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 July Fourth week

 Pokemon Goの配信が、日本でも始まりました。

 今月米国を中心に世界中で配信が始まったPokemon Goですが、世界中で大きな反響と波紋を投げかけました。このベームはまさにポケモンの世界観を実現したものであり、街中さまざまな場所に潜むポケモンを探し出し捕まえ、適宜に対戦を行って徐々にポケモンを進化させるゲームです。時速10km以上になるとゲームが停止するため、徒歩で街中を歩き回ることになりますし、そこで新たな街の風景を発見することを狙ったゲームのようです。

 このゲームの構想は任天堂のようですが、実際のゲームを開発したのはナイアンテックという米国のゲーム会社です。ナイアンテックはGoogleの社内スタートアッププロジェクトが独立した会社であり、これまでもイングレス(Ingress)という位置情報をつかったゲームを開発しています。イングレスも世界中でヒットしたスマホゲームであり、実際の街を使った陣取りゲームです。ユーザーは二つの陣営に分かれて陣取りを行い、そのポイントなどはユーザの申請によって行えるなど、ユニークな特徴を持っていました。今回のPokemon Goはこのプラットフォームを利用したゲームといえます。

 Pokemon Goは大統領選のスピーチにも登場するほど大きなインパクトを、米国に残しました。その反面立ち入り禁止エリアへの侵入や崖からの墜落、交通事故、あげくは不審者として威嚇射撃を受けるなどさまざまな問題を引き起こしており、遊び方によっては危険を伴うものとなっています。しかし引きこもりの少年が街に出るモチベーションになったり、新たなコミュニケーションを発生させたりといろいろなよい面もあるようです。

 私自身こういったゲームはやらない方ですが、とはいえ社会現象になっている以上体験は必要と、とりあえずダウンロードして楽しんでみました。確かに歩く距離が増えるでしょうし、実際ポケモンを見つける楽しさやゲットする興奮は味わうことができました。しかし多くの方が指摘しているとおり、スマホに意識が向いてしまい、突然通路で立ち止まったりそこに人がたまったりと、利用者以外にも迷惑をかけたり危険を惹起する可能性が高いことに気づかされました。もちろんバッテリーの消耗も早いので、実際に業務や通信で利用されている方には結構制約も多いように思いました。

 今回の件で考えさせられたのは、ゲームが社会に与える影響の大きさです。家庭用ゲーム機やこれまでのスマホゲームでは、基本的にゲームに熱中することがあっても、社会との接点はきわめて希薄でした。一部の熱狂的な利用者以外は、家庭内や通学・通勤中の電車やバスなどの交通機関で利用するだけでした。しかし今回のPokemon Goは移動中に利用するため、先程のように街中で突然立ち止まる、ということが起きがちです。また交差点や踏切などで立ち止まったり走り出したり、といったことも考えられるため、これまでになかった事故が起きる可能性もあるかも知れません。

 またIT的に考えてみると、アクセス殺到でサーバが時たまダウンしていますから、セキュリティ的にさまざまな問題を持つことが分かります。一番考えたくないのは、悪意を持ったハッカーが情報を操作し、危険な場所に人を集めたり人気のないところに子供を呼び込んだりしてしまうことです。また直接的にサーバに侵入しなくても、SNS等を利用してレアなポケモンが出現するという虚偽の情報を流し、そこに集まった不特定多数にテロ行為を行うことも十分に考えられます。

 逆にこういったプラットフォームを利用し、デイケアサービスなどで老人の運動を惹起するようにしたり、幼稚園等で運動を惹起する方法も考えられます。もちろんスマホをもっての作業は難しいでしょうが、ウェアラブル端末との組み合わせでこれを実現すれば、さまざまな遊びの可能性が生まれます。

 このように新しい技術は、常に新しい問題と可能性をもたらします。過度に問題に反応することなく、さりとて問題を軽視することなく、より利便性と有用性の高い可能性を我々エンジニアは探っていく必要があります。