組んでいます。富士フイルムの開発した新薬がエボラ出血熱に効果があるといわれていますが、まだ実験段階であり、本当に完全な治癒が見込めるかは分かっていません。

 エボラ出血熱ですが、これまでも何度か大規模な流行が起きています。元々は1976年にアフリカで発見されましたが、大規模な感染拡大はなく、ひっそりと風土病のように罹患者が発生していました。その後は数年毎に流行を繰り返してきましたが、感染範囲はアフリカに限定されることが多く、世界での大規模な流行はこれまで起きてきませんでした。

 しかし今回のエボラ出血熱は致死性が低いため、世界中に感染範囲が広がる可能性を持っています。航空網の発達により、世界中の人々がどこへでも気楽に移動できる時代ですので、一旦感染者が移動してしまうと、広範囲で被害を拡大させる可能性があります。今回のアメリカやスペインの例でも、感染者がそれらの国に移動した後に発症し、知らず知らずに感染を広げてしまったようですし、医療機関もエボラ出血熱と特定できなかったことが対応の遅れにつながっています。

 WHOによると、現在一万人近くの罹患者がアフリカにおり、これまでに五千名弱の死者が発生しています。これはこれまでの大流行の中でも最悪の数字であり、世界中の医療関係者がアフリカに渡って感染拡大を防ぐべく日夜努力を続けていますが、このままの状態が続くと、世界的な大流行の可能性すら生まれています。年内に収束できるかどうかが勝負のようであり、これが不可能となると世界はエボラ出血熱により大混乱の状況になると思われます。各国の医療機関に患者があふれるだけでなく、その治療に携わる医師や看護婦も困窮するでしょうし、世界中で渡航や移動の禁止が行われるでしょう。一国で資源や食料を確保することが難しい時代ですので、経済の停滞だけでなく広く恐慌も起きる可能性があります。収束した死しても激減した人材での対応になる可能性が高いですし、他の自然災害や耐性ウィルスなどが同時に発生すれば、人類滅亡の可能性も否定できません。国連を中心とした感染防止と収束に向けた努力に期待しますし、世界的な拡大が起きないよう本当に祈るような気持ちになります。

 アフリカは日本にとって遠い国のように思えますので、日本での感染は起きないと思っている方も少なくないと思います。しかしアフリカの空港に降り立つと、その広告の多くにに漢字が使われているという事実は、我々も知らなければならないことと私は考えます。つまり現在アフリカに最も多くの投資を行っているのが、お隣の中国なのです。となると、中国人ビジネスパーソンがアフリカを訪れる機会は多いですし、そこで感染した中国人が帰国すると、中国国内での感染拡大が予想されるのです。政治的には緊張感の高い日中関係ですが、観光やビジネスの観点での 日中のつながりは強く、多くの人々が両国を行き来しています。となると、中国で感染した人が知らず知らずに日本に入り、そこで大規模な感染拡大が起 こす可能性も低くはないと私は思います。中国政府もこの事態に真剣に取り組むと思われるのですが、これまでを考えると隠蔽体質が強い国ですから、万が一感染の事実の情報公開が遅れると、日本も相当な規模で感染が拡大 してしまうと考えられるのです。

 このような事態を少しでも軽減するために、日本での検疫を十分に行うだけでなく、帰国者や来訪者のライフログを取得するような仕組みを早期に構築すべきと私は考えます。日本に到着してからの移動ルートや時刻が明らかになれば、その 感染者の移動経路に自分の移動経路が交わったかを誰もが確認することが可能になります。そこで不安を持った人間が早期に医療機関で検査を行えば、発症前に罹患を見つけることも可能になるかもしれません。仮に罹患していなくても、事前にそういった記録が残れば感染が疑われる人々が特定しやすいですし、万が一の発症の際も隔離などが早期に進められるはずです。

 このように世界的な感染が起きる前であれば、多くのエンジニアの英知で仕組みを構築し、早期に運用を開始することが可能になります。しかしそれが起きた後では、人的資源の枯渇や作業の困難により、結局アイディアだけで被害が広がってしまうことになります。我々IT技術者が世界のために活躍しなければならないシチュエーションが、今始まろうとしています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・原則年内はお休みします。

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。