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Weekly report

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 May Fifth week

 5月もいよいよ最終日となりました。

 さて東京や大阪では、新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化しようとしてます。東京や大阪では大規模接種センターが設置され、市町村で予約ができなかった65歳以上の高齢者に対するワクチン接種が始まっています。一人でも多くの方がワクチンの接種を受け、その世代が拡大することによって集団免疫を獲得することはとても大切ですし、それによって一人でも多くの方の生命や健康が守られることは、本当に重要なコトと思います。

 しかし今回のこの制度も、相変わらず予約システムの問題を露呈してしまいました。まずはシステムの障害です。厚生労働省は予約システムに、Salesforc.comを利用しているようですが、Salesforce側のシステム障害により予約が止まってしまったようです。エコポイント制度以来、国はSalesforceのシステムを様々なところで活用していますが、やはりサービスレベルは国内SIer等が提供するクラウドサービスのサービスレベルには追いついていないようです。もともとエコポイント制度のとき、日本のコンピュータベンダーや国内SIerが経済産業省の要求を受け付けなかったことから、米国のSalesforceが国内の官庁関連市場を大きく獲得していきました。日本のSIerはそれを挽回する営業力も実力も不足したため、海外サービスに市場をとられてしまっています。

 国内のSIerが再び市場を拡大するためには、海外のサービス業者のように安価で迅速なサービス提供ができるようになる必要があります。日本のサービスはガラパゴスと揶揄されますが、それでもお金を持った企業にとっては当たり前の品質のサービスよりも、日本のような高い品質レベルのサービスは魅力的です。その魅力を活かしつつ迅速化をはかり、さらに安価なサービスを展開しない限り今後も市場を官庁、民間で失ってしまうような気がします。

 さて予約システムのもう一つの問題点は、二重予約です。地元の市区町村で予約ができたとしても、実際の摂取は早くても二ヶ月先となることも現在はあるようです。そのため大規模接種センターで予約をすると、迅速に接種が受けられるため地元の予約をキャンセルせず、二重に予約する高齢者が少なからずいるようです。爾後的にでも予約をキャンセルしてくれれば問題ありませんが、そのまま放置されると予約当日に当該高齢者が来ず、用意したワクチンが無駄になる事態が発生しています。

 キャンセルをしない高齢者に問題があるように思うかもしれませんが、システムに詳しくない高齢者にとっては国の提供するサービスを受けた以上国側で管理すべきこと、と考えても不思議ではありませんし、情報リテラシーの観点からも自主的にキャンセルをさせることは無理があると思います。となると、やはりシステムを提供する側が、こういった問題が発生しないようにシステムを構築しなければならないと私は考えます。

 こういった混乱をみると、日本政府や自治体がマイナンバーを生かせていないと痛感してしまいます。本来はマイナンバーですべての官庁のデータを串刺しで管理し、利便性を高めていくのが大切なはずです。国民のプライバシーを過度に侵害することは望ましくありませんが、省庁や自治体が以下に職務を分けていようが、日本国民にサービスを提供することは変わりがありません。となると、予約からしてマイナンバーで自動的に管理し、人間の介在しない仕組みを本来は作るべきなのです。

 まずはマイナンバーと健康保険、住民票を串刺しで管理し、誰がどこに住んでいて、どのような健康保険に入っているかを一元管理するのです。さらに医療機関とも連携し、どのような既往症がありどのような薬を服用しているかも管理すべきです。それをもとに接種対象者を条件に基づいて自動的に抽出し、候補日をメール等で送るべきです。メールを受け取った対象者は可能日を返信し、自動的に予約を取ります。当日の問診等もすべてスマートフォンを経由して実施すれば、自宅でも問診が行えますし接種所での密の発生も防げるでしょう。さらに単純に高齢者だけでなく、既往症のある中年等も優先して摂取が行えますから、健康状態にそって公平な順番でワクチン接種が可能になると思われます。

 さらに予約の変更等もスマホ経由で自動的に行えば、キャンセルの問題も発生しにくくなります。何より電話で対応する人間や確認等が必要なくなりますから、業務効率が極めて高まります。さらに当日の突発的なキャンセルには、希望する人間にメールを送りキャンセル分を接種希望するかを尋ねるようにすれば、ワクチンの無駄もなくなります。

 このように日本にあった便利なサービスをつくれば、もっと迅速かつ効率的にワクチン接種が行えますし、今後万が一広域災害が起きたりパンデミックが発生しても、迅速な対応システムとして利用が可能になります。医療機関とも連携すれば、平素の急病や事故にも適切かつ迅速な対応が可能です。こうしたシステムを構築できるITに詳しい起業家やITエンジニアが、日本を変えてくれることを心から願っています。