11月もはや三週です。今年もいよいよカウントダウンに入ったようです。
さて先週は持病の静養を兼ねて、伊豆熱川の海潜亭に滞在していました。人生4回目の再発ですから医者からは極力人に会わず静かにしていろ、という指示です。したがって
人よりも鹿や猪の数のほうが多い熱川のような田舎に滞在すると、少しだけ体調は良くなった気がします。とはいえ喘息も40年ぶりに再発したり、体の他の部分も故障したりと散々であり、常態化した座骨神経痛をかばいながらのほぼ寝たきり老人としての一週間でした。
さて先週は令和天皇の大嘗祭が行われました。夕刻より始まった儀式は未明まで続きましたが、儀式の模様は外部からカメラで記録されていました。私も神道ですが、神道の儀式は夜に行われることがあるため、基本ロウソクの光の下で実施されます。今回の大嘗祭もロウソクの灯りの下で行われいましたので、テレビ中継のために照明を入れることはできません。したがって高感度のカメラを利用して、儀式の模様が外部に伝えられることになりました。
儀式は18時頃から始まり、私もテレビで見ていました。しかし数分で映像は終わり、静岡のローカルニュースになってしまいました。熱川は東京の放送も入るため切り替えてみると、東京は大嘗祭の続きを放映しています。もう一度静岡のテレビ局に戻り、すべての局をチェックしてみましたが大嘗祭の映像はありませんでした。逆に東京のニュースはすべての局ともに大嘗祭の映像であり、静岡との落差に驚かされました。
大嘗祭に興味があるのは全国一緒と思いますし、視聴者の平均年齢が高いのは地方のほうだと思います。それでも首都圏では大嘗祭が放映され、地方では交通事故や火災などのニュースが放映されるのはなかなか理解しにくい現象です。おそらく本当の原因は、系列局がキー局のニュース枠を買っていなかったため、その映像を入手できなかったことだとは思います。おそらく系列局は番組を一定期間の契約で購入していますから、トップニュース以外の枠は購入していなかったのでしょう。そのためローカルニュース枠で大嘗祭を放映しようとすると独自に記者とカメラマンを送り込む必要がありますし、それだけの資金がなく効果も低いと考えたため放映されなかったというのが事実と思います。
しかし別の視点で考えてみると、以外と首都圏のほうが皇族関連番組が多いということです。週末など首都圏では早朝などに皇族関係番組枠がありますが、少なくとも熱川が属する静岡県のテレビ局でそれを見ることはありません。全国に皇族に対する意識が高い人間は存在するのでしょうが、視聴者としての数はやはり首都圏が一番多いのでしょう。となるとそういった番組が作られるでしょうし、相対的に視聴者の少ない地方でそれらを見ることはないのだと思います。
天皇は国民の象徴と戦後定められましたが、天皇制については未だに論議がつきません。しかし天皇制に対する興味が少しずつ失われているように感じるのは、私だけではないと思います。こういったメディアの問題で意外と早く地方から天皇制に対する意識が低くなることが想像できますし、やがては首都圏でもそれが顕著になっていく可能性もあります。逆にこれだけプライバシーがない皇族の方々も、そろそろ時代に合った制度を望んでいるように感じるのは私だけなのでしょうか。