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Weekly report
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 January Fifth week

 1月第5週目のWeekly reportです。

 先日、合衆国第44代目のバラク・H・オバマ新大統領が誕生しました。世界中から就任記念行事に多くの人が参加したようですし、その熱狂振りは凄まじいものでした。黒人初の大統領でもあり、アメリカ合衆国の差別状況を変化させる可能性を少しだけ感じさせられる一日でした。

 これまでの大統領は世界中でかなりの無茶を行いましたし、緊張感の高い世界を作り出してしまいました。世界貿易センタービルの事件やイラク戦争など、世界を変革させる大きな出来事の中で、自国の利益を優先した行動はより混乱する世界を生んでしまいました。オバマ新大統領は、その後を引き継ぎ難しい舵取りを行う必要があります。その舵取りはアメリカ合衆国だけでなく、世界の今後を決める一つの大きな意思決定となるでしょうから、慎重かつ大胆なものであることが期待されています。しかし世界の重みを、たった一人で双肩に背負う若い黒人リーダの心中はいかばかりのものなかのか、凡人の私には想像すらつかないところです。

 それでも就任演説を見ていて、私はこの若いリーダーの姿を、素直にかっこいいと思いました。力強い口調で短い文章を重ね、演説する。目先の変化ではなく、将来に向けた強い意思と挑戦を国民に約束する。目先のことだけに言葉と行動と策を弄しているどこかの国の政治家とはまったく違った、強いカリスマ性とリーダシップを感じました。この人ならば何かをやってくれるに違いない、この人なら信じても良いのかも知れないと思わせる何かが、このわかりリーダーに溢れていました。こういったリーダーの姿が、今の世界には必要なんだと痛感させられました。

 とはいえ世界はその就任によって経済的に楽観したわけではありません。就任当日の株価は大幅に下がりましたし、その反面また円が買われ円高基調は強まっています。就任後の今日まで、様々な企業の破綻や民事再生は続いていますし、その速度は当面衰えることはないでしょう。私の世代にとっては、一世を風靡したじゅわいよくちゅーる・マキ((株)三貴)が先週民事再生手続きを取ったのは、感慨深い出来事でした。

 ソニーが工場を縮小統合したり、ホンダが二輪レースからも撤退といったコスト削減策が新聞を賑わしますが、いくつかの企業では雇用を守るためワークシェアリングを行うことの検討を始めました。
 ワークシェアリングとは、景気後退等で減少した仕事量を現存の要員で共有しようという考え方です。たとえば、これまで単価二十万円の要員が五人で行ってきた、120万円の作業があったとします。その企業は、120万円の仕事を100万円のコストで仕事を実施してきたことになります。これが景気後退によりコスト削減の必要が生じ、仕事そのものが70万円に減ったとしましょう。仕事量が四割削減されましたので、利益率を半分にしても企業は約60万円程度のコストしか出せなくなります。仕事量が3/5になったのですから、2名をリストラしてこの状況を切り抜ける。これがかつての考え方でした。しかしそうなると2名は失業し、現在問題となっている路上生活者のようになってしまう可能性があります。

 そこでワークシェアリングという考えが生まれてくるのです。つまり3/5に減った仕事を従来の人数で行い、そのかわり全員の賃金を下げようというのです。60万円のコストですと一人あたり12万円という8万円の給料減に耐えれば、全員の雇用を保障することが出来るというのがこの考え方です。

 しかしながら私は、少なくとも我々のようなホワイトカラーには適用できない考え方と思っています。なぜならこれまでも申し上げたとおり、現状の企業は徹底的に無駄を排除した組織してしまっています。サービス残業は常態化しており、退社時間は有名無実です。下手をすれば深夜まで残業しても仕事は解消できないですし、残業代はでていません。このような状況でもクライアントからコスト削減要求があるのは事実なのですが、かといって仕事量は減りません。すなわち単価だけを下げろという要求が多いのです。となると、コストに併せて人員を減らすことはさらなる労働強化を生むことになり、結局は破綻を来します。

 しかし雇用を守ろうとすると企業は維持できないため、リストラが発生する可能性は高まってしまいます。このような閉塞的状況の中、我々はどうすればよいのか、もう一度実態を踏まえて真剣に考える必要があります。私は仕事の中身を見直し、全員の雇用を保障しつつも皆が楽になる方法を考えるべきと思います。リストラという方法をとらず、全員が納得し楽になる新しいワークシェアリングの考え方を見つけるべきと思うのです。

 一つには仕事の中身を見直す必要があると思っています。個人で考えた場合、忙しい仕事の中にはもっと単価の低い人間がすべきことも行っていることに気づきます。20年選手ではなく、2〜3年生が実施すべき仕事を行っているため、全体の生産性が悪くなってしまっているのです。となれば、まずはそういった易しい仕事や単価の低い仕事を外に切り出すべきと思うのです。そうすれば仕事量は減り、生産性は相対的に高くなります。即ち、単価の高い人間が高効率で短時間に仕事を行えます。

 その結果残業はなくなり、実質的に30%程の仕事量が減らせるのではないでしょうか。その分の給料を減らしても、暇という見返りがありますから我慢が出来そうな気がします。20万円の給料の3名は16万円に下がりますが、その代わり暇が出来ます。さらにリストラ対象の二名は、その易しい仕事を行います。給料は6万円になりますが、リストラはされず仕事は楽です。すなわち形式的な平等とではなく、難しい仕事や頑張っている人間はそれなりに、易しい仕事は給料をやすくという当たり前の形を作り出すことで全員に痛みをおわせ、この難局を乗り切る方法があると思うのです。もちろん6万円の仕事を任された方は、堪らないとおもいます。しかし実際はその仕事は海外に流出させるべきですし、そうすれば結果的に問題は減るはずです。

 こうやって相対的に暇を作ることが、内需拡大につながると私は考えます。すなわち高単価の仕事をするために、余った時間で勉強するという自己投資に対する要求が高まると思われるのです。投資をすればよりよい仕事が得られますし、それによってさまざまな消費が発生できると考えます。将来への不安を解消する消極的な方法としての貯蓄から、積極的方法としての自己投資が生まれるでしょうし、そのことはタンスの中に眠ってしまっている多額のお金を動かすキッカケになります。さらに仕事だけでない人間としての豊かさを求め、余暇産業の需要も上がるとおもわれます。長期的には日本人がそうやって豊かになることが、世界の強国としての地位を築くように思えてなりません。

 大切なことは、この複雑な状況を整理し、仕事の性質を切り分けて相応な単価を設定することであり、年齢とともに給料を上げるという考え方を改めることと思います。頑張った人間に相応の見返りを行い、頑張れない人間に頑張る道を用意し、その中で適正な評価を行う仕組みをつくるチャンスが、今我々にはあるように思えてなりません。

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 今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・ホンダ 排ガス抑える燃料噴射装置 世界の二輪車に順次搭載
・米IT「勝ち組」失速 10−12月 インテル90%減益
・サムスン、経営陣を刷新 過去最大46ポスト中25人
・メイテック厚木テクノセンター 最新器材で技術磨く
・ソニー・エリクソン、前期赤字90億円 業績回復へ道険し 携帯市場縮小続く
・EMCジャパン ITコンサルタント倍増 コスト削減など軸に提案
・ギブン社のカプセル内視鏡 富士フイルム、国内販売
・映画館にデジタルの波 当方と角川 12年までに全劇場に
・メーンフレーム市場開拓 日本オラクル、初のストレージ データベース処理10倍速く
・シンガポール・チャンギ空港 競争力向上へ株式会社化
・インテル工場閉鎖・5000人削減へ ノート向けMPU苦境
・ipod・マック伸び鈍化 成長戦略に手詰まり感
・「聖地」の終幕激震TV事業 ソニー赤字2600億円 工場集約

 さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。