★書名をクリックすると、amazon.co.jpにリンクされます。購入される方はどうぞ。
■夢をかなえるゾウ (2/24/2008)
水野敬也 飛鳥新社 \1,600
最近やたらと本屋に並んでいるのでとりあえず買ってみましたが、結構面白かったのでご紹介です。
この本の著者である水野氏は、三年ほど前に私が書評を書いた「ウケる技術」の執筆者の一人です。しかしその本の内容があまりにひどかったので今回は期待はせずに読んだのですが、結構拾い物の本でした。内容は「成功の秘訣集」であり、書いてある一つ一つのことは、この小説中にも出てきます通りどこの成功の秘訣本にも書かれていることです。しかしいわゆる宗教的説教臭さもなく、成功者特有の優越意識もなく、ゾウの形をした神様から連発されるギャグてんこ盛りの関西弁ベースで説明されますので、結構素直に読めます。またそのストーリーが意外としっかりしているので、飽きずに最後まで読めます。日々の繰り返しの中で自分を変えるためにどうすればよいのか、その成功に向かってどんな努力をすればよいのかを、小説の形で我々に教えてくれます。特に素晴らしいのは、その一つ一つの成功のポイントを、過去の偉人の言葉を引用して説明している点です。この方の独自の成功哲学ではなく、過去の偉人の名言の集大成であるため、内容そのものに説得力と信憑性を持たせています。
しかしこの本を読んで感じたことは、私は成功者とはいえませんが基本的にほとんどの秘訣を守っているということでした。この本に書かれているほとんどの秘訣は、成功された諸先輩や現在の私を作った師匠が言い続けたことであり、それを愚直に守ってきたことが現在の私を作ったことは間違いありません。となれば、私自身この本の内容を実証しているので、内容そのものはお勧めできるのかも知れません。
私の好きな本はリチャード・バック氏の「イリュージョン」ですが、この本の構成はなんとなくそこから来ているように感じます。もちろん目指す方向は違いますし文学作品としての質は比べものになりませんが、私自身は寓話性という意味では、「イリュージョン」のほうが好きですね。
自分を変えて、人生の成功者になりたい方に。
■巨象に勝ったハーレーダビッドソンジャパンの信念 (2/17/2008)
奥井俊史 丸善株式会社 \1,500
期待をせずに読んだのですが、ちょっと拾いものだったのでご紹介です。
オートバイ好きならば誰でも知っている、さらにはオートバイに詳しくなくても米国オートバイといえば思い出されるのが、「ハーレーダビットソン」です。しかしかつてハーレーダビッドソンの日本法人は前社長の勘と経験で商社的販売を行ってきた企業であり、日本での評判は芳しいものではありませんでした。ましてやホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキという巨大メーカがひしめく市場において、品質がよくないハーレーに対する風向きは悪く、その建て直しは決して楽なものではなかったようです。
この本の著者である奥井氏は、そのような状況からこのブランドを復活させ、優良企業としてハーレーダビッドソンジャパンを立て直されたそうです。その経営哲学が、「凡事を非凡に徹底せよ」ということであり、まさに中小企業のあり方を論理的かつ大胆に示されています。あたりまえのことを当たり前に徹底することはまさに困難ですが、それを行うことが企業として当たり前の成長につながります。それをあらゆる角度から検証され、実証されたこの経験は、我々に企業経営に関する真理を教えてくれる気がします。
企業経営の基本と、凡事の大切さを見直したい方に。