早くも11月に入り、ことしも残すところ二ヶ月です。企業の業績を高めるためにも、そろそろ各種の投資や消費が行われると信じたい日々です。
さて、霞ヶ関では事業仕分けが行われており、国民の注目を集めています。特別会計という国家の予算にメスを入れ、無駄遣いをなくそうという行為そのものは評価できるのですが、その現実を知ると本当に呆れてしまいます。なぜならば、その単位が数十億から数兆円までと莫大なものばかりであり、それが過去数十年に渡って垂れ流しされていたという事実に、ただただ驚いてしま
うからです。いったい税金は何に使われ、どのような効果を生んでいるのか、本当に疑問に思ってしまいます。
税金の無駄遣いそのものをなくすことは、私自身大賛成です。当然不当な価格で受注し、ろくな仕事もせずに私腹を肥やしてきた企業や個人を廃絶することも大賛成です。しかしその中には、まっとうな仕事を行ってきた企業や個人も間違いなくいますし、必要な仕事もあったはずです。さらに何より恐ろしいのは、一企業や個人だけでは開発できない新しい技術やビジネスができなくなることです。何度も申し上げるとおり成果が曖昧な無駄な補助金は全く必要ないと思いますし、ある意味企業延命のためとしか思えないどうでもいい補助金も必要ないと思います。しかしソーシャルビジネスのネタや、新しい社会福祉の取り組み、未来に役立つ新しい技術の開発は、どうしても当面は採算が出にくいゆえ
に税金で支援する必要があると思うのです。それを十分な論議をせずにカットすることは、現在の支出を防いだとしても将来の日本を悪くする可能性が高いと思っています。
人間は、十円二十円という細かい単位の金銭を管理することはできます。同じティッシュペーパーの値段が228円と209円であれば、ほぼ全員が209円のところで購入をするはずです。ところが何千万円とか何億円となると、もうその価格が適正であるかはわからなくなってきますし、これが8926億円とか23兆円とかになると、もうその中身だけでなく、絶対額もわからなくなってしまいます。となれば、
護岸工事の総工費が20年で250億円といわれても、その数字を納得するしかなくなりますし、洪水時の付近の住民の被害を積算されると、必要のように考えてしまいます。
しかし冷静に考えると、一つの洪水を防ぐための護岸工事に250億円をかけることは本当に妥当なことなのでしょうか。住民の被害は、ほとんどの場合自己責任になります。それが保険でまかなわれるケースもありますが、ほとんどは個人が負担する支出です。となれば、頻繁に洪水が起きる場所以外は、そのお金を国全体の洪水対策資金として積み立てておき、被害の大きな洪水が起きた場合はその費用を直接個人に支払った方が意味があるのかもしれません。つまり被害規模を個人負担額も含めた統計ではなく、本当に国がどれだけ支出するのかを考えて効果を図る、そういった仕組みが必要と考えるのです。道路に穴が空いた場合、その規模の如何を問わず国や自治体が補修を行います。となれば、一時に集中するかもしれませんが、洪水によって道路等に支障が出る費用は、その直後の補修費用を充てればいいだけのはずです。(年度末に、よく道路の補修工事は行われ渋滞を生んでいますよね。)こうやって考えてみると、本当に必要なコストを算出する仕組みが必要と言うことがわかりますし、国民の税金である以上誰でも精査できるようにする必要があると思うのです。
人間がすべての関連資料をひっくり返して、それらを考えることは限界があります。しかしそれらを処理する情報システムを作り、そのコストを全国民に公開するのであれば、さまざまな論議は可能になると私は考えます。その上でネット投票の仕組みでも作り、本当に必要なことは支援を行う、必要のないものは直接取りやめることが大切なのではないでしょうか。
以前このページでも紹介しましたが前回の一般会計事業仕分けにおいて、GEMSISの2億円弱の予算はカットされてしまいました。
GEMSISの仕組みそのものは完全とはいえませんが、それでも緊急救命のあり方としては一つの形ですし、これは確実に皆様の生活をよくする仕組みの一つなのです。
ところが緊急救命の仕組みは完成しているし自治体の問題、さらに基本コンセプトしかないので廃止、というものすごくおおざっぱな仕分け結果になったことは、私には非常に残念に思えます。こういった重要事項の採否を感情論や議員や関係者とのパフォーマンスで決定するのではなく、システムを利用した定量的な証拠と説明によって、最終的には国民全体で採否決定を行う。こういった仕組みが、今まさに必要と思うのです。
情報システムは、政治や経済の透明度を高めることは間違いありません。セキュリティや個人情報など論議をしなければならないテーマはたくさんありますが、逆に論議をすれば確実に実現できることばかりです。となれば、こういった国民目線で透明性を高める仕組みを、我々は提言し続けなければならないと私は考えます。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・「i世代」が切り開く 幼少時からIT親しむ 安価なシステム駆使
・慢性痛、成人の二割 1位「腰痛」2位「肩こり」 「精神的にストレス」7割
・アップル頼み 潜む難局 AT&T純利益4倍 7〜9月 ベライゾンもiPad販売 独占戦略に黄信号
・「自治体クラウド」強化 日立情報 関西にもデータセンター
・大卒内定率、8割切る 来春卒、10月時点 私大は苦戦
・「IFRS、日本の利益に」 E&Y会長兼CEOターリー氏 基準作りで発言力向上
・銀行ICカード 大日印、発行機100万円以下 支店も導入容易に
・デジカメ、「撮影後」競う NIKON、専用フレーム3D カシオ「絵画調に」製品化へ
・グローバル戦略 次の一手は 取締役も「脱日本」進める 楽天三木谷社長 外国人を1/3に
・ハード・ソフト一体型DB 日本オラクル 大量データ、高速分析
・フェリカ内臓4インチ電子看板 シアーズ
・難聴者向け集音器 騒音抑制機能付け安価に デスティニー オランダ製販売
・途上国資源 潜むリスク 希少金属の産地にゴリラ アマゾン果実名巡りトラブル
・アドビ「全画面制覇」狙う 多機能携帯や次世代TV PDFの成功体験再現
・米、新聞の低迷続く 4〜9月部数5%減 ネット戦略で明暗
・看護師、1日契約で斡旋 A−LINE 短時間勤務OK 人不足に対応
・レアアースの代替材開発 戦略的に優先順位を
・事務機、ITサービス勝負に グローバル化、人材カギ
・CSKとの協業「なお交渉段階」 住商情報
・投与時間に制限なし 脳梗塞向け血栓溶解剤 東京農工大VB
・性差別とグローバル化 異性への態度、信頼の鍵
今週は、どんな一週間なのでしょうか。