11月第1週目のWeekly reportです。
先週は激務でしたが、面白い体験もさせていただきました。
今週の月曜日のことです。先日本社を移転したばかりの某大手コンピュータメーカ系教育会社主催の提案書講座の講師を、ある企業で務めました。若手の熱心な技術者の集まりであったためこちらも必死に講座を務めました結果、多くの受講者の満足とともに講座を終講することが出来ました。終講の際には拍手をいただき、気恥ずかしさがありながらも充実した気持ちでこちらも帰宅することが出来ました。翌日教育会社の営業の方からお礼のメールをいただきましたが、「拍手が出た講座に立ち会ったのは初めての経験だった」とのこと。手前味噌ですが、私の講座では時たま拍手が起きるため、正直そんなものかな、という気持ちでした。
一日空いて、同じ教育会社が自らの教室で主宰する同じ提案書講座がありました。ここではもう10数年講座を担当しているのですが、講座のオープニング、レジュメデータ等の準備、出欠確認、施設利用に関する諸注意等を、教育会社の担当者に毎度行っていただいておりました。ところがその日は、定刻を過ぎても担当者が現れません。さすがに焦った私は講座を開始しましたが、いざパワーポイントを利用しようにもデータすら準備されていない状況でした。どたばたしながらも集結を確認し、わかる限りの注意をお話しした後に、私のPCにあったデータを利用して講座を開始しました。
休み時間に、講師控え室にある講座運営の部門に電話すると、「そんなのやるのは講師の仕事」といわんばかりの対応。データに至っては、「いるんですか?」との返答にさすがに驚きました。当日の式次第もわからないので担当者に尋ねると、まあ頭ごなしに担当者に怒られる怒られる。「お前がすべてのことをやるのは当たり前だろう!」という口調で20代の女性が怒る怒る。やれ出欠表は控え室にもってこいだとか、開錠施錠等は自分でやれとか、PCの立ち上げも自分でやれとか、朝礼に出ろとか指示のないことのオンパレード。指示のないことをこちらに求められても出来るわけがないのですが、担当者は自分が完全に正しいのですから、頭ごなしに怒られます。あんまり馬鹿らしいので、こちらとしても怒る気すらおきず、ただひたすら向こうのいいなりで聞いておりました。
最後に「講師控え室に入るパスワードがわからない」と尋ねると、「それすら知らないのか」という態度には、大人の私もさすがに切れそうになりましたが...もっとも「講座開始30分前には来い」とメールをいただきながら、50分前に開始する朝礼への参加を求めるようなおつむのレベルですから仕方ないとは思いましたが。
なぜこういったことが起きたのかを考えてみると、二つのポイントがあります。ひとつは従来その教室の階下に本社があったため、講座の企画担当者が簡単に教室に来れたため問題が起きなかったということです。しかし移転したため運営担当にそのまままかせたので、こういった齟齬が生じたようです。そして一番気になるもう一点は、景気減退ともに講座の企画担当社員の業務負荷を下げ、他の業務をやらせるということなのでしょう。そんなことは講師と運営担当にやらせて、企画部門は他のことをしろというのが、会社の方針なのでしょうね。
景気減退とともに業務効率の向上を図ることは理解できます。しかしこの企業は、外部受講者に研修サービスを提供している企業です。そのビジネスの源泉たる講座の品質が落ちることを知っていながら堂々と手抜きが出来る。これはまさに、大企業病以外のなにものでもないでしょう。つまり講座に参加されている受講者は客ではなく、その金を払っている企業そのものが客と考えているため、講座の品質がどうでもまったく気にならない、ということなのでしょう。「顧客満足」に関する講座も結構やっている企業なのですが、この会社そのものは「顧客満足」などどうでもよいという姿勢なのです。もっともその経営者の多くがコンピュータ企業からの天下りであるため、収益第一主義になってしまっていることは従前から知っていたのですが....
従来からこの企業の姿勢には疑問がありましたが、間違いなくこの企業は衰退することを確信した一日でした。同様のビジネスを展開する私にとっては、いかに大企業であってもこういった顧客満足や講座品質をないがしろにしていれば、確実に顧客は離れることを確信しています。こんな大企業がある限り、以下に景気が減退しようとも、質の良いきめ細かなサービスを提供する我々のような中小会社の存在価値は絶対失われない、こう実感した一日でした。
ついでに申し上げておきますが、このような状況でも、私自身はきっちり講座をこなしたことはいうまでもありません。ちゃんと最後に、拍手は起きましたから。
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・国内システム業界に影 IT投資 企業が凍結・抑制 野村総研、一転減益に
・ビデオデッキ ビクター生産終了 VHS DVD一体型に活路
・システムのアウトソーシング NEC、専門部隊で開拓 顧客に併せて最適提案
・携帯変調、部品もブレーキ 海外で低価格機シフト
・キャノン 9期ぶり減益、年初来安値に デジカメ低迷・円高打撃
・オランダ、CO2を富に パイプラインを再活用 野菜の温室に活用
・日本自動販売協会の電子マネー共通端末 飲料自販機、決済便利に
・緑化ブロック舗装 植物スクスク 路面涼しく
・MS苦渋の両面作戦 クラウド急成長・曇るウィンドウス 次期OS「7」正念場
・iPhoneでワンセグ ソフトバンク、機能強化
・BASFが「魔法瓶住宅」 独で暖房費8割削減
さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。