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監査難民  (10/14/2007) 

 種村大基  講談社  \1,600

 この本の問題提起とは異なり、私にとっては歴史小説を読むようでした。ご紹介すべきか迷ったのですが、ひょっとすると私の仲間もこのページを見ているかも知れませんので、ご紹介です。

 タイトルから想像つくと思いますが、この本私の在籍した中央青山監査法人崩壊までの記録です。今年7月、みすず監査法人こと旧中央会計事務所が解散しましたが、そこに至った経緯を克明に記したのがこの本です。なぜみすず監査法人は解散を迫られたのか、その背景でPWC、金融庁、他監査法人、クライアント企業との間でどういった思惑と駆け引きがあり、その結果としてなぜ解散に至ったかをさまざまな実名とともに紹介しています。私自身、その経緯を直接的・間接的に見聞きしていたため人ごとではありませんでしたが、やっとその顛末の一部始終を知った感じです。

 しかし驚いたのは、その実名でした。みすず監査法人の諸先生はもとより、ライブドア粉飾に関わった港陽監査法人を含めて、意外と顔まで知っている人が多くてビックリしました。自分としては短いと思っていた監査業務を通して、実はいろいろな人と知り合っていたこと、本当に驚きです。噂には聞いていましたが、PWCやあらた監査法人、金融庁の世知辛さや読み違いなどが面白く、かつ見苦しい感じがしたのは私だけですかね。

 会計監査の問題と、今後の金商法が引き起こすさまざまな問題を予見したい方に。

 

オタクで女の子な国のモノづくり  (10/7/2007) 

 川口盛之助  講談社  \1,500

 タイトルと表紙は本当に恥ずかしい本ですが、内容は素晴らしい! の一言ですのでご紹介です。

 日本の物作りのこれまでとこれからを論じた本ですが、そのタイトルとは対照的に非常に論理的かつ詳細な考察が行われています。我々日本人のモノに対する姿勢が他の国々とどう違うのか、その文化的背景がどのようにモノ作りや品質に反映されてきたか、我々がこだわるモノの要素は何で、それがどのように変質していくか、さまざまな角度と事例によって説明されています。

 「おたく」的こだわりによって完璧な品質を追求する姿勢、モノを擬人化する「ギャル」文化、世界に類を見ない改善とその結果の多様化など、素晴らしい視点でモノ作りについて言及しています。インタフェースの考え方や多様な品質に関する考察は、よく私が論じている品質の観点とまったく一緒ですし、その論理的説明の巧さには驚かされました。やはり世の中、優秀な人がいるもんですね。

 ということで、久々の読んで損のない本です。 モノ作りに携わるエンジニアは必読!!