12月第4週目のWeekly reportです。
副業の「もぐりの仕事」を兼ねて、昨日までサイパンに行っておりました。そのためにこのホームページの更新が遅れましたことを、心からお詫び申し上げます。また私の体調についてご心配をおかけしました皆様にも、本当に申し訳なく思っています。
さて1年超ぶりのサイパン訪問でしたが、相当に事態が悪化していた印象を受けました。クリスマス・年末年始の休暇まえの閑散期ではあったものの、それでも相当に観光客が減っているようでした。昔は街中にあったクリスマスイルミネーションもほとんどなく、花火屋もほとんど店を出していません。目につくのは韓国人ばかりであり、日本人の数は相当に激減したようです。(もちろん韓国人も、30%程度減っているようです。)街のいたるところで廃業した店舗が目立ち、メインストリートですら半分程度の店しか稼働していません。DFSへの無料送迎サービスも廃止され、定期バスも
事実上廃便に近い状態であり、ガラパンという中心街へのアクセスも相当に悪化しています。店内でも客数が減っていますし、頼みのロシア人もあまり見かけません。ダイビングショップでも聞きましたが、本当に客数が減っており、どこのショップも相当に苦しいとのことでした。私の知り合いのダイビングショップの方も、「この一週間潜ってないんですよ〜。」と淋しいことを言っていました。
前にこのページでもご紹介したとおり、11月28日からサイパンは正式に米国領の一部となりました。その理由は、長年にわたりサイパン政府に対し相当額の経済支援を行ってきたものの、その支援額の多くが不明瞭会計により処理されており、インフラそのものの対する投資がほとんど行われなかったことが原因とされています。要は政府関係者により、それらの支援金が横領され続けたということであり、結果的にサイパンは米国領として支配下に置かれることになりました。
その結果、グアム同様外国人がサイパンで活動するためにはグリーンカード(労働許可証)が必要となり、それが現在の大きな問題となっています。サイパン政府そのものに行政能力がほとんどないため、一年以上の猶予があったにもかかわらず、この問題について明確な方針ができないまま結局米国領となってしまいました。その結果、現在サイパンで働いている外国人労働者には「アンブレラパーミット」という2年間限定の就業ビザが発行され、現在の身分を保障しているようです。しかしこれについても一度サイパンを出国すると無効になり、その後の入国は認められません。したがってサイパンで働いている外国人労働者は、基本的にこの2年間母国への帰国は事実上出来ないということになってしまいました。もちろんその後の取り扱いもまだ決まっておらず、最悪2年後にはグリーンカードを持たない外国人労働者がサイパンから消えると言うことになります。
これが意味するのは、サイパンの破滅です。なぜならば、現在のサイパンの人口を考えると、1/3が原住民であるチャモロ、1/3がフィリピン人、1/3が他の外国人となっているためです。外国人がすべて職を失うと、島から2/3の人間がいなくなるということです。さらに道路や建物の工事に従事しているのはフィリピン人ですし、ホテルやレストランの従業員もほとんどフィリピン人です。ということは、彼らがいなくなるとインフラの整備・維持、ならびにホテルやレストランのサービスは行われないと言うことになるのです。さらにレストランやマリンスポーツのショップなど、質の高いサービスを提供しているのは日本人です。となると、日本人がいれなくなればそれらの店は基本的に廃業せざるを得ませんし、その結果サイパンを訪問する目的がなくなります。その他の日常用品を扱う商店についても韓国人や中国人が経営しているところが大半ですから、それらもなくなると、日常生活そのものが営めなくなる可能性も高いのです。その仕事を原住民であるチャモロがカバーできるかといえば、極めて勤労意欲が低く効率の悪い彼らには現実的には難しいように思います。したがってもし2年後に本当に外国人労働者の就業を認められない事態が起きれば、サイパンは訪問価値のない単なる南の島になってしまう可能性があるのです。
この状態に対し、現地の日本人労働者は戦々恐々と事態を見守っているようです。私の懇意にしているダイビングショップの方も、「2年後、俺は何したらよいんだろう...」とちょっと気弱になっていました。
しかし今回一番驚いたのは、その中でもダイビングボートのフィーが猛烈に値上げしていることです。下手をするとダイビングフィーよりも高くなっており、さすがにこれには驚きました。原因は燃料高騰なのですが、今後米国化により最低賃金と年度単位の賃金上昇率を守る必要があるため、フィーは上昇傾向が続きます。このまま行けば、コスト的にもサイパンは相手にされなくなり、グアムはもちろんパラオやセブなどに移行されることになるでしょう。私の「もぐりの仕事」のホームグラウンドも、いよいよ終焉の危機を迎えています。
最後にもう一つ。かつて成田−サイパン間は、日航、コンチネンタル、ノースウェストが就航していました。しかしこの経済危機によって日航とコンチネンタルが廃便となり、現在はノースウェストだけが就航しています。(1月以降コンチネンタルも再参入する予定ですが。)ノースウェストは経営破綻でデルタに吸収されたため、事実上デルタ航空がサイパン便をとばしています。初めてそれに乗ってみましたが、いやぁ、酷いこと酷いこと...飛行機のボロさは半端ではないですし、アメリカ国内線でもこんなに古い機体は見たことがない、みたいな飛行機を飛ばしています。機内サービスも極めてしょぼいですし、快適性からは相当に遠い世界となりました。ビジネスクラスですらこうですから、エコノミーはどんな状況なのか...(今回もぐりの仕事のお客様もノースウェストで来ましたが、椅子のリクライニングが固定できなかったそうです。) 日航がデルタのグループになると、どのような結末をたどるかを実感させられた行き帰りでした。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・東芝「点灯管」の生産終了 旧型蛍光灯の補助部品 半世紀あまりの歴史に幕
・国内IT投資7.7%減 今年、ほぼ全産業マイナス 来年も水面下、0.7%減
・ホンダ「インサイト」 米市場、思わぬ苦戦 「小さすぎ」HV戦略見直しも
・トヨタ、プラグインHV市販へ 電池量産 戦略のカギ 「単独調達」見直し
・電動で「走り」アシスト 筑波大 負担7割、通勤・通学楽に
・クラウド1万社照準 セールスフォース日本法人 開発基盤利用 NEC、富士通も
・ICタグで消費者向けサービス NEC、新ビジネス提案 インフラ貸し出し 企業に利点説く
・粉飾の印IT 旧サティアム デロイトを監査法人に PWCインド法人会長辞任
・全日空サーチャージ値上げ 2〜3月分 欧米線は7000円
・アドビ、赤字転落 9〜11月 買収費用が重荷に
・ビデオカメラ HD対応、1万円切る エグゼモード 8倍ズーム、静止画も
・「100円レンタカー」FC展開
・「B787]ようやく初飛行 ボーイングなお茨の道 2年遅れ痛手量産投資重く
・加入者獲得へ UQコム加速 WiMAX月380円から 基地局拡大前倒し
・出版社分かれる対応 グーグル電子書籍、来年に有料閲覧 大手は様子見
今週は、どんな一週間なのでしょうか。