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Weekly report

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 April Third week

 またも大地震が発生しました。

 去る14日の夜半に九州の熊本県で大きな地震が発生し、マグニチュード6.5、震度7の地震が起きました。この地震ですが、幸いにも津波が発生せず地震だけの被害で済みました。しかしその後は余震が続き、16日の未明にはマグニチュード7.3、震度6強を観測しました。気象庁の発表では、14日の地震が16日の地震の前震であり、16日の地震が本震のようです。その後日曜日の現在まで震度6程度の余震が続いており、建物の倒壊等で40名あまりの方が亡くなっています。今回の地震は断層が引き起こしたものですが、徐々に北に向かって断層のズレが発生しているようで、大分のほうでも大きな地震が起き始めています。

 今回のような広い範囲の山村部の地震では、地震の被害が分かりにくく救助範囲も広いことから迅速な対応がしにくいことがわかります。地震の翌日に阿蘇大橋付近で地崩れが起き阿蘇大橋が流されていたことが分かりましたし、日曜日になって阿蘇大橋付近の学生寮の倒壊で学生が生き埋めになっていることが分かってきました。山間のダムも決壊の恐れがあり、付近住民に避難命令が出されたようです。また山間の集落や温泉等では道路の寸断で孤立化しており、水道や電気といったライフラインも寸断されながら救助を待っているようです。これから九州は強い雨が予想されていますから、地震で地盤の緩んだ箇所では土砂崩れなどが警戒されます。さらに現在も救出活動が行われていますが、大雨でそれらの作業の遅れや危険が増すことも予想されます。今回の地震は阿蘇付近の広範囲に被害が及んでおり、その範囲の広さから未だに被害規模が明らかになっていません。今後さらなる被害が明らかになる可能性も高いようです。

 これまでも大きな地震の都度、余震が引き続き起きています。しかし今回の地震は、余震での被害が非常に多くなっていることが特徴的かも知れません。通常大きな本震が起きた後、徐々に余震は小さくなっていきます。ところが今回の地震は余震の大きさが非常強く、本震同様の被害が続けて発生しています。14日に傾いた家屋や建物が、その後の余震で完全に倒壊することが生じています。現状被害がなくても今後も引き続きリスクの高い状況が続く可能性がありますし、雨による二次災害も非常に気になります。また断層のズレから起きているこの地震、徐々にズレが北東に延びているようであり、大分県でも大きな地震が発生しました。このまま治まって欲しいと心から願っていますが、今後予断を許さない状況は続くようです。

 5年前に東日本大震災があり、その記憶が薄れたときにまた今回のような大地震が九州で発生しました。こうなると2020年のオリンピックの際に地震が起きない保証はありませんし、だからこそ今以上に対策を講じる必要を感じます。東日本大震災、そして今回の地震とも、震源は首都圏のような大都市ではありませんでした。それでもライフラインが寸断し、さまざまな観点で救援物資が不足しています。これが東京近郊で起きたならば被害は数百倍になるでしょうし、津波も想定するととんでもない重篤な事態になることは容易に予想されます。

 毎度申し上げます通り、国などが本格的に救援を開始するには、3日ほどの時間が必要になります。今回も自衛隊が2万人体制になるのに金曜日から3日必要となりましたし、実際の救援を待つことを考えると、4日以上の備えが必要とであることが分かります。自治体の準備や相互の助け合いは重要ですが、それ以前に個々人がきちんとした準備をしなければ、生き延びる事は難しいことがわかります。となると、もう一度身の回りの準備を見直す必要があると思うのです。たとえば水や食料、雨をしのげ体温を保温できるシート、各種の薬品や衛生用具、そして照明や燃料を最低限用意しておくだけでも、いざというときになんとかなります。

 またこういった災害に備え、もっとITのカバーできる範囲の拡大と運用を考えていかなければなりません。災害の観点からは、もっともっと拡張人間の機能を高める必要があると私は考えます。たとえば、介護現場などで使われる重量物を持ち上げる作業を軽減するパワースーツの普及があるでしょう。これをつければ重たいものも持ち上げることが可能になりますから、重機を使えない倒壊現場の生き埋めになった方の救出に大きな力を発揮します。またPS VRのようにゴーグル型のウェアラブル端末を装着して赤外線カメラをドローンに取り付け、高所から被災した人や建物の状況を確認できるようにする必要もあるでしょう。さらにスマートフォン用のアプリケーションをつくり、ウェアラブルデバイスとリンクするようにしておければ、被災時に自動的に位置発信し意識がなくても付近の人に存在を知らせることが出来るようになります。

 またロボットの発達によって、倒壊家屋や危険地域に作業ロボットを入れることも可能でしょう。探査や障害物の排除、照明や指示など多くの利用が考えられますし、狭小な場所での救援作業に大きな力を発揮することは間違いありません。またナビゲーションシステムや自動走行のシステムの発達も重要です。緊急車両には優先的に近道を指示し、それ以外の一般車両は極力道路の混雑が平準化するように個別のルートを指示すれば、事故箇所や通行禁止箇所を上手に避けてスムーズな交通が可能になります。可搬重量の大きなドローンが開発されれば、孤立した人々に支援物資を運搬することが可能になりますし、場合によってはけが人や病人を効率よく運搬できるようになるかも知れません。もちろんさまざまな医療機器も小型化・高機能化が図られれば、被災現場で診察や治療が可能になるかも知れません。

 災害はいつ何時訪れるか誰にも分かりません。まずは自分で自分自身を守ることが大切ですが、それで終わってはいつまでも社会が変わりません。我々ITエンジニアは広い視野を持ち、我々が社会に出来るなにかを一つずつ実現し、世界中の人が訪れているさなかに災害があっても確実に対応出来る日本を作り出さなければなりません。