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Weekly report

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 August First week

 大方の予想を大きく外して、圧倒的支持で小池百合子氏が都知事に選ばれました。

 公金の不正利用を理由に、事実上更迭された前知事に代わり、自民党から非公認で出馬した小池氏、自民公明の後任で出馬した増田氏、野党公認の鳥越氏の事実上三氏で知事選を争うことになりました。事前の下馬評では組織票を取得できる増田氏が優位と考えられていましたが、結果は圧倒的多数で小池氏が選ばれることになりました。鳥越氏の失速分の票、ならびに既存政党の圧政を嫌悪した票も小池氏に流れ込み、予想外の大差が生まれたと思われます。もちろん男性至上主義で女性軽視のオッサン達の発言も後押ししたとは思いますが、いずれにせよ既成政党の枠や既存の考え方を変える候補が当選したことは事実です。日本の首都である東京の行方とオリンピックの成功を担う重責を担う小池氏の前途は多難かも知れませんが、選挙中と同様の積極的姿勢で上手に乗り切っていただきたいと思います。

 東京は13兆円という巨額な予算を持つ世界規模の都市であり、その利権の大きさは想像を絶するものがあります。今回の東京オリンピックもそうですが、競技場の建設予算が当初の数倍になるなど、税金が使われるという感覚から無駄遣いが多くなりがちです。特売などで分かるとおり、人間は数百円の価格差は非常に気になりますが、数百億円の買い物になると、数十億円の差を余り気にしなくなります。税金を使っているため本来は一円でも効果的・効率的な使い方をすべきなのですが、実際は数億円の違いもそれほど大きな問題にはなりません。200億円の増額を180億円にすることは20億円もの節税になるのですが、あと50万円安く出来ると考える人はほとんどいないのです。

 そこに悪意が働けば、その価格差を自分で作ったり、差額を認めることで見返りをもらいたいという気持ちが生まれます。国や都にとっての20億円は小額でも、2000万円でも個人にとっては大金です。となると、そういった行為に走る人間がでることは予想に難くありません。ましてや大きな権力を握っている人間にとって、それらの集合体である東京オリンピックは非常に魅力的でしょう。なぜなら表向きには世界の評価が得られ、裏では懐に大きなお金が転がり込んでくるからです。今回の小池氏を排除しようとした動きには、この流れが大きく関与している可能性が高いといえます。だからこそ都民はそれらをあきらかにできる小池氏を選んだのでしょうし、それが本当に不正を暴くきっかけでも作れるだけでも今回の選択に意味が生まれる気がします。

 それでも私にとっては、今回の結果が東京オリンピックの当初の目標である低コストでエコな開催に繋がることを期待したいと思っています。なぜならそのためにはITの積極活用が必須となりますし、便利でエコをつくりだすインフラとしてのスマートシティの建設が必須となるからです。金融機関の統合で一息ついたIT業界に次のチャンスをもたらすだけでなく、いよいよエンジニア個々人に新しい考えや発想を要求する時代が始まる可能性があるからです。大胆に言えば、40歳以上のエンジニアで安定を求めるエンジニアであれば、既存システムの保守や追加開発に従事してもらい、新しいエンジニアには、30代前半の若いリーダと平均20代のメンバーでチームを作らせ、全く新しいシステムの企画から開発を行ってもらいたいと思っています。これまでの前例や方法論を全部見直し、新しい時代の新しいやり方で新しい仕組みを生み出してもらいたいと思っています。そして仮に失敗があってもそれを共有し、さらなるチャレンジを産める環境を若い世代が気づいて欲しいと思うのです。

 心ある40代以上のエンジニアは、もっぱら彼らのサポートに回り、失敗の極小化とリカバーに専念してもらい、若者は新しいモノを恐れずチャレンジできる体制を作り出せば、今後二十年の日本のIT業界は活性化するでしょう。しかし現在のやり方を単に踏襲するのであれば、10年以内に既存のSIerはやはり1/3以下の数になると私には思えてなりません。

 新しい選択は、一人一人が行うものです。諦めることなくよりよい道を選び続ければ、確実に新しい時代が訪れます。その反面一人一人が諦めたのであれば、既存の年寄りが古いやり方で自分だけよくなる選択を行うことは間違いありません。

 都知事選を通して、一人一人の力を信じることが出来たのであれば、今後はIT業界の若者が、それぞれの選択で新しい時代を切り開いて欲しいと思うのは、私だけなのでしょうか。