2月第2週目のWeekly reportです。今週は「許さない社会」の風潮が再び垣間見え、やはりどうも釈然としない感が残ったまま週末を迎えています。
某若手歌手の軽率な一言が社会問題と化し、バッシングを受けています。軽率な発言内容は本当にさまざまな人々に不快な気分と苦痛を与えたことは事実ですし、これを容認することはできません。しかしながら同時に、25才の若者の発言がここまで責められなければならないのか、私には理解できないのも事実です。常識のある大人であれば、発言内容が何の根拠のないものであることは間違いなく理解できますし、単なる若者の戯言であったと私は考えます。いわば若者が、「油ギッシュな中年オヤジって、臭いんだよね」ぐらいの内容であったと私は考えます。
この発言によって、油ギッシュな中年オヤジである私は傷つく。これは事実です。悲しい気持ちになりますし、惨めな気持ちにもなるでしょう。同時に「俺は臭くない!」と、怒りも湧きます。しかしだからといって、たくさんの油ギッシュなオヤジと徒党を組んで、その若者を社会的に追い詰めていくことは絶対にしません。なぜならそれは、明らかないじめだからです。「臭いというのは事実じゃないし、個人の感じ方だ!」「体臭は誰にでもある!中年オヤジが臭いというのは、医学的根拠なんかないじゃないか!」「こどもに臭い、臭い、と言われ、家の中で俺はどれぐらい気を遣っているのかわかってるのか!」「体臭をなくすため、エステまで通っているんだぞ!」「臭いがあることを気にして、宴会で上着も脱げないんだぞ。この苦労がお前にわかるのか!」と涙ながらに語り、その若者を追い詰め、さらに大声で世間に同調を求める。「こいつこんなふざけたこと言ってますよ、絞めてやりましょう!」と煽る。若者が必死に「ごめんなさい! ごめんなさい!」、と謝っても、「誠意が感じられん!」「そのふざけた頭には、オヤジに対する蔑視が一杯だ!」「謝ったぐらいで許されると思うのか!!」 「この社会を支えているオヤジに対して、こんな失礼なことしかできないのか!」 世間のみんながこの若者を袋だたきにする。こんな状況、私にはまったく理解できません。
なぜならやがて若者は、間違いなくオヤジになり、その時に古の諺「人を呪わば穴二つ」を思い知ることになるからです。今回の某若手歌手も、女性である以上同様の体験をするでしょう。そしてそのとき、若かった自分の軽率さを思い出し、深く反省する。自らの過ちを悔い自らを律するだけでなく、その反省を自分の子供に託し、「人を傷つけることを、決して言ってはいけないよ。」と教える。これでよいのではないのか、と私は思います。
若者の過ちを諭すのは、大人の役目です。しかし同時に大人は、希望のある次世代を作っていかなければならないのです。過ちが許されないから何もやらない、逆に許されるなら何をやってもいい、という世代を作り出しているのが、今の大人の社会です。徒党をくめばなんでもやれる、さらにその徒党に匿名で参加したのであれば、何をやってもいい。こんな若者を作り出しつつあるのが、今の大人の社会です。人間として備える倫理観や道徳概念を失った若者を作っているのが、我々今の大人です。逆に失敗を恐れるがあまり、チャレンジすることを教えない、チャレンジによる失敗だけを強烈に伝え、萎縮する若者を作る。自分には何もできない、できるわけがないと若者に信じさせる、これが残念ながら今の大人の社会です。
成功を信じて、果敢にチャレンジする。これが若者の特権のはずです。だからこそ成功のためにひたすら一つのことを考え抜き、不安に耐え、さまざまな苦しみを乗り越えた上で、チャレンジするか否かを自分自身で決める。これが大人の第一歩です。そしてチャレンジの結果発生した失敗を深く反省し、自分のどこがまずかったかを学ぶ。その上でその失敗を糧にし、次のチャレンジにつなげる。こういった若者をつくることが、我々大人の大切な責任と思います。怒られるから何も言わない、という若者をつくるのは、やはり若者から若者らしさを奪っている気がしますし、健全なる次世代を作っているとは私には思えません。
今回の件で、奇妙にゆがんだ社会を強く感じる私がいますし、責任を感じます。
明日の若者のために、また頑張らなければ...
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・センサーで行動分析 日立、身につけ特徴把握
・番組録が新ルール 「ダビング10」
・個人認証の「相乗り」開拓 「スイカ」「パスモ」容量倍に
・飲み水を備蓄 クボタシーアイ、36g分
・セガ、希望退職400人
また面白かったので、朝日新聞の記事もご紹介です。
・歩いて発電携帯10台分 米・カナダ研究
・人に気付くカメラ 中部電・名古屋工大院
さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。