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Weekly report

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 July First week

 また大きなテロが起きました。今回はバングラデシュの首都ダッカのレストランにISと見られるテロ集団が立てこもり、バングラディッシュ軍と交戦となりました。結果犯人6名は射殺されましたが、JAICAのプロジェクトにかかわる7名の日本人と外国人の合計20名が亡くなりました。亡くなった方々、ならびに関係する皆様に衷心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 今回のテロも、外国人が多く集まるレストランが狙われました。レストランには日本人を始め、イタリア人、米国人などさまざまな国の方々が食事を楽しんでいたようです。犯人グループは内部に侵入し、イスラム教を唱えられない人々を選別し殺害を謀ったようです。残念なことに今回お亡くなりになったのは、JAICAのプロジェクトでバングラデシュのために働いていた方々のようです。見知らぬ土地でその国のために働いていた外国人を殺害するのは強い憤りを覚えますし、世界中で活躍されている多くの日本人の安全が図られることを心から願いたいと思います。

 今回のテロもフランスパリのテロと同様、今回もホームグロウンテロリストが引き起こしたもののようです。ISなどの過激な思想に共鳴し、その思想を実現するためにテロを引き起こすということがこれ以外の国々でも起きています。先日の米国の例もそうであったように、この危険性は日本でも静かに広がっているのかも知れません。日本の共鳴者が着々と準備を進め、オリンピック開催時などでその力を誇示されないよう、十分な警戒を行っていかなければならないようです。

 これまでも指摘されてきたように、ネットを使ったさまざまな思想の普及が世界に及んでおり、これが世界の不安定さを生んでいることは事実のようです。先週起きた英国のEU離脱も、この現象の一つに見えてしまいます。ネットの上で広がる離脱のメリットとEU下での主権の毀損が重大な要因となり、国民投票では離脱派が勝利しました。しかし投票後離脱に投票した多くの人がこの判断を誤りと気づいていますし、ネットでの口当たりのよい情報が人々の判断を狂わせるという事実を見せたように思われます。

 様々なサイトで起きる炎上も、これと同様の事象のように思えるのでとても不安になってしまいます。ネットに記されたことが事実でない可能性もありますし、事実としてもさまざまな背景や要因によってある事象が引き起こされた可能性もあります。しかし一人の誤った主張が、同一人物による執拗な書き込みによって大衆の意見のように見えてくるのでしょうし、その主張を信じ込んだ人によって徐々に大きなうねりを生んでしまう。これが、いわゆる炎上の一つの側面と思います。主張に賛同した人間は自らを正義と思い、事実は別にして徹底的に相手を痛めつけます。それが多くの人を傷つけたり困らせたりすることに想像力が働かず、一方的な正義を信じて相手を痛めつけるのです。

 このネットの炎上と同様の仕組みが、ISのように思えてなりません。そこに事実がなくとも現象だけでイスラムは虐げられていると信じ、その考えに従わない人間はすべて敵、その敵を痛めつけるためにはどのような手段も許される、というのが彼らの特徴です。その考えの正しさを主張し、その主張を鵜呑みにした人間を手足として自らの主張の正当化をはかる、というのもネットの炎上と構造が変わりません。

 絶対的な正義はない以上、物事には多様な側面がつきまといます。我々はさまざまな見方をきちんと身につけ、一つ一つの事象を論理的に考えて自らの考えや主張を作っていなければなりません。その上で主張を違える人間とは、両者の違いについて理解出来るまで相互で話し合いをくり返すべきです。相手の主張は常に尊重されるべきですし、発言は自由でなければなりません。力によって相手の主張を封じ込めることなど、あってはならないのです。

 こういった当たり前のプロセスが、まったく無視される世の中が、インターネットという人類を豊かにする仕組みで生まれてしまったことを我々は真剣にとらえる必要があるでしょうし、その問題をどう解決するか、世界中が知恵を絞る時代が始まったように思えます。