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Weekly report
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 January Fourth week

 先日の報道にもありましたとおり、新宿の家電量販店の一角であったさくらやが清算されることになりました。創業は戦後まもなくですから、六十余年の歴史に幕を閉じることになったようです。

 戦後創業したさくらやは、昭和30年代に新宿西口に進出し、ヨドバシカメラやカメラのドイとともに一時代を築きました。やがてカメラや関連製品の販売から家電等に多角的な展開が行われ、後に進出してきたビックカメラとともに新宿に家電量販店の一台集約地をつくりました。結果的に家電の街からPCショップ、やがてはオタクの聖地と変遷した秋葉原から顧客を奪い、新宿は家電の街として発展していきました。

 しかしヤマダ電機を代表とするロードサイド店の全国展開とインターネットによる家電の販売が、これらの牙城を徐々に突き崩していきます。さらにヨドバシカメラのはじめたポイントサービスが家電量販店の競争激化をうみ、その勢力争いが始まります。ヨドバシカメラはポイントを武器に全国展開を始め、その勢力を拡大していきます。もちろんさくらやもそれに追従し地方展開で勢力を拡大しようとしました。しかしながらさくらやは投資に慎重であり、関東近県の地方に小規模店舗しか出店せず大規模な展開を図ることが出来ませんでした。結果論としていえばこの消極策が競争上裏目に出て、販売リベートなどの面で他社に比して不利となり、結果的に経営を圧迫していったのです。2000年には債務超過に陥り、その後ベンチャーキャピタルの支援を受け再建を図りましたが結局2006年にはベスト電器の配下に入りました。

 ベスト電器はもともと日本最大の家電量販店でした。九州を基盤に店舗を展開し、手厚いサービスとフランチャイズ展開によってその規模を拡大してきました。しかしさくらや同様近年競争の激化からその成績を落とし、業界最大手のヤマダ電機と買収合戦が始まります。結果的にホワイトナイトとなったビックカメラと提携し、系列として現在に至っています。しかし近年の競争環境の激化だけではなく障害者郵便の不正利用等で顧客を失い、今年度の成績はかなり悪化しています。その結果、せっかく首都圏に作った足がかりともいえるさくらやを清算し、この苦境を乗り切ることになりました。

 こうして古くから新宿の街を担ってきたさくらやは来月で消滅し、新しいファッション店舗などが生まれていくのでしょう。あるいはBicカメラやヤマダ電機のような大型家電店が、新たな店舗を展開するのかもしれません。しかし一つの時代が終わったのは事実であり、その意味で寂しさを感じてしまいます。ジャック・ウェルチの言葉にあるとおり、これからはますますNo.1とNo.2しか生き残れない時代なのかもしれませんし、ユニクロが証明したとおり超大型化のみが小売業生き残りの方法となってしまったのかもしれません。しかしその影で、個性のある小さい店が少しずつ淘汰され、日本全国が画一的な社会になってしまうことに危惧を感じますし、バブルを生き残った企業や店舗でも淘汰してしまうこの経済危機を憂いています。リアルからバーチャルへ、現物から画像などの情報へ変わるのが高度情報化社会なのであれば、この流れはひょっとすると大きな誤りではないか、という疑問さえ持ってしまう出来事のように私には思えました。

 このように家電量販店は、またもや新しい曲がり角を迎えています。かつて隆盛を誇った第一家庭電器やラオックスが消え去ったように、新しい時代に向かった積極的チャレンジを恐れない企業しか、生き残れない状況がまた始まっています。身近なところではウェンディーズがなくなり、am/pmも来月で消滅します。不況の波は、たくさんのなじみの店や企業を押し流そうとしています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・「エコ駐車場」で攻勢  日本信号 2020年に売上高3倍狙う
・米映画、脱・DVD販売頼み ワーナー レンタル提供数拡大 SPHE ネット通じ先行配信
・二輪車、瀬戸際の国内市場 昨年出荷台数27%減
・2台目需要開拓に照準 PC国内大手の春モデル 年末商戦は失速
・iPhoneで可能に スイカ・エディ決済機能 フライトシステム 専用ケースにカード
・以上動作時のみ電気刺激 パーキンソン病 患者の負担軽減
・日航、更生法今日申請 国、混乱回避に全力
・米「時の経営者」待望 合い言葉は持続的成長 M&Aで流れ変える
・企業のCO相殺支援 CAC、排出枠取得し販売 IT活用、省エネと連動
・「優等生以上」市場は期待 IBM、増収増益でも株価下落 先進国市場建て直し
・電子ペーパー 米社買収、台湾が主導権 日本勢、追撃へ戦略模索
・地下鉄駅で映画予告 電子看板 ワーナー・マイカル、横浜に設置
・凸版、書店の検索・紹介サイト 書籍販売、側面から支援 大日本印刷の買収に対抗
・欧州・台湾へ電動バイク アマハ発が国内投入後 新興国生産も検討
・ドコモ 「グーグル携帯」第二弾 ソニー・エリクソン性 iPhone対抗
・コンサルティング要員を倍増 業務効率化 日本IBM、年内500人に

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。