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 October Fourth week

 インドの巨人がとうとう動き出しました。

 2014年に三菱商事系の子会社であるITフロンティア(旧三菱事務機械)と合併した日本タタ・コンサルタンシー・サービシズは、今年の人材育成投資を従来の二倍にするそうです。 AI分野の強化や、海外拠点での研修など、日本市場での本格的な展開のために日本の人材の育成を強化するのでしょう。新人の採用人数も170名弱と従来の6倍以上の採用を目指し、日本で本格活動を開始するようです。日本での人員2400名を擁する国内大手の眠れるSIerが本気になりますから、これまで以上に日本のSI市場が荒れる雲行きです。

 北米では圧倒的な強さを誇るタタ・コンサルタンシー・サービシズですが、日本市場での活躍は今ひとつでした。日本への進出は1980年代ですから、これまでの30年近くの年月を日本市場の開拓に費やしてきたのですが、一昨年まで成果は今ひとつでした。しかし日本のSIerとの合併という思い切った手段を取ることで、これまでとは違うアプローチでビジネスの展開ができるようになりました。 しかし合併後の二年間は、内部の調整に時間がかかり、私の様相に反して静かな立ち上がりでした。実績として三菱商事のシステム更改を成功させていますが、開発工程以降の低価格を武器にした日本市場での展開はなく、今後どういう方向でビジネスを営んでいくのかが注目されていました。

 なぜタタ・コンサルタンシー・サービシズが日本市場を重要視しているかを考えてみると、飽和した北米市場より日本市場の法が有望と いうことなのでしょう。さまざまな新しい企業が次々生まれ、そこで全く新しいビジネスモデルとITを駆使した仕組みを作るとなると、タタ・コンサルタンシー・サービシズでも付加価値を生む要素は少なくなります。開発以降の作業を請け負って様々なノウハウを蓄積しても、変化の激しい北米市場ではその価値を拡大することは難しかったのかも知れません。しかし日本市場であれば、これまで蓄積した様々なノウハウを利用できますし、日本のビジネスそのものが国際化 する流れにより、オフショア企業の強みを生かして安価に製造できると言うことに本気で活路を見出したのでしょう。

 これまでも喧伝してきたとおり、タタ・コンサルタンシー・サービシズの成功は、日本のSIerの崩壊の序章となります。現実はオフショアを使うことで差額を利益に充ててきたビジネスモデルが崩れ、正味価格での受注が必須となるからです。またこれまで以上にオフショア企業のマネジメントやコントロールが必要になりますから、、そういったノウハウを持たない日本SIerは、淘汰されていく可能性がますます高まってきました。逆に海外大手SIerとの合併や買収が始まる予感もしますから、ますます市場が 荒れる予感です。

 勘違いしてはいけないのは、これが国内SIerの危機であると同時に、業界そのものがイノベーションを起こすきっかけとなるということです。外圧がない限り既得権益を手放したりビジネスモデルを改める企業は 、日本には多くはありません。 となれば、今回の件をきっかけに日本のSIerが本気になり、これまでの下請型御用聞き産業の形態を抜本的に改めようとるすのなら、まだまだチャンスはあるのかも知れません。

 いずれにせよ、私の予想通りこの10年がSIerの勝負の時になりますし、その勝負に挑まない、あるいは負けたSIerは淘汰されます。1/3のSIerとして世界と勝負を挑むか、2/3の負け組になって消滅や合併の恐怖におびえるかは、今後の各社の舵取り次第となっていくでしょう。