相も変わらず不況ネタですが、有楽町の西武百貨店が今年のクリスマスで閉館になるそうです。また京都四条河原町の阪急百貨店も、この秋をめどに閉店されます。リーマンショック後の経済の低迷が、このビジネスにも相当な向かい風となっているようです。
百貨店ビジネスは、バブル崩壊後に曲がり角を迎えました。もともと百貨店ビジネスは、さまざまな高級商品(百貨)を陳列・販売することで営まれていました。その品揃えと高級感、そしてなによりそのブランド力で顧客を引きつけ、多くの商品を販売していました。バブルはそのピークであり、多くのブランドショップが開店し、たくさんの商品を販売していました。しかしバブル崩壊後、デフレによって高額商品が売れなくなると同時に、ユニクロを代表する廉価なブランドが次々生まれていきます。そのことが顧客のデパート離れをうみ、旧態然とする百貨店ビジネスを崩壊させていきます。
その結果、立地とブランド力がすべてで基本的に来店客を待つスタイルから、商品や店舗に付加価値をつける新しいビジネスモデルを模索し、さまざまな百貨店が改革を行います。たとえばデパ地下と呼ばれる食品街を充実しその業績を回復した伊勢丹、大規模店舗と外部のアパレルや電気店など大型の外部企業を招き入れ成功した高島屋のように、これまでのビジネスモデルを見直す動きが顕著になっていきます。逆にこういった積極策を行わない、あるいは十分ではない百貨店は淘汰されていき、市場からの撤退を余儀なくされます。これまでも大阪のそごう、札幌の西武百貨店など大規模で有力な百貨店が閉店しておりますが、今後当面、この動きは加速しそうです。インターネットが産み出した新しい市場は、こうした古い市場を駆逐しますし、その中で市場をもう一度見直して新しい市場を産み出す企業だけが生き残れる時代となったのです。
これらの流れをみるたびに、プレIT/ポストITの動きが加速していることを痛感しています。常識を見直す強い意思を持ち続け、顧客のみならず社会の行く末を見極めながら行動する。厳しい嵐に負けることなく、姿勢を低くして次の戦いに備える姿勢が、すべての企業に求められています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・溶け出す現実の境界 ゲーム新潮流 動きに忠実、感触も再現へ
・裾野拡大 ドコモ反撃 スマートフォン、サービス相次ぎ拡充 ソフト配信も注力
・ソニー・エリクソン 10月〜12月、赤字幅縮小 人員削減など進展
・企業内クラウド 構築・運用を本格展開 NTTデータ、コンサルティングも
・走り書き、即データ化 ぺんてる デジタルペン「エアペンミニ プラスユー」 外出先でもPC編集
・ビットワレット 三木谷社長発表 楽天から取締役など5名
・富士通社長に山本氏 「8人抜き」に成長託す まず企業統治立て直し
・ノートPC 3秒軌道・18万円前後 高付加価値・高価貫く パナソニック 他社より10万円高
・レビン元CEO「自分のミス」 タイムワーナー、AOLとの合併 TV番組で責任認める
・エービックを買収 NTTデータ 金融分野を強化
・米発セグウェイ 栄実業家が買収 立ち乗り電動二輪 国籍移動
・高血圧+糖尿病薬、1錠で 武田、この夏めど配合剤申請
・CATV 日本に見切り 米リバティ、JCOM株売却 KDDIも”渡りに船”
・「クルマスリップしてる」 タイヤで感知反応時間1/4 NTN 軸受けが荷重計測
・「iMac」販売増が寄与 米アップル50%増益 10〜12月 高価格維持、他社と一線
・中堅・中小 IT投資1.7%減 今年、3兆4270億円 民間予想 大手に比べ回復遅れる
・ロッテリア 再建、ロッテ主導で 完全子会社化
・JR東 紀ノ国屋買収、株価は上昇せず 小売り強化、成長に不可欠
・三菱マテ 携帯など小型家電から希少金属回収 京都市と連携 安定確保狙い実験
・楽天 中古CD・書籍に参入 店舗サイトにリンク アマゾンに対抗
・全日空来年度運行規模 国際線11%拡大 ミュンヘン・台湾便新設
・アップルが新端末「iPad」 サクサク軽快 本も動画も 電子書籍配信 画面触れペラッ
・「マリオ」任天堂支える 10月〜12月の減益幅縮小 年末商戦、一挙挽回
・携帯、クルマのリモコンキー シール貼ると家のカギに
今週は、どんな一週間なのでしょうか。