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Weekly report

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 July Second week

 早くも今年も後半に入って二週が過ぎました。

 梅雨の晴れ間とは思えない日々が続き、すっかり梅雨明けの気配が漂ってきています。神奈川県以外の関東の水瓶の貯水率は、改善されないまま梅雨明けとなる可能性も高いようです。台風も先日やっと一号が発生したように、異常気象は今年も続きます。

 ゲリラ豪雨の問題は、今年も各都市で起きるでしょう。高度成長期によって一時は自然をねじ伏せたように思えましたが、地震や津波、異常な熱波や大型台風など、いままでとはレベルの違う自然の脅威が我々の周りにつぎつぎと災害を引き起こすようになっています。一つの大きな災害に目を奪われ他の対策を忘れがちですが、すべての脅威は均等と考え全方位的な対策が重要となります。

 水不足は農業などの一次産業にとって大きな問題です。しかし大雨や洪水も同様といえます。大切なことは、その都度起きることに対応するのではなく、すべての脅威が訪れる前提で対策を考えることだと私は思っています。それが世界規模で起きることであるからこそ、国全体できちんとした仕組みを作れば、十分それらの仕組みの開発と構築が産業として成立すると私は考えています。

 まずは国が、自然災害に対する具体的方針を決めるべきと思われます。建設省や経産省、農林水産省といった省庁単位ではなく、国全体としてしての具体的方針です。自然災害の種類と季節をマトリックスにし、その時期に起きる可能性が高いこと、それによって引き起こされる影響を検討すべきです。さらに複数の自然災害が組み合ったときの影響や、それを解決するための国家的方針も具体化すべきでしょう。

 たとえば大型台風の到来時に、東日本大震災クラスの地震が発生する、と考えます。通常の台風による浸水や堤防の決壊だけでなく、家屋の倒壊や地震によるライフラインの破壊も同時に起きると考えます。そのようなときに、人命を如何にして救うか、避難や物流をどう考えるか、さらなる被害を防止するためにどのような手順で方策を打っていくのか、これらすべてを検討し、具体的な対策を計画する必要があります。その上でそれらの予兆をつかむためにどのような仕組みや設備が必要かを考え、具体的方策を企業と一緒に検討します。それぞれの企業の持つ技術や能力をどのように組み合わせることが最も効果的な対策となるかを、事前に検討しておくのです。その上で入札をはかり、そういった仕組みを構築させることが本当に重要になると思われます。

 情報技術も、この大きなプロジェクトの基幹となります。各種のセンサーやそれをつなぐネットワーク、それらを瞬時に分析し方向を決定するアプリケーションシステムや基幹のインフラとなるスーパーコンピュータは、すべて高度なレベルで必要になります。さまざまな方針の下となるシミュレーションも必要でしょうし、試作品を次々と生み出す高精度・高機能の3Dプリンターも必要となるでしょう。すべての情報を同時にスーパーコンピュータで計算することは効率が悪いため、センサーやネットワークの単位でAIを導入し、必要データとノイズの棲み分けも重要となります。これまで集められなかった種類のデータをロボットやドローンで収集することも可能です。ウェアラブルデバイスの進歩は、その環境における人間関連のデータの収集を可能にしますし、作業効率や体調管理でも活用できるでしょう。こういったデバイスを有機的に組み合わせて使う方法は、世界中の誰も考えついていませんから、IT業界に多大なチャンスをもたらすはずです。

 これらを考えると、まだまだ日本の産業には大きなチャンスがありますし、世界に輸出できる製品やサービスを作り出すことは可能です。この縮小する時代において大切なのは、規制を作ることではなく方向性を示すことだと私には思えます。すべての日本企業が一丸となって、日本の生活の安全と利便性を確立し、その素晴らしい製品やサービスを多くの国に輸出することこそ、今の我々に求められていることのように私には思えるのです。