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 February Second week

 先週、アップルの新製品であるiPadが発表されました。Amazonのキンドルに対抗しうる電子ブックとして期待を集めていますが、実はそれ以上に膨大な可能性を秘めたデバイスの登場なのです。

 販売前の情報では、どうもマンガのようですがiPhoneやiPodタッチの大型判のようです。(クルマの下敷きになって、おっきくなったiPhoneみたいです。)基本的にそれらのソフトウェアを使えますし、機能もほぼ一緒といえるでしょう。値段もiPhoneと 同様で、$600〜$800ですから、日本でも同様の価格になると思われますし、キャリアと共同で安価なサービスを提供してくる可能性も高いと思われます。表示画面の大きさやキーボードの大きさは格段ですし、利用シーンを考えると結構使い物になる機器 であるだけでなく、今後のITの進化に対して大きな可能性をもった機器のように思えてなりません。

 画面の大きさは、単に文字や画像の大きさを意味するわけではありません。画面が大きくなるということは、情報量の多さを意味します。事実デスクトップPCやノートPCは、年々画面が大きくなり、ワイドになっています。小さい画面よりもより多くの情報を提供できるデバイスということは、これまでの携帯電話やスマートフォントとは根本的に異なったデバイスになる可能性があるのです。もちろんこれまでもタッチセンサー付きのPCなどがありましたが、起動時間の短さや操作性などを考えると、携帯電話やスマートフォンと同類の操作性や簡易性を持ったPC以上の情報提供機器となる可能性があります。iPhoneを購入したときに気づいたシンクライアントという製品特性が、いよいよiPadで完成するのかもしれません。

 さらにこのiPadは、雑誌や新聞などのメディアのあり方を抜本的に変える可能性を持っています。以前ご説明したとおり、インターネットの出現と高速無線環境の充実が、新聞や雑誌というメディアの存続を危うくしていきます。新聞に載るニュースは、朝刊・夕刊を手に取るより早くネットで配信されますし、個々人の知りたい情報を瞬時に選択できるというメリットもあります。雑誌が提供してきたトレンドの情報や趣味の情報も、それぞれの分野を得意とするWebサイトがより密度の高い情報を提供するため、雑誌の地位も失わせます。保存性や検索速度を考えると、明らかに紙媒体よりインターネットのほうが優位であり、こういった理由から新聞や雑誌の販売部数が減っています。現にアメリカでは新聞社の倒産が始まっていますし、日本でも多くの雑誌が廃刊や休刊という事態が続いています。

 その状況で出現したのが、Amazonのキンドルです。Amazonが販売するため「電子ブック」としての利用法が先行しますが、私自身はそれ以上に新聞や雑誌の購読が中心になると考えています。なぜなら電車での移動を考えても、書籍より雑誌や新聞を読む方が多いように思えるのでます。つまりスキマ時間を消費するには、新聞や雑誌の情報のほうが向いていると思われるのです。もちろん書籍を読む方もいますが、趣味に「読書」をあげても「新聞・雑誌購読」をあげないように、書籍を読むのは一種の趣味といえます。ということは、コレラのデバイスは読書を目的とするよりも、新聞や雑誌の購読のほうが多数を占めるように思われるのです。
 さらに書籍は、所有としての目的もあります。自分の好きな書籍は手元に置きたい、と思われる方は少なくないと思います。つまり情報としての消費よりも、感性や心の豊かさのために書籍というモノを購入するケースは多いように思うのです。ということは、iPadなどのデバイスは電子ブックとしてだけではなく、電子新聞や雑誌としての機能を多く果たすようになることは予想に難くありません。

 ここで私自身が可能性を考えるのが、広告なのです。物理的な新聞を購読すると、毎日近所のお店のたくさんのチラシが手に入ります。その大半は、自動車や家屋、消費財など特定の目的を充足する内容の広告であり、大量の紙の無駄のように思います。しかしその多くは、新聞を配達している近隣の業者にとって非常に意味のある広告であり、近隣の居住者に訴求する数少ないメディアのはずなのです。ということは、新聞の購読が減っていくということは、そういった広告の出稿者(広告主)にとって危機的な状況が深刻に進んでいることを意味するのです。地元がシャッター商店街になることを進める、一つの要因であることは間違いありません。

 となると、この状況を変えるデバイスとしてiPadは利用できないかとなりますし、こう考えるとiPadやキンドルなどの機器の今後の可能性の意味合いをご理解いただけると思います。当然それらの機器はGPS機能を持ちますから、その機器の所在地を電子的に知ることが出来ます。となれば、新聞と同時にそのエリアの広告情報を送れるようになるということです。利用者にとっては、検索サイト同様大量情報のインデクスだけが送られますから、自分の好きな情報を選択して表示することが出来ます。
 たとえば「大雪になりそうだからタイヤチェーンを買っておこう、近所のオートバックスでセールをやってないかな」とか、「夕食にすき焼きをするつもりだから、牛肉と卵が安いスーパーはないかな」という情報を検索できるようになるのです。まさに地元密着型の情報端末となる可能性があるのです。

 これと同じことを携帯電話で行うと、パケット通信料以外に大きな問題が生じます。それが表示情報量なのです。すき焼きの例がわかりやすいと思うのですが、スーパーのチラシ全体が表示されると、買い忘れている醤油やシイタケの特売に気づけますし、購買量を増やす可能性もあります。もちろんそこに〆のうどんが表示されていれば、さらに可能性は増えるでしょう。それ以上に情報端末の利点を生かして、「ひょっとして今晩はすき焼きですか?すき焼きに必要な材料は、いまこの値段です!」などの情報表示が出来れば、その利便性はさらに上がりますし、そこに割引クーポンをつければ、完璧なサービスとなります。そのクーポンも、端末をもっていくだけでレジで自動的に値引きされれば便利ですし、スーパー側にとっても購買者情報を集めることが出来ます。それとスーパーのポイント制を組み合わせれば....という具合に、iPadやキンドルを中心としたものすごく大きな可能性が広がるのです。

 これを実現するのが、今回のiPadやキンドルなどを中心とした大型の携帯デバイスと私は考えています。携帯電話やPCとは質的に違う世界が始まる。新聞と同じく家庭のテレビの横やカバンの中に入っていて、大きな世界と繋がっている。財布を膨らませている顧客カードやサービス券のかわりに、より高度で広いサービスを提供するデバイス。これがいわゆる電子ブックの正体と、私は考えています。では、この世界を実現するのは誰か。それは間違いなく、我々ITテクノロジストなのです。

 無限のチャンスが、今広がります。そしてそのチャンスは、皆様に均等に広がっているのです!!

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・グリーンテクノロジー 太平洋セメント 都市ゴミを燃料に 二次廃棄物一切発生せず
・ドコモ通信回線「iPadに提供も」 社長意欲 ソフトバンクに対抗
・電子書籍出版社協会が発足 若者開拓の好機 海外との窓口に
・デジタル家電、どう差異化 仕様より面白さカギ リアル・フリート社長 熊本浩志氏
・カプセル内視鏡 撮像面積2倍に ギブン・イメージング 日本に投入
・全日空の国内線 無料ドリンク3月末の終了 「スタバ」など有料提供
・中国製電動バイク販売 GLP 3月までに7車種投入 初年度1000台目指す
・腕時計、製販一体で シチズンHD グループ会社再編
・業務用携帯端末 キーを大型化使い勝手向上 富士通フロンテック
・プロジェクトに最適な人材 ネット記述分析自動的に選出 NEC、ソフトを開発
・産官学でベンチャー育成 技術を外販、日本と協力も アイルランド IT立国の復権
・貧血時、血流の回復早く 人工透析用椅子 フランスベッド 傾斜変更自在に
・出光、「脱・元売り」正念場
・逆襲のソニー 3つの「不安」 8四半期ぶりにTV黒字に 製販管理、3D、中国勢
・稼ぎ頭サービスで苦戦 IT大手4社 企業の投資抑制響く

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。