早くも今年も10月に入りました。あと残り三ヶ月ですから、油断するとあっという間に正月が到来しそうです。先週は熱川の海潜亭にいましたが、台風明けの土曜日は季節外れのセミが鳴くなどまだまだ冬モードへの切り替えができない状況です。しかし10月に入っても30度を超えるとはさすがに気象がおかしくなっていることを実感しますし、これが今後続くとやはり気象変動の影響は大きいように思います。
このところの台風を見ても思いますが、過去ではありえない自然状況になっていることは間違いありません。昔から××の大災害や△△の洪水が歴史に刻まれてきたのは事実ですが、毎年のように、それも全国の複数箇所でこういった自然災害が起きるようになったのはここ最近のことと思います。さらに技術の進歩とともに、各地の崖などはコンクリートで補修されてきましたし、河川は風情を無視してコンクリートの護岸に改修されてきました。都会の下水も大容量化し、洪水対策などで地下に貯水空間を作っている都市も増えています。
建物は木造瓦葺きから軽量鉄骨やスレート葺きに変わっていますし、ビルも耐震基準を満たし災害への対策を行ったものが増えてきています。災害に対する人々の意識は上がっていますし、自治体や国の支援策も充実してきています。それでもこのところ年に数回台風や大雨による洪水や土砂崩れ、家屋の倒壊や破損が続いていますし、鉄道や道路などの交通インフラも大きな影響を受けています。特に地方の鉄道などは、自然災害の影響を受けて休止後、復旧コストが見合わず配線になってしますケースもあります。過疎地に住む住民の足が奪われることになりますから、影響は本当に甚大です。
このようにここまで積極的に対策を講じてきたにも関わらず、それを凌駕するような自然災害が次々起こるのは気象状況の変化の影響が大きいと思わざるを得ません。CO2の排出制限は毎年のように言われますが、それと逆行するような企業や国の動きも少なくありません。国連「気候行動サミット」で発言したスウェーデンの16歳の少女に対する批判も、各国の首脳や経済人から多く発せられていますし、真剣に考えようとすることよりも経済活動を優先するのもやはり一考の余地はあります。
文明の進化は、さまざまな自然災害の被害を食い止めてきました。特に20世紀に入ってからは、これまで対応出来なかったような大きな災害をも乗り越える技術が沢山生まれてきました。災害の被害に対してもただただ見守るのではなく積極的な対策が講じられるようになってきましたし、支援も世界中で行えるようになってきました。人々は健康で文化的な生活を謳歌できるようになってきていますし、便利で安心な社会が生まれているのも事実です。
しかしその反面台風や大雨などの自然災害の被害が多く発生するのも事実ですし、地球か温暖化に向かっているのも間違いないと思います。この数年の台風は日本中に大きな被害をもたらしていますし、今回の台風のようにこれまで被害を受けなかった都市部でも大きいな被害が生まれるようになってきています。今週も大型台風19号が日本に到来しそうですし、ルートによっては河川の氾濫や洪水だけでなく、家屋の倒壊や破損も起きる可能性があります。都市部でも決して安心できないのは15号で解りましたが、それ以上の強さの台風が到来する可能性も否定できません。
サイパンやグアムなど台風の発生地付近では、これまでも大型のビルなどが台風の被害に遭ってきました。車が飛ばされるのは日常茶飯事ともいえますが、ホテルの海側の部屋が廊下をはさんだ反対側の部屋に押しつぶされたこともあります。このぐらい台風の風は大きな被害をもたらしますが、この規模の台風が日本を訪れる可能性が充分あることを台風15号は教えてくれました。となると、これらを単なる偶然と考えることはできませんし、可能性的には今後もっと酷くなることも充分ありえます。
だからこそ日々の備えも重要かもしれませんが、やはり世界規模で英知を出し合い、こういった災害の原因を突き止め対策を講じるべきと考えます。各国の政府や企業は経済性を重視した活動を見直し、環境負荷の低い方法を模索すべきと思います。環境負荷の低い企業や国には製品には税制の特例を設ける、などの措置が必要になるのでしょう。
先進国と途上国の関係も見直す必要があります。自然を破壊しなくても都市化、近代化できる方法は沢山ありますし、無農薬有機野菜などは高い付加価値をもった商品になります。手つかずの自然を保護することで観光客を呼び込むノウハウを伝え、保護の度合いに応じて先進国がさまざまなコストを負担するようにすれば、自然破壊を行わなくても先進国の仲間入りをすることが可能になるはずです。
要は世界が真剣になれるかですし、今なら間に合います。自然の驚異によって失われる価値より、自然と共存して価値を生み出すことを、我々は真剣に考える必要があります。