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■朝令暮改の発想 (2/24/2008)
鈴木敏文 新潮社 \1,400
現代の経営の神様、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木氏の最新書です。
鈴木氏の経営思想は多くの本で解説されているのですが、経営思想そのものについてご自分の言葉で書かれているのは、この本の特徴といえます。鈴木氏については今更説明もいらないと思いますが、社内ベンチャーとしてセブンイレブンを成功させ、流通小売業のトップ企業にヨーカドーグルプを育て上げた方です。その手腕、思想ともに多くの経営者が参考にしていますし、その実力は言うまでもありません。
しかし常にこの方関連を書籍を読むと感じるのは、若者や後進を育てることをすごく意識されている点です。自分の成功体験を自慢げに吹聴するのではなく、その考え方を次の世代に伝え、そのチャレンジ心が生まれることを期待されているように感じます。したがってその言葉や著書の多くは平易な言葉で書かれていますし、その考え方も決して難しいものはありません。しかしながらその継続を自らに課すのは相当に難しいことですが。
この本で一番好きなのは、「目標の達成に失敗しても罰してはならない」という章の、「結果の責任は部下ではなく、あくまでも上司が取るべき」という考え方です。上司の任命責任の重さと、その結果としての部下のチャレンジ心の重要性、まさにこれが大切な考え方に思えるからです。
日本の経営の神様の、神髄に触れたい方に。
■「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い (2/24/2008)
山田真哉 光文社新書 \700
「女子大生会計士の事件簿」シリーズの著者である、山田氏の最新書です。
正直女子大生会計士シリーズ、私は好きではありません。その上「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」や、この本の前編である「食い逃げされてもバイトは雇うな」ともに、あまりに勝手な前提と予定調和の内容であったため、私にはどうもなじめない内容でした。
しかしながらこの本は、会計や数字の持つ根本的問題をわかりやすく解説してくれますし、企業経営の観点から数字をどのように考えるべきかの基礎を教えてくれます。同時にコンサルタントのよく使う数字のトリックがわかりやすく説明されており、私がよく言う「都合の良い数字のマジック」の仕組みが理解できます。数字が苦手な方でも比較的理解しやすい内容ですし、会計制度の問題も含めて変化する時代にどのように将来を考えるべきかを示してくれます。
数字のトリックと、企業会計の本質を理解したい方に。