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Weekly report
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 November Second week

 11月第2週目のWeekly reportです。

 昨日の新聞によると、トヨタ自動車の業績が悪化しており、今年度予想の74%減の営業利益になるそうです。その減額がなんと1兆6千億という天文学的数値であり、これは非常に実体経済にとって恐ろしい状況です。なぜならば、トヨタ自動車がその営業利益をすべて内部留保としているのであれば、もともと経済に大きな問題はないかも知れません。しかし実際にはその利益を、新車開発や新技術開発、あるいは新たなる設備投資にまわしているはずであり、その結果としてそれらのお金が社会に流れ込んでいたことを意味します。トヨタとつきあいのある一流機器メーカーや素材メーカだけでなく、それらの裾野にあるすべての中小企業に、この利益の一部が貫流していたのです。したがってそれらの利益を失うということは、経済社会に1兆6千億円というお金が流れなくなることを意味しますし、それは経済にとって大きな損失としか表現できません。

 この状況を打開するために、日本政府は「生活支援定額給付金」の名目で、2兆円のばらまきを考えています。一時の地域振興券と何ら変わらない発想ですが、額面的には上記のトヨタの減益分と同じ程度の額ですが、これは意味合いがまったく違います。トヨタ自動車はその営業利益を配当という形で株主に還元するだけでなく、さまざまな経済活動に利用し、基本的に大きな留保を行いません。しかしこの経済状況下で生活支援定額給付金をばらまいても、不安を感じている多くの生活者は、貯蓄に回してしまう可能性があります。貯蓄は将来経済活動をおこなう原資とはなりますが、当面は経済効果がでません。となるとただ単に国の金庫にあったお金が銀行の金庫にしまわれるだけ、ということになり、結局経済に大きなインパクトを与えることは出来ないのです。

 となると、経済活性のためには、米国がかつて行った「ニューディール政策」のような公共事業を行うことが大切です。貯蓄に回るお金ではなく、経済が動くために「働き」と「消費」が前提となるお金が必要になります。残念ながら現在は、公共工事は「税の無駄遣い」のなってしまい、その利権に多くの企業が群がっています。となると、こういった旧弊な構造を前提とした公共事業ではない新しい公共事業を考える必要が出てきています。

 そこでキーとなるのが、ITだと私は考えます。トヨタをはじめとする自動車産業の好調が日本経済を支えたのであれば、再度自動車産業が中心に経済が活性化する公共事業を、ITを利用してはじめれば良いのです。

 たとえば昨今、自動車を使った痛ましい事故や事件が発生しています。大阪のひき逃げ事件や中学生のひき逃げなどのひき逃げ事件、飲酒による事故、自動車の窃盗、これらすべて、この数年非常に多く見受けられますし、それらに巻き込まれた人々を不幸にします。ならばこういった人々を作らない、新たな車社会のあり方を公共事業としてはじめればいいのです。

 私が考えるのは、免許の高度ICカード化です。知りませんでしたが、免許証のICカード化が始まったようなのですが、現在の機能は本籍地の記録と本人照合ぐらいであり、たいした機能はもっていません。これを高度なICカード化に変えてさまざまなサービスを行うことが考えられます。
 まずは免許をSuicaのような無線機能を持ったICカードにします。その上で免許上に、所有者の指紋データを登録します。その上で車の運転席にセンサーをつけ、運転者が免許を所持してなければ、エンジンがかからなくなる仕組みを作ればいいのです。エンジンを掛けるためには免許証が必要であり、ハンドルについた指紋読み取り装置で本人性の確認を行えば、その所有者本人、すわなち正規に免許を取得した人間が運転することを保証します。さらにその運転者の情報を車のメモリーに記録します。そうすれば万が一盗難等があった場合も、車に運転者情報が残ります。その上万が一の場合は車の情報を読み取るために、ETCなどとやりとりすれば良いわけですし、盗難車であればその時点で運転者の情報を捕捉できます。飲酒に関してもセンサーを利用し、アルコールを検知したらエンジンがかからなくすればよいわけです。
 「しかし緊急の場合は、それでは困るのでは?」という意見もあると思います。ならば上記の状態を無視する場合もエンジンを掛けられるスイッチをつければよいと思いますし、その際には車のライトが常にパッシングするような外部的に見分けがつく状態ができるようにすればよいでしょう。それらを改造した場合、やはりETC等で情報を捕捉できるようにすれば、改造の心配も極限まで減らすことが出来ます。

 これらのアイディアで大切なことは、これによって誰も困らないという点です。ひき逃げや飲酒運転を防ぐことが出来れば、多くの命を救うことが出来ます。であれば、誰からも非難されるべきものではないはずです。さらにこういった仕組みをすべての車に搭載するのであれば、自動車産業のみならず、それらをつくるデバイスメーカや部品メーカ、ネットワークやICカード、それを分析するアプリケーションシステムをつくるSIerなど、多くの企業が潤うことになるのです。となると、その企業と取引のある企業はまたさまざまな資材や働きを提供し、という具合に経済が連鎖していきます。さらに底に新たなるアイディアを追加すれば、無限の可能性が生まれます。免許証をベースにさまざまな申請が行えるとすれば、住基ネットよりはるかに優れた仕組みになります。そこに保険証情報や既往症、血液型、常時利用薬などを加えれば、万が一の際に保険証としても利用できます。まさに可能性は無限なのです。となると、こういった新しい仕組みを国が主導で作り出す、これこそ景気回復であり、公共事業のはずです。

 米国では、オバマ新大統領が誕生しました。この国も、抜本的な変革を起こせるリーダを、まさに必要としているのかも知れません。

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 今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・ドコモ 描けぬ成長路線 中期ビジョン発表 「具体性に乏しい」
・「人体通信」部品 1チップに アルプス電気 体積1/8、来年量産
・富士通、サーバ世界統一 開発費圧縮、独に機能集約
・2030年への挑戦 種々とロボット 医工連携・制度改革カギ
・工場野菜、全自動の畑 フェアリー・エンジェル
・大京、520億赤字 今期業績下期修正 オリックスが支援
・自動車との「間合い」課題 パナソニックはトヨタ、三洋は全方位
・日立情報 介護・福祉分野で支援強化 頻繁な制度改正に対応
・「冬に備えろ」トヨタ荒療治 根気営業益74%減 6000千億
・ヤフー提携、一転破綻 グーグル 成長戦略に「壁」 司法省との闘争回避

 さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。