Onomura System Consulting Office       

osco top


.
Weekly report
next

back

 

 

 

 

osco top

 March Fourth week

 3月第4週目のWeekly reportです。

  1990年代に台頭したオープンシステムやERPは、情報システムやアプリケーションシステムのあり方を劇的に変化させました。それまでは持てる企業(資金的に余裕がある企業)が社内にハードウェアを確保し、その上で自社独自のソフトウェアを大量のメンバーによって開発し、それを手直ししながら維持するのが一般的なやり方でした。より大規模な場合は外部業者にシステム開発や運用を依頼し、自社はその出先である端末を利用するといった方法もとられました。日本では大半のアプリケーションシステムは自社独自のものであり、自社の業務にあった自社なりのやり方でシステムを作るのが一般的でした。一部の企業でパッケージシステムを導入する場合でも、自社なりのやり方にカスタマイズし導入されることが多く、それが日本ではパッケージ市場が成長しないといわれた原因となっていました。

 しかし1990年代に入って、情報システムのあり方がさらに変化します。当初はハードウェアのおまけといわれたソフトウェアは、やがてそれが中心と考えられ、むしろハードウェアのほうがお荷物といわれるようになっていきました。しかし90年代に入り、アプリケーションシステムよりもデータ重要という考えが生まれます。これがDOA(Data Oriented Approach)というものであり、システム開発の考え方を大きく変えます。すなわち情報システムが本当の意味で、開発・運用サイド主導からユーザ主導へと主導権が移るキッカケとなったのです。つまりユーザにとって重要なのはデータであり、そのデータを収集・保存する仕組みを作り上げるといった考え方が主流になってきたといえます。

 その流れの中、ビジネスの成功モデルといわれるERPが普及しましたが、結果的にそれがユーザのシステムに対する負担を軽減しデータを利用する気運を高めました。つまり自由にデータが利用できるのであれば、コストの高いERPを購入し、自社ハードウェア環境で運用することに意味を感じない企業が増えてきたのです。そのためERPは、ASPという姿に形を変えていきます。すなわちERPによってアプリケーションシステムの維持・運用や改造といった手間から基本的に逃れることが出来たユーザは、ASPによってハードウェアからも自由になっていくのです。それでもASPは自社なりのインフラ環境をととのえるが一般的でしたが、やがてSaaSの出現によってそれからも自由になり、ユーザはまさにサービスのみを享受し、データを自由に利用できる環境が生まれたのです。

 逆にこういったシステム環境の変化は、独自の仕組みを維持する大きな企業にも変化を与えます。現在もそうですが、オンラインシステムのシステムを考える場合ピークを常に検討し、ハードウェアやネットワークの設計をします。しかしその前提には、基本的にユーザが決まっており、そのユーザが同時にアクセスした場合にピークが生じるという考えがありました。ところがインターネットの普及とともに、ユーザが年々不特定多数となり、そのピークの想定が難しくなってきます。そこでAmazonなどの大手企業は、そういった不確実なピークにも対応できるよう想像を絶するような大量のハードウェア(サーバ)を確保するようになってきました。もちろんそれらの大半は、ピーク以外は休眠資産となります。そこでそれらの企業はそのハードウェアや構築した環境を時間貸しするサービスを始めているのです。これがHaaSやPaaSといわれるサービスです。

 AmazonはそれらをEC2とかS3というサービス名をつけていますが、これを利用すればどんなに小さな企業でも、自社なりのシステム体系を選択して開発・運用することが可能になります。すなわち汎用的なビジネス体系でサービスのみを受けたい企業はSaaSを選択すればよいですし、自社独自のアプリケーションシステムを構築したい企業は、PaaSを選択できます。環境とアプリケーションシステムシステムは自分で準備し、規模の大きいハードウェア資産のみを利用したい企業は、HaaSを選択すればよいのです。つまりユーザはシステムの制約や保有コストから原則解き放たれ、逆に自社なりの方法でシステム環境やサービスを構築することが可能になったのです。

 HaaSやPaaSはまだまだ未発達の概念です。しかしサービスが提供されている以上、今後新しいトレンドになることは間違いありません。こうしてユーザが情報システムの制約から徐々に解き放たれている現在、我々のようなIT技術者には今後どのような力が要求されるのか。真剣に考える次期が到来したようです。

 閑話休題。

 個人的な話題ですが、先週私の友人で税務顧問のK公認会計士が緊急入院との連絡を受けました。原因はエコノミー症候群による肺血栓だそうで、現在ICUに入っています。詳細はまだ不明ですが、一日も早い回復を心から祈っています。ガンバレ!Kさん!!

 ======================================

 今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・銅、鉄・・竜がのみ込む 中国構成、値上げ圧力
・インプレス、赤字13億円 広告、雑誌の低迷響く
・経済危機下の米IT産業 低コスト体質で生き残り
・サティヤム買収 インド4社が検討 「130社が関心」の情報も
・常識に挑む 「ポメラ DM10」 メットやメール機能省く 小型でも入力しやすく
・携帯接続料下げて報酬 固定系とソフトバンクなど 議論かみ合わず
・クラウドで変わる 投資削減、VBに最適
・NTTデータ 中間持ち株会社 コンサル3子会社を統括
・車部品メーカ 小型・環境社向けに軸足
・着るだけで体脂肪燃焼 帝人、肌に密着 下着用素材
・データセンター仮想化 シスコ、サーバ参戦 IBMやHPとの共存崩れる
・工作機器 キャンセル続出 2月鉄鋼など受注を上回る
・米カーライル ウィルコムに追加出資 次世代PHS覚悟の深追い
・カラーの電子ペーパー 富士通フロンテック 読書用に一般向け
・ジュンク堂を子会社化 大日本印刷 株式51%取得 丸善再建へノウハウ
・携帯に便利、プレゼンの見方 アドテック[AD−MP15A]
・建機の相応打ち消す 戸田建設が新技術 スピーカーで逆位相の音

 さて来週は、どんな一週間なのでしょうか。