10月第1週目のWeekly reportです。
先日子供が、新型のiPod nanoを購入しました。コマーシャルでもやっていますが、カラフルな色をそろえた音楽デバイスです。SONYを初め各社がこの市場でひしめいており、Appleのシェアを奪取しようとしのぎを削っています。しかし今回のiPodもそうですが、本当にAppleの技術者のアイディアと技術力には感心させられます。その機能やコンセプトはいずれ他社に真似られるのでしょうが、次元の違う発想やソフトウェアの完成度には、本当に驚かされます。
まずはモーションセンサーを利用した、シャッフル機能。本体を振るだけで、音楽がシャッフルされランダムに再生されます。これが結構気持ちいい操作なのです。もちろん録画も簡単でクリアな映像が撮れますし、簡単にいろいろな映像加工ができる点も素晴らしいと思います。さらにFMラジオをつけたり万歩計として使えたりと、本当に新しい機能が満載されています。
ハード的に見ても、素晴らしいと思わされる点がいくつかあります。まずはその大きさ。私自身初代のiPod nanoを持っていますが、それよりも一回り薄く小さい印象があります。それでもそれなりの音質のスピーカをつけ、この薄さにカメラを埋めて、さらに16GBのメモリをのせ二万円弱で販売する。Appleの真剣度と努力が本当に伝わってくる製品といえます。
しかしなにより素晴らしいと思うのは、こういった新しい製品をつくろうとする意欲と、情報技術を中心とした常識に染まらない姿勢、さらにはそれを実現する技術者の技術力と発想です。一つ一つの技術やアプリケーションは、ある意味当たり前に実現されてきたものかもしれません。たとえば今回のシャッフル機能も、モーションセンサーを利用した製品にとっては一般的な機能とは思います。しかし実際に使ってみると、その操作性や操作感覚、反応の良さに感心させられます。これは私が使っているiPhoneで常に感じることですし、新しい発見がたくさん入っているといってもいいのかもしれません。
さらに今回のiPhone3GSのコマーシャルにあるように、ふれあうことであたかも名刺を交換するように個人情報が交換できたり、写真を相手に渡したりできる、あるいは相互でゲームが出来るなど、本当に新しいアプリケーションやサービスのあり方を見せてくれます。もちろんその多くはサードパーティの企業や個人が作っていたりするのですが、その可能性を実現するiPhoneのプラットフォームやミドルウェアが素晴らしいのも事実なのです。
かつてSONYの役員がiPodをみたとき、「これをなぜSONYでつくれなかったのか」という言葉が出たそうです。実際に現在のソニーの製品を見ても、Appleよりも高い技術を有し利用しているのは事実と思います。音質や他の機器との接続性、拡張性、そして何よりメモリーの容量、あらゆる意味で高い技術力をもてさまざまな機能を実現しているのです。しかしながらそこに、どうしても理想を実現しようとする技術者目線が見え隠れしてしまい、利用者を単純に驚かせるという遊びが見えてこないのです。そこがApple製品との最大の違いに感じます。
「人間としての気持ちよさ」という感性の世界を実現しようとするAppleと、「最高の技術」という品質の世界を実現するSONY製品、それらのアイディアを廉価に真似る他社製品。しかしさまざまな技術競争の中で、Appleの方向性はユニークですし、感性品質という新しい世界を開こうとする姿勢は、すべての技術者が真剣に考えなければならないテーマのように思えます。
AppleとSONY。このふたつの会社にある明らかな一線の違い。これを埋めない限り、日本の製品が本当に意味で再び世界を席巻することは難しいと思うのは、私だけなのでしょうか。
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今週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・GPSで鉱山現場効率化 コマツ:巨大ダンプ無人運転 日立建機:部品交換時を通知
・パーム 6〜8月 赤字幅が4倍に
・タイヤ、脱「石油」加速 合成ゴム100年 新興勢に「環境」で対抗
・スポーツ中継 好きな視点から「観戦」 KDDI研が圧縮技術 カメラ8台分の高精度映像
・サムスンが電子書籍端末 教保文庫と提携 まず韓国で販売
・金型"鎖国"とき中国に活路 不況で受注急減 不出の技術も販売 現地企業に生産指導
・PS3、値下げで逆襲期す SEC配信サービスに活路
・米HP EDSブランド廃止 一層の相乗効果狙う
・中堅・中小のIT投資厳しく 「減少する」43%に
・航空機市場 今後20年で2万5000機 エアバス予測 機体の大型化進む
・ウィルコム 最終戦へ賭け 事業再生手続き入り しのぎ削る通信各社
今週は、どんな一週間なのでしょうか。