二週ほどお休みをいただきました。本当に申し訳ありませんでした。
先週ご連絡したとおり、兵庫の義父が6月11日に逝去し、通夜並びに葬儀のため、兵庫県の加古川に赴いておりました。ベトナムに赴任している上の子も慶弔休暇を取得することが出来、週末に合流して義父を見送ることができました。職人の棟梁だった義父でしたが、最後は本当にやせて小さくなっており、長きにわたる闘病の厳しさを感じました。
さてベトナム帰りの上の子としばらく話し、ベトナムの現状を知ることが出来たのは非常に面白かったです。予想通り、ベトナムは高度成長期の真っ最中だそうです。これまでは中国、韓国企業の進出が多かったようですが、ここに来て日本企業の進出も次々と始まったようです。とはいえ百貨店やスーパーなどが中心であり、製造業や運輸業などはまだまだ進出が遅れているようですから、これからの日本企業の進出に期待したいところです。高度成長期で様々なインフラの拡充も急速に進んでいますから、建築や土木関連企業の進出も望まれているようです。日本企業がそれらの分野でも存在意義を発揮することで、今後のアジアの中心国として認知されることが大切と思いますし、アジアの多くの国々も同様の気持ちを持っているように思われます。
ベトナムの話で面白いと思ったのは、「中国のゴミ箱」といわれていることでした。中国市場でも売れないような農薬に汚染されたような安価な野菜が入ってきており、一般の店舗やスーパーに安価に並ぶそうです。そのためそれらの売り場のそばには、野菜洗い用の洗剤が並んでいるそうです。ベトナムの知的層はそれを知っているため、オーガニック専門店で有機無農薬の野菜を買い求めるようですが、路上のレストランでは怪しい野菜を沢山使っているようですから注意が必要です。
ベトナムは治安がいいものの、バイクをつかったひったくり等はやはり多いようです。したがって不用意に鞄を提げていると、簡単にひったくりにあってしまうようです。まだまだ車よりバイクが多いようですし、事故も少なくはないようです。とはいえ街中が混雑しているため、最高時速でも30kmほどしか出せないそうですから、それほど重大な事故にはなりにくいというのが現状のようです。バイクの3人乗りは公的に認められているようですから、子供づれですと4〜5名を載せて走っている用ですから、事故の際にはやはり大きな影響がでるのでしょう。
こうやってベトナムの状況を聞くと、やはり日本の戦後を想像してしまいます。戦火で焼け野原となった街を再建し、人々が一から生活やビジネスを立て直しました。当初は街中をあふれていた自転車が自動車に変わり、道路は舗装され家屋や店舗が構築されました。街には子供があふれ、多くの店やサービスが次々と始まりました。道路が整備されバスが走り、郊外に伸ばされた鉄道駅の周りにベッドタウンが作られました。団地が作られて多くの家族がそこに住み、通勤で都会に向かいました。学校は次々つくられ、多くの子供がそこで学びました。生活は豊かになり、反面公害や交通事故などの新しい事象が次々発生しました。生活は豊かで便利になり、多くのレジャーが求められました。やがて街の様相はビルに変わっていき、さらに道が広がりました。そして多くの店が生まれ、量販店が沢山並び、生活が多様化していきました。
まさにベトナムはこのまっただ中なのでしょう。現在地下鉄が日本企業の手によって作られているようですし、それが整備され始めれば交通渋滞も解消していく可能性もあります。地方から都会へ人が集まり、三次産業が多く生まれるのでしょう。結果として国は豊かになり、数多くの雇用が生まれます。工場が整備され、数多くのお店も作られていくのでしょう。それを担う子供や若者は数多くいますし、十分な教育もうけていますから、間違いなくこの状況は加速します。
ただし日本と違うのは、インターネットやスマートフォンなどのITデバイスが普及して、世界に繋がるという点です。まだまだ海底ケーブルが脆弱で海外とは孤立してしまうことも少なからず発生するようですが、それでも世界中のサイトを閲覧することは可能です。情報はインターネットであっという間に拡散し、コミュニケーションも口頭に比べると遙かに密かつ短時間で行うことができます。世界の成功をリアルタイムで知ることが出来ますし、それを模倣するヒントはネットに無限に存在します。となると、我々が歩んだよりもずっと早く社会が成熟し、我々の予想もつかないような新しい考えやビジネスが生まれていく可能性もあります。
彼らの強みは、何も持っていないということであり、だからこそそれらを手中に収めるためにあらゆる手段を講じ、アプローチをしてくる点でしょう。先進国の常識に縛られることなくそれらを学び、まったく違ったアプローチで成果を出してくる可能性も高いと思われます。情報技術をはじめとした技術も積極的に活用してくるでしょうし、なにもないからこそ新しいアプローチをしてくる可能性も高いと思います。
ベトナム人は、アジア圏の中で日本に次ぐ勤勉さを持っていると言われますし、きわめて論理性の高い人種とも言われます。日本の現状を考えると、そういった国に抜かれることは想像に難くありません。だからこそ、今のこの時代から彼らと協力し、彼らの発展を手伝うと同時に彼らの力を借りることが我々に必要なことと私は考えます。他国を敵やライバルと考えることなく仲間ととらえ、よい関係を気付きながら一緒に発展する。こういった考えを持たなかった日本は、垂れ流しの支援金だけでしか諸外国との関係を築くことができませんでした。だからこそ今我々は、新しい世界とのつきあい方を考えるべきよいタイミングではないのか、と私は考えています。
ベトナムの成長が、日本の成長に繋がるような仕組み作りを、我々は考えていかなければなりません。そしてその仕組みを世界に普及させ、日本と海外がよりよい関係を作れることを我々は真剣に向き合わなければなりません。