5月第2週目のWeekly reportです。
マスコミの報道はインフルエンザA型一色となっていますが、とうとう日本でも感染者が発生しました。勢いを増す北米での罹病ですので予想された事態とはいえ、いよいよ日本での感染拡大も夢物語というわけには行かなくなりました。世界の距離が短くなった以上、今後も何らかの形でインフルエンザは流入してくるでしょう。さらに現在の水際作戦も限界がありますので、やがては国内流行には繋がるはずです。日本は梅雨というシーズンで流行は下火になる可能性はありますが、それでも今年の冬はいよいよ要注意の状況になるようです。
とはいっても冬季に流行するインフルエンザでも、インフルエンザに起因する脳症などで少なからぬ人数が亡くなっていますので、かならずしも今回のインフルエンザが危険ということはできないのかもしれません。ヒステリックな対応を行うことが望ましいわけではなく、冬季のインフルエンザを含めて当たり前のことをあたりまえに対応することが重要となります。報道に浮き足立つことなく、ご自分と近親者を守るために必要なことをきちんと実施することが大切です。
閑話休題。
で、個人的な話題なのですが、このゴールデンウィーク中に老父が倒れました。数日前からやや不調の兆しが見えたのですが、夕刻に老母より連絡があり「お父さんが壊れた」とのこと。慌てて自宅に向かうと、完全に言語を失調した親父がいました。本人は必死に話そうとしているのですが、意味のある言葉がきちんと出てこない様子であり、文字を書いても同じでした。まずは救急車を呼び、その後こちらの言うことは多少理解できたようなので、目の動き、ならびに四肢の末梢をチェックしたところ、脳溢血の兆候は見えませんでした。救急隊が到着後血圧を測りますと非常に高く、とりあえず救急病院に搬送することになりました。
救急隊は、「これから受け入れ病院を探します。」と言うので、この近所(クルマで10分以内)に3カ所の国立病院・大学病院・大手総合病院があると伝えましたが、いずれも救急患者は受け入れしないと言われてビックリしました。すべての病院とも、救急搬送する原因となる症状に対する治療を直近で受けていない限り、受け入れ拒否だそうです。国立病院だけは救急患者の当番日の日だけには受け入れをするとのことでしたが、残念ながら当日は違う日でした。救急車に搬入後、受け入れ先病院を見つけるに13分間の時間がかかりましたが、結局私が昨年骨折した際に受け入れてくれた中規模病院が今回も受け入れをしてくれるとのこと。病院到着後のMRI検査、診断とも迅速かつ適切で、本当に助かりました。結局親父は側頭葉の脳梗塞であり、言語野に障害が出たとのこと。現在も入院加療中ですが、適切な治療が行われたため運動機能も失語も劇的に回復しています。
しかし今回の件で、またまた日本の医療現場の問題を痛感させられました。現在の日本の状況では、近隣に大病院が3つあったとしても、救急の対応は救急車が来るだけで終わりです。となると皆様ないしは近親者の方が倒れる際には、
・倒れる前日から1か月以内ぐらいに、その原因となる症状を大病院で見てもらっておくこと
が必要ですし、それ以外の理由で倒れた場合は、
・生命に30分程度の余裕がある症状で、倒れなければならない
ということになります。つまり救急車で運ばれる状況を作らない以外にないですし、救急車で運ばれるような状況になったら、救急車の中で死を覚悟せざるを得ないというのが現在の日本なのです。こんな状況、まったくナンセンスですよね。
もとはといえば、我々の税金でこういった救急メカニズムが作られ運用されているはずですし、救急指定病院も、指定に際してさまざまな公的な恩恵を受けているはずです。また少なくとも国立病院の医者は国立大学出身者が多いはずですので、その育成にも税金が利用されているはずです。しかしながらその成果を我々は受けることが出来ないとすると、いったい何のための健康保険料や税金なのか考えさせられてしまいます。さらに私の住んでいる街は神奈川県最大級のベットタウンですから、医療機関数などは国内でも有数のはずです。そのような環境ですら、十分な救命体制がない。となれば、地方は....
これは深刻な問題と言わざるを得ません。
さまざまな商業施設や公的サービスが24時間化しています。昔から医療体制だけは24時間だったのに、どうも最近は事情が違うようです。医者の数が急増できない現実がある以上、我々はこの状況を変えるIT化を、真剣に考えるべきタイミングが訪れたようです。
一つだけ救いがあったのは、救急隊員の対応でした。その救命任務に真摯に携わっていましたし、その責任感をひしひしと感じました。こんな関係者がいる限り、かならずや再生の可能性があると信じたいと思います。救急隊員の皆様、本当に有り難うございます。また受け入れてくださったK病院の当直医の方も、本当に有り難うございました。久しぶりに、死線を越えた目を見せていただきました。 多謝!
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・エイベックス初の赤字 前期最終10億円 CD落ち込む
・世界のアウトソーシング拠点 バンコク「危険度」2位 米民間調査
・クライスラー破産法申請 米市場独伊が争奪 フィアット/VW
・遠隔操作でデータ消去 富士通とウィルコム ノートPC向けシステム
・SOAと直販が強み 独ソフトウェアAG、不況下でも好調 システム連携、安価に
・A4サイズ 日本向けに 英ダイソン小型掃除機 首位奪回へCM集中
・負債返却、頼みは「子」 ポルシェ、VWと統合 金融危機で痛手「買収」戦略転換
・任天堂 前期決算、過去最高益でも反落 ソフト「弾切れ」に懸念
今週は、どんな一週間なのでしょうか。