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 June Fifth week

 今年も半分が過ぎようとしています。相変わらず日々が、ものすごい勢いで過ぎていきます。

 いよいよギリシアのデフォルトが現実味を帯びてきました。EU加盟国の火種となっていたギリシアですが、いよいよさまざまな条件を満たすことが出来ず、デフォルトが起きようとしています。これまでもロシアや韓国が国家破綻を起こしていますが、これまでと違う自国通貨を持たないデフォルトですから、今後の行く末が非常に心配されます。

 もともと国家がデフォルトを起こすのは、国内生産が低いことが主要な原因となります。内需に対して供給が不十分であれば、海外から様々な資源や物品を購入せざるを得ません。国内で生み出すお金が海外に流出しますから、国資金が苦しくなります。増税をしても十分に税収が得られなければ、国債の発行しか方法がなくなります。国債を発行すればするほど国の借金は増えますので、対外的な支払い能力が下がる、すなわちデフォルトが起きやすくなるのです。

 もともと自国通貨を持った国が破綻に近づくと、国の信用がなくなることから通貨安が起きます。となると、海外から資源や物品を購入する通貨の価値が低いため、国内で経済を循環させるしかなくなります。しかし海外に流出する通貨は相対的に減少し国内で資金が循環しますので、赤字額が徐々に吸収される、というのがこれまでの考え方でした。しかし今回のユーロ圏では、ギリシアの経済が揺らいでもユーロそのものには大きな通貨安を生みませんから、ギリシアが購入する資源や物品が減ることはありません。さらに財を生み出す民間企業の力が弱く、国民の1/4が公務員ですから、経済規模は非常に小さくなります。となると、ギリシア一国が破綻しても、ギリシアの本質的問題は何も解消できない、ということになります。今後はネーミングライツではありませんが、国内の観光資源を海外資本に売却することで、資金を得るしか方法がなくなるかもしれません。ギリシアの歴史的建造物の所有者が海外企業になるなど、本当に妙なことが起きうることが考えられます。

 この状況を生み出したのは、軍事政権後の社会主義政権といわれています。軍事政権下ではまともな経済規模と基盤をもっていたというのは皮肉な話ですが、社会主義政権になってからは国民優遇の施策が次々と実施され、結果として現状の状態がたった30年ほどで生まれてしまったようです。今後ユーロ圏にとどまるのも、自国通貨を取り戻すのもいずれの可能性もありますが、経済的に復興するまでには相当な時間がかかりそうですし、債権を多く保有しているドイツを中心としたEU諸国にも大きな負担をもたらすため、世界的な経済不況がまた起こりかねないような状況です。

 日本にとって恐ろしいのは、同様の状況がお隣の国でも起きているということです。こちらはギリシア以上に経済的な結びつきは強いため、日本経済も少なからぬダメージを負う可能性があります。現在は強硬な対日政策を採り続けたことが経済をゆがめてきた原因の一つですが、今後柔軟路線に変わっても経済そのものはそうは楽観できない状況です。

 このように世界中に経済的な不安定な状況が残っている以上、日本もオリンピック需要に浮かれることなく、これまで以上に堅調なやり方をとっていくしかありません。春闘のベースアップなど大手企業では行われたようですが、中小企業のほとんどは無理な状況であり、この好況も円安による対外輸出によってもたらされ他律的要因も少なくないと思われます。この状況でデフォルトを引き金とした不況が起きた場合、日本経済は再びバブル後の不況と同じ状況に陥る可能性もあります。こういった危機を回避する意味でも、日本が確実な経済成長に向けて打てる方策はそれほど多くは残されていないことに我々は気づかなければなりません。