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Weekly report

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 October Second week

 台風19号が、またもや日本に大きな爪痕を残していきました。

 戦後最大級といわれた今回の台風19号ですが、関東を直撃する最悪のルートを通る予想でした。先日の台風15号に比べても勢力の大きな19号は、前回よりもはるかに暴風の猛威を振るう事が予想され、暴風に対する対策の重要性がメディアを通じて喧伝されていました。台風15号では熱川もかなりの被害を受けましたし、千葉の惨状は関東全域に知れ渡っていましたから、暴風に対する対策が各所でなされました。ホームセンターではブルーシートと養生テープが売り切れ、飛来物に対する窓の備えを十二分に行っていたように思います。私もベランダの物置等の固定をしましたし、風に対してきちんとした整理を行っていました。

 しかし実際には暴風よりも、大雨が今回の特徴でした。私の住む神奈川県東部も、風が強く吹いたのは19時頃から二時間ほどであり、あとはずっと大雨だったように思います。結果箱根では一日の降雨量が観測史上第一位となる870mmを記録し、土砂崩れなどの甚大な被害を生むことになりました。箱根登山鉄道は、小田急線が乗り入れている箱根湯本までは運行していますが、その先の登山電車である強羅までの線路が大幅に影響を受けてしまったようです。土砂崩れによって鉄橋が崩れて線路がなくなる、土砂に線路が埋まる、電線等が倒木の下敷きになるなど壊滅的な被害であり、復旧には相当な時間がかかりそうです。秋の行楽シーズンや紅葉シーズンを迎えようとする箱根にとって大打撃であることは、間違いありません。

 大雨は各地で降り続き、特に東日本で大きな被害をもたらすことになりました。宮城や福島、長野の河川の護岸が決壊し、多くの家屋が水没することになりました。福島では阿武隈川が、長野では千曲川が氾濫し、多くの家屋が被害に遭いました。特に長野では新幹線の車両基地が水没し、全体の1/3となる10編成の車両が水没してしまったようです。最悪そのまま廃棄となる可能性もあるため、新幹線のダイヤが復旧するまでに多大な時間がかかることが予想されます。東京でも多摩川が氾濫し、二子玉川や武蔵小杉の家屋で浸水の被害がありました。相模川でも上流のダムの緊急放水が必要となったため氾濫が予想されましたが、早めに雨が止んだため大きな被害には繋がらなかったようです。

 このように今回の台風は予想と違い、暴風ではなく豪雨の被害が大きくなりました。それでも不幸中の幸いなことに、三連休の初日にこのような事態が発生したため、交通や生活に大きな混乱を迎えなくて済みました。しかしこれがウィークディだとすると、この数倍もの被害が生まれ混乱が生じたことは予想に難くありません。今回多くの店舗が鉄道の計画運休によりスタッフが通勤できず、お休みとなりました。利用する側も自宅付近の店が休みになりますから、当面の貯蔵品で日々を過ごすことができますから大きな問題には繋がりませんでした。しかしこれがウィークディとなると、無理に通勤させよう、しようとする人間も多いでしょうし、その人間の食事を提供する場所がありませんからやはり大きな混乱になることは間違いないでしょう。

 鉄道の計画運休や高速道路の通行止めなど、この数年の経験が生きていることは間違いありません。しかし今回は週末であることが判断の前提であったように思います。これがウィークディだったら、これがオリンピック期間だったらと考えると、本当に難しい判断になるでしょう。

 こうして変動する気象環境の中で、我々はもう一度すべてを学び直し、仕組みを改めなければなりません。これまでの企業利益優先ではなく人命優先で、経済活動の停止もやむなしとしなければならないでしょう。被害の情報もより迅速に伝わる仕組みを作るべきですし、国を挙げて復旧を支援する体制を作らなければなりません。一人一人の被災者に支援が届く仕組みを作るべきですし、そもそも災害に強い街を作り出さなければなりません。護岸を高くしスーパー護岸とすることはいうまでもなく、空中架線の地中化も必要でしょう。5Gをつかった災害ネットワークの構築も重要ですし、カメラなセンサーの増設も必須です。昨日起きたことは明日も起きる、ということを念頭に置いて、災害に強い街を作っていくしかありません。そして我々ITエンジニアは、一つでも多くのアイディアで災害の防止や復旧に役立つ仕組みを構築しなければならないのです。

 昨日行われたラグビーで、日本代表が不可能を可能にする方法を教えてくれました。明らかな体格差がある国と闘うために敗北から学び、敗北に繋がった原因を一つ一つ潰して自らを鍛え上げる。勝てないのではなく、勝つこと、それも優勝を信じて自分たちに会った新しいラグビーのあり方を追求する。これが彼らのやってきたことで、日本がなしたことです。だからこそ我々も彼らに学び、年々強まる自然の脅威と冷静に戦っていかなければなりません。