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 July Third week

 7月第3週目のWeekly reportです。

 先週半ばまで休暇を取っていたため、休みぼけのまま日々をおくってしまいました。仕事はそこそこに行っていたのですが、やはりまだまだエンジンがかかりません。もう少し頑張らなければ、と思いつつもなんとなく時間が過ぎてしまいました。

 週末、友人の出演する芝居に出かけました。今回は紀伊国屋のサザンシアターで公演が行われました。芝居そのものは相変わらず面白く、友人の存在感も相変わらずだったのですが、そこで一つだけ経済の影響を感じる出来事がありました。というのは、この手の芝居の入場の際には、さまざまな劇団のチラシをセットにして受け取ることが普通です。その劇団関係者が客演していることが基本ですが、それ以外のさまざまな劇団のチラシを受け取ります。多くはA4の上質紙に両面印刷されていますし、その片面はほぼカラー印刷が普通でした。しかし今回うけとったチラシには、普通紙にリソグラフ等で印刷したと思われる単色刷のものが多く見受けられました。

 こういった小劇団とよばれる演劇は、大手の商業演劇と違い採算をだすことが難しいようです。公演中の会場の賃料も決して安くはありませんし、セットや衣装等のコストもかかります。照明や音響といった機器のレンタルも必要なら、それらを扱う専門スタッフのコストも必要でしょう。もちろん公演以前にも練習場の使用料も必要になりますし、その他にもいろいろなコストがかかるのでしょう。
 一人四千円のチケットで一週間に10回の公演を行ったとして、全公演が満席(400席)になったと仮定してみますと、全公演の売上は1600万円ほどになります。本多劇場のような有名な劇場を1日借りると25万円程度かかるようですので、一週間で約200万円ほどのコストが必要です。照明や音声にいくらかかるかわかりませんが、おそらく同程度以上はかかるでしょうし、セットや衣装も同様にコストがかかるでしょう。となると、諸経費だけで半分程度のコストがかかります。またセットの搬入・搬出などに輸送料もかかりますし、廃棄にもコストがかかります。大事な公演案内の送料もバカにならないはずです。そこに練習分のコストを加えると、おそらく残りは500万円以下でしょう。主演級の役者や脚本家、演出家には多少の取り分があると考えても、10人程度は支払う必要がでるでしょうから、一人あたり50万円程度の取り分となります。しかし彼らの準備・練習期間を考えると、約1か月程度は拘束されていますから日給2.5万円となります。その他の出演者とスタッフで40〜50名が参加しますから、その大半は無給どころか手弁当で参加ということになるのでしょう。

 「役者は喰えない」とは聞いていましたが、やはりこれは現実のことのようですし、今回のチラシはその状況を端的に示しています。すなわちコストを下げるべき所は下げざるを得ないというのが、こういった劇団の現状なのでしょう。私の友人の劇団もバブルの際には、さまざまな企業からメセナという名目で資金提供を受けていました。しかしバブル崩壊後はそういったスポンサーがすべて撤退し、かなり苦しんだと聞いています。この数年、少しだけ資金提供があったように聞きますが、この経済低迷でまたそういったスポンサーがいなくなり、小劇団などの演劇活動はかなり苦境に陥っているようです。

 演劇などの芸術は、人間の基本的生活には必要のないものかも知れません。しかし人間が人間らしく生活するためには、音楽や演劇などの芸術は不可欠の要素となります。それを職業として選ぶのは本人の問題ですが、このすさんだ時代に少しでも人間らしい潤いをもたらすこういった文化活動を支援する仕組みが、経済社化にも必要と感じざるを得ないのが正直なところです。非正規雇用など職すらない時代なのだからそういった対策のほうが急務ということは十分理解できるのですが、文化を枯らすにはたった1日で済むこと、逆にその文化を育てるために何年もの時間が必要となります。そう考えると、文化を維持することにも我々経済人の配慮が必要なように思えますし、特に文化を軽視する現代の日本の経済人にそれが求められているように思えてなりません。それが、国際化の一つの方法のような気がするのは、私が歳をとったせいなのでしょうか。

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 今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・「病院丸ごと」戦略 先兵 パナソニック、医療支援ロボ開発 家電・AV技術移植カギ
・ADSL半額で医療機関に提供 ソフトバンクBB レセプト請求 オンライン化に的
・「ITゼネコン構造」崩れる 大手外注削減を加速 下請に選別・淘汰の波
・EV充電立体駐車場で 三菱重工パーキング パレットに通電装置 後付けもOK
・無線通信で設定切り替え 植え込み型除細動器2種 セント・ジュード
・ソニーも低価格PC ノート型「バイオ」シリーズ
・電子カルテ、部門間連携 帝京大学病院の医療情報システム 現場の負担やIT投資抑制
・中国「検閲ソフト」義務化延期 揺れる対応メ ーカー混乱 搭載拒否の米国に軍配
・マヒンドラ、TOB失敗 サティヤム新株引き受けへ
・トヨタ「富士」F1開催撤退 「何でも自前」のツケ 自動車の魅力訴求の場失う
・棚のLED点灯→部品取り付け 電子製品の工程指示 ノアシステム 紙と照合の手間なく
・IT予算、厳しい景気反映 「減らす」34%、「増やす」14% CIO対象、今年度民間調べ
・改正薬事法 施行1か月 薬剤師対応義務 「第1類」は苦戦
・クラウドは無駄か 自社インフラと別扱いを
・英語の医療論文 患者・家族にも読みやすく翻訳 NTT研、読解支援システム
・稼働率低下を逆手に 部品各社、若手育成を強化 小糸:実習等で基本伝授
・雑誌デジタル化 課題多く 書店との関係・著作権・資金・・ 競合が連合、時間感覚カギ

 また先週の日経産業新聞の記事で、面白かったものは以下の通りです。

・LDH、680億円配当決定 次はライブドア売却?訴訟費用計上めど
・中小のIT投資額五%減 医療分野では増加も 今年民間予想
・低迷TBS、打開策探る 楽天問題で「失われた3年半」 本業が失速視聴率四位
・脳波で電動椅子GO
・血糖値測定 コンタクト型センサーで 東京医歯大 涙の糖分から推定
・ゲームセンター 「脱・百円玉」進む 電子マネーやICコイン 柔軟料金で増収狙う
・タタ自、印でも「ジャガー」発売 世界販売は不振 凱旋の影に代償
・ホンダ、ハイブリッド軸に 動力源、ディーゼルと共存
・NTTコム ドック情報大手にTOB 取得額79億円以上 ウイルス検出強化
・ジョブス氏が半年ぶり復帰 アップル
・バイク、専用ナビで疾走 ホンダ 顧客囲い込みに「コンシェルジュ」
・早稲田アカデミー、買収防衛策導入 対ナガセ、神経戦続く
・次世代のリーダー手探り NTT再編10年 変わる人脈
・筋肉の信号で操作 拳動かすと二足歩行ロボ歩く バイオシグナル通信機など販売
・UQコム「WiMAX」開始 回線・端末開放、普及へ賭け
・洋画+日英字幕 USBに収録 ソースネクストPC用英語学習ソフト
・ヘッドホン 耳元飾る女性向け パナソニック:ロゴ封印、12色を投入

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。