11月第三週目のWeekly reportです。週末に思わぬPCダウンとなったため、今週は更新が半端なタイミングになりました。
繁忙シーズンがどうにか一段落し、先週はやや楽な一週間を過ごしました。とはいえ昨日の今日ですから、精神的・肉体的な回復に時間がかかっています。精神的問題は少しずつ良くなっているようで、意欲は湧かないもののどうにか生きていることを喜べています。何気ない風景が、かけがえもなく見えるようになるのは、やはりゆとりができたせいなのでしょう。
しかし世の中の変化は、本当に早いものです。事務所の掃除をしながら、昔の雑誌の残滓を眺めてみると、つくづくこの10年の変化に本当に驚かされました。
インターネットの出現は、世の中の速度を変えました。もともとの出自は1960年代と古いものの、World
Wide Webという考えが発表された1991年から、急速に普及を見せます。何よりそれを推し進めたのはWindows95です。このソフトの関連ソフトであるMicrosoft
Plus! for Windows95にバンドルされたInternet Exploreによって、急速にインターネットは普及しました。当初は当時の高速回線で未来の通信を支えるインフラといわれたISDN回線が利用されましたが、あっという間に新しい技術であるADSL回線が誕生します。これによりネットワークの通信速度は幾何級数的にスピードをあげはじめ、回線速度は年々早まっています。ADSLの普及は2001年頃からですから、まさにこの時代はまだたった10年なのです。現在では光回線への交換も進み、そう遠くない未来に宅内1テラ、屋外100ギガの時代がくるのでしょう。
人類は数千年をかけて少しずつ進化をし、環境の変化に適合してきました。しかし産業革命が起きた1700年半ばからのたった250年間におきた変化は、めざましいものがあります。しかしこの250年の中でも、インターネットが世界を変えたこの10年の変化は特筆すべきものがあり、これが現代の変化の根幹の一つであることは間違いありません。しかしながら、数千年数万年をかけて変化に対応してきた人間に対し、この変化への対応は多大なストレスを与えている可能性があります。
私が若かりし頃、調べ物をするのにおよそ半日〜1日かかることが当たり前でした。大型書店や図書館に行き、さまざまな努力で目的の書物にたどり着き、調べたい事項を調べる。もちろん1冊の本で調査事項を満足できないケースも多々あったため、複数の書籍を半日かけて調べ、やっと一つのことを知ることができました。もちろん調べることが不能なこともたくさんありましたし、長期間かけて調べることもままあったのです。その一方、書店や図書館への行き帰りの時間、調査の一服の時間など、さまざまなゆとりを持つことで、自らの心と体を休めてきました。
現代ではインターネットの進化により、たった数分、場合によってはたった数秒で上記の目的を達成できます。それにより人々の知識習得速度は飛躍的にあがり、同時に知識習得欲も向上させました。しかし一方では、あらゆる意味の余裕を我々から奪ってしまったように感じます。調べ物に時間がかかるということは、間違いなくそのテーマについて長時間思考する機会と時間を得てきたことを意味します。それはゆとりを生むだけでなく、同時に知ることができないことに対する不安やストレスと戦う時間も作ってきたはずです。この時間は心にゆとりを与え、一つのテーマを熟考する機会を与え、さらにはストレスに強い心を作った来たように私には思えるのです。
待ち合わせのシチュエーションはどうでしょうか。一昔前まで、時間と場所を相手にきちんと伝えたつもりでも、相手が時間通り来なければさまざまな不安がよぎりました。時間や場所の伝え間違い、相手や自分の勘違い、場合によっては相手に何かがあったのか、などその不安は次々膨らみながらも、同時に何もできないもどかしさと不安に耐える必要がありました。その過程で相手の考えや気持ちを想像したり、これまでの自分を反省したり...さまざまな感情のゆらぎがありました。だからこそ、結果として相手に会えることそのものが、うれしさを増大してくれる、こんなことが普通だったのです。しかし携帯電話の普及は、その不安を解消してくれましたが、同時に相手の気持ちを考えたり感情のゆらぎや不安に耐える機会を奪いました。漠然とした不安や説明できない何かと戦う機会を奪い、その結果トレスに弱い心を作り出す環境を産み出したように思うのです。
私は社会学者や心理学者ではないため結論は他の方にゆだねますが、こういった太古より人間が持ち続けた時間や機会を失ったことが、最近のうつ罹患者を増やしているように思えます。日向論者である私はITのもたらす進化を否定するつもりはありませんが、一方でこの新たなる日陰を真剣に考える時期にきているように思うのです。
見えない明日を模索する、フューチャリストとしての使命がまた増えたように感じます。
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・本田の小型ジェット機
・インド タタ・コンサルタンシー・サービシズ 組み込みソフトウェア開発 日本企業向け拡充
・奥山ブランドのスポーツカー
・代々木ゼミナール 新宿駅近くに新校舎
さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。