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Weekly report
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 December Fourth & Fifth week

 12月第四・五週目のWeekly reportです。

 先週は早めのお休みをいただき、休暇を取っておりました。例年のごとく、南の島に逃避行です。今回はホームグラウンドであるサイパンに赴き、ダイビングを中心とした休暇を楽しんできました。

 とは申しましても休暇前の激務ですっかり体調を崩していたため、前日よりダウンしておりました。医者に行ったものの症状はむしろひどくなった状態でサイパンに渡ったため、二日間のダイビングをキャンセルし、ホテルで静養といった状況でした。せっかくの休暇であるにもかかわらずホテルに長逗留とは、休暇として良いのか悪いのか、本当に参りました。というのもホテル滞在は肉体的には休まるものの精神的にはどんどん煮詰まっていき、精神的疲労の大きかった私には本当につらい二日間でした。結局体調はあまり戻らないまま、ダイビングを実施。ところがやはり海にはいると、あっという間に体調が回復したことに驚きました。以前二度の火傷をしたときも、海に入っていたら患部が大きく剥がれおち、皮膚移植が必要かも、といわれていた火傷がケロイドすら残らずに治ったこともありました。やはり海の力は偉大のようです。

 約一年ぶりに訪れたサイパンでしたが、経済的にはもうひどいものでした。島内至る所で「FOR RENT」の看板がかかり、物販、飲食業などあらゆる店舗がつぶれていました。今回はガラパンというサイパン一の繁華街のそばにホテルを取ったのですが、ガラパンのメインストリートですら「FOR RENT」の看板が目立ちました。細かな観光みやげを売っていた店はすべてなくなり、多くがマッサージ屋に変わっていたのが驚きでした。つまり在庫を抱える物販業は次々破綻し、サービスのみの店がどうにか生き残っているようでした。その反面新規ビルや店舗の建築ラッシュなのですが、新しく店舗やテナントビルをつくるものの誰も借り手がおらず結局「FOR RENT」となり、新しい施設が空いているので古い施設に借り手がつかず「FOR RENT」となる、マヌケないたちごっこを繰り返しています。

 この凋落の原因は、いくつかあります。まず最大の問題は、JALとコンチネンタル航空の成田線廃線の影響でしょう。これまで成田−サイパン便は、ノースウェストを併せて一日六便程度就航していました。ところがこれが1/3に減ったため、サイパンに訪れる日本人が急激に減りました。以前廃線になった関空便が今年の春から復活したものの、乗客数によってはまた廃線の可能性もあるそうです。JALの撤退に伴いJALホテルや関連施設もじり貧の状況となりました。JALホテルの前にあるJAL関連商業施設の「ラ・フィエスタ・サンロケ」も、ピーク時は300店程度の店舗が出店していたにもかかわらず徐々に退店が続き、ついには廃墟と化しております。日本人観光客が赴く観光地に必ずあるDFSも閑古鳥が鳴きまくっており、まともな土産物はどんどんなくなり、ブランドショップだけが生き残っている状況です。
 昨年までは日本人観光客と増加しつつある韓国人観光客の比率が5:1程度の開きがあったのですが、現状は1:1になったそうです。もちろん原因は韓国人観光客が増えたのではなく、単に日本人観光客が減ったためです。観光客が減るので商業施設は成り立たなくなり、税収も激減します。それによって投資が行われないのでサイパンの魅力が減り、さらに観光客が減る。まさにデフレスパイラルに入っており、末期的な状況を示しています。

 もう一つの原因が、米国資本の撤退です。これまで米国は中国との直接経済関係を築けなかったため、こういった第三国に工場をつくって中国人労働者を招き入れ安い労働力で生産を行ってきました。ところが中国に直接投資が可能になったことから、こういった工場が基本的に不要となりました。そのためこの数年建設と操業の続いた繊維関係の工場がバタバタつぶれており、サイパン経済にダメージを与えています。同時に原油高もサイパン経済を逼迫させており、ガソリンは言うに及ばず電気代が1年前の倍になったそうです。クリスマスシーズンにもかかわらずツリーがほとんど見られなかったのも、これが原因のようです

 サイパンは北マリアナ連邦という独立国の一島であり、観光資源は海と「サイパンダ」というキャラクターしかありませんでした。しかしながらこの状況に対し国も重い腰をあげ対策を講じ始めたそうですが、これがまた短絡的思考の極みみたいな政策でした。
 今年の12月より、外国人、ならびに外国企業がサイパンでビジネスを行う場合、三年間の時限的許可を与えるそうです。三年経ったらすべての外国人、ならびに外国企業は一旦サイパンを退去し、その後半年以上空けてから再度許可を申請することになるそうです。すなわち、サイパン経済を活性化するために近々外国人と外国資本を追い出し、サイパン人による経営と経済発展を行うことを考えているのです。しかしこれには基本的問題があります。現在の観光客の受け皿が日本人、韓国人、中国人ならびにそれらの経営する店舗や企業です。その中でも日本人ショップのサービスレベルが高く、各国のゲストを満足させています。もともと労働意欲に薄いサイパン人がそのサービスの主体にとってかわっても、サービスレベルが極端に低くなるため、結局現状数少ない観光客すら失い、誰も来なくなるということが彼らには理解できないのです。

 サイパンは熱帯で比較的肥沃な土地であり、戦前には日本が立派な街を作り、田畑を作り、最後には鉄道すら引くことができました。すなわち働く気さえあれば、立派なリゾートになり得ます。しかし基本的に勤労意欲が低いため、それは実現できないのみならず、海外資本からも見向きもされない結果となります。アメリカはグアム同様準州にする提案をしているのですが、既得権のみに目が向くサイパン人にはその提案をはねのけ、自らのみが利する短絡的政策に終始していることが実態のようです。正直アメリカの提案をのまなければ、そう遠くない将来経済が破綻することは目に見えているようです。
 経済の衰退は環境に負荷が低くなるので海は綺麗になるのですが、反面魚を根こそぎとって食べてしまうので、ダイバーにも頭の痛い状況です。

 それでは皆様、よいお年をお迎え下さい。