6月第2週目のWeekly reportです。
梅雨のような日々が続きますが、おかげで新型インフルエンザの報道がほとんどなくなりました。マスクの供給も始まりだしたようであり、いよいよ事態が沈静化しそうな雰囲気です。
一報で経済破綻の影響はあらゆる所に及んでおり、IT業界もいよいよ苦しい状況になってきました。今後の顕在的テーマはクラウドですが、それとて劇的な投資額削減につながるため、IT業界の収益改善には繋がらない可能性があります。いよいよ我々は、下請型人材集約型産業を脱する必要があるようですし、世界を相手に戦うことを覚悟しなければならない時期に来ています。これについて本気さを感じるのはNTTデータだけというのが日本の状況ですから、今後の展開に楽観は出来ません。その他の大手IT企業は自社顧客の集約化を図っており、オープン化の過程で広がったマルチベンダー体制を変えて顧客を囲い込むこと、あるいはかつての共同システムのように同業種の企業のシステムを連携して行うといった方法でコストダウンを低減するといったことを狙っているようです。その過程で自社だけが顧客を確保するということを露骨に行っているため、中小のIT企業は本格的な自立を考えなければなりません。
人的資源や資金力は、大手企業の独壇場でしょう。となると中小のIT企業は、別の戦いをしなければなりません。私の持論は、上流工程への進出であり、そのための人材育成が勝負になります。目先の開発技術の習得だけを目的とするのではなく、長期的に上流工程を捌ける人材を育成するのが、生き残りの勝負と考えます。となると、一人一人の技術者が自分の可能性を認識し、考える訓練を始めなければなりません。「自分には無理」と否定することは簡単ですが、そこからなにも生まれてきません。逆に自分の無限の可能性を信じても、平素の仕事に何の支障も生じないだけでなく、おそらくは仕事の精度や速度の改善に繋がっていきます。となると、誰も損をせず、誰も不利益も被らないことになります。
アイディアは無限ですが、誰にでもすぐ浮かぶものではありません。となると、アイディアを浮かべられる頭を作ることが大切ですし、そのアイディアをビジネスにつなげる論理的な思考力も必要となります。そして何よりそれらを収益につなげるため、顧客のビジネスを理解する力と、問題把握/解決能力が必要となります。それらをきちんと習得するためには、少なからぬ時間が必要です。だからこそ今我々は、その力を習得するための努力を始めなければならないと思うのです。
GMが破綻したのは、自社の能力を慢心したことに始まっています。我々は独自の道で生き残るため、巨大企業の影ではない新たな道を探す必要があるのです。
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・IT世界展開 顧客と歩む NTTデータの研究 3局体制へ2000億円投資
・「ラッシュオーダー」難題 電子部品 中国が短納期発注 各社SCM見直しも
・クロマグロの稚魚販売 日本配合飼料 卵から人工ふ化
・中国、電池大国へ充電中 リチウム確保/21世紀リード 電気自動車で派遣狙う
・消える360億円ネット市場 改正薬事法今日施行 対面販売は拡大 製薬、対応急ぐ
・凸版、大日印・丸善に対抗軸 紀伊国屋との業務提携発表 デジタル化で出版活性
・盗難/紛失時 データ遠隔消去 IIJ、ノートPC向け
・最終赤字3300万円に ケンコーコム9月中間 改正薬事法 売上高は下方修正
・MRI付手術室、日本で 加イムリス 患者の移動不要、負担軽く
・フィリピンの人材厳選 システム受注 AWS ITと日本語武器に
・「TV向けネット」競争激化 ユーチューブ新サービス開始 利用層広げ主導権狙う
・GM「ハマー」売却 中国重機中堅と交渉
・小型充電スタンド EV・PHV向け 豊田自動織機 価格も45万円に抑制
・ソニー、ネット戦略起動 アップル追撃へ「器」そろう 再生かけ背水の陣
・大型汎用機ユーザ奪え 日本HP 無停止型サーバにソフト載せ替え 移行コスト半減
・「データセンター誘致」 石狩市が税制優遇措置
・電気自動車発進 三菱自社運”乗せ" 共用ラインで自動化率2% 「規格外」を量産
今週は、どんな一週間なのでしょうか。