Onomura System Consulting Office       

osco top


.
Weekly report
next

back

 

 

 

 

osco top

 Nobember Third week

 尖閣 ビデオ流出問題が、新たな展開を見せています。先週流出させた人物と目される人物が特定され、現在任意で取り調べが行われているようです。やはりその人物は残念ながら海上保安官であり、内部からの流出ということが確定してしまいました。これにより、我々はいよいよ重大な課題 として、この事件を検討しなければならない局面を迎えてしまいました。なぜならばこれは、我々が関与するシステム開発のプロジェクトで起きうることになってしまったからです。

 警察は流出元を探るためのIPアドレスをたどっていき、神戸のマンガ喫茶までたどり着いたようです。ここでその人物は発見される可能性を感じたのか、上司に自首(自己申告?)した形で人物が特性されることになりました。その保安官の年齢は43歳であり、このまま映像が公開されないことが国民にとって不利益になると考え、さらに 自らの家族に生ずるであろう問題に悩みつつも、映像をネット上に流出させてしまったようです。もちろんご存じの通り、結果としてこの行為に対する国民の反応は好意的なものが多 く、ある意味正義の行為と取られ、むしろ隠蔽を決めた国家の対応に対する批判が多く出ました。もちろんこれによって中国の出方も変わってしまい、APECで日中会談も実施されるなど、国際的な反応も大きく変わることになりました。となるとますます国民としては、知る権利を満たされた、正しいことを行ったのだから罰せられる必要はない、という反応がほとんどになってしまい、国家機密の漏洩を強く非難する声はほとんど起きていません。

 ところがここで問題となるのは、仮にこういった「正義」があれば、機密と判断された情報でも公開することが許されるのかという点です。なぜなら企業においても、全く同じことが起きうる可能性があるからです。たとえば現在構築中のシステムに、高度な企業秘密があるとします。その秘密は、多くの国民が気づかないうちに非常に不利益な状態を発生させる仕組みだとしましょう。その噂はネットの上で飛び交っており、白日の下にさらすことが正義につながるかもしれません。この状況 におかれたとき、それに関与しているIT技術者はどのように考えるのでしょうか。自分が関与している仕事が、自分を含め多くの人々に不利益になる仕組みであることを知っている、それは個人的にも許せないし、多くの国民が不安に思っている以上、公開して徹底的な論議を生んだ方がよい気持ちが強い。しかし機密情報を公開することは 、企業の規則としても法律的にも違法になる。自分には家族がいて、公開することで家族に大きな迷惑をかけるし、職を失うかもしれない。こんな状況が、今後皆様の関与するプロジェクトでも発生する可能性があることはご理解いただけると思います。

 もちろんそこに明確な答えもなければ、理論も存在しません。まさに法律と理性と感情 と主張のジレンマであり、非常に難しい問題でもあります。公開できる人間が行動しなければ、その不利な仕組みは世に出てしまう。しかし公開すれば法律違反で、自分のみならず家族も大きな影響を被る。それにどんなに社会が評価しても、逮捕や服役したときに誰が助けてくれるわけでもなく、その後の保証があるわけでもない。しかしそれでも、このまま隠し続けることは日本のためにならない。そのときにどのような判断をするのか、私も自分自身でわかりません。

 それでも今回の事件が起きた以上、これからこの問題を自らのこととして真剣に論じる必要が生じましたし、すべての企業がそれぞれの考えを明確に、情報管理のあり方と機密教育をしていかなければならないことになったのです。人間としてのモラルと企業人としてモラルは違う。ただし両方の側面を考えて、誰もが納得できる方法を考えていく。この当たり前できわめて難しい問題に、我々はこれから積極的に取り組む必要性が生じています。

 ネットの世界では、「情報は隠蔽してはならない」という原則があるようです。これは米国のハッカーの考え方であり、いかなる情報も隠蔽はされてはならず、ただし適切な人間のみが見ることができるコントロールをすべきという考え方をとるようです。たとえば米国のエリア51は、根強く墜落UFOと宇宙人が保管されていると思われています。これは隠蔽であり、多くのハッカーがその秘密を探ろうと努力をしています。もしその情報が公開されると全人類に大きな問題が生じるのであれば、適切に選ばれた人間がその情報を閲覧し、その内容に不正や危機がないことを確認しようというのが、コントロールの考え方です。

 ネットワークの文化に強く影響を受けた若者が増えるこれからは、日本でもこういった情報流出の危険性は高まります。漏洩を行う人間に信念や正義があるからこそ、真剣に論議を始めなければなりません。

========================================

 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・米HP、クラウドに重点 CEOインタビュー 日本勢との連携も強化
・IT、垂直統合が復活 クラウドの台頭に対抗
・全国の家で試作機実験 英ダイソン 日本向け家電、開発強化
・共同でシステム提案 新日鉄ソリューションズ・東芝ソリューション 金融機関向けリスク管理
・TCS、30%増益 印IT大手 7〜9月 四半期で過去最高
・エアバス「旗艦」受注に影 最新機A380エンジントラブル 経営への影響懸念
・ネット空間、主役争い激化 グーグル、フェイスブックへ情報停止 急成長のSNSに危機感
・米シルクロード日本進出 人事管理機能 クラウドで
・楽天、売上高過去最高に 第3四半期 海外展開が奏功
・170万人の知恵で人助け オウケイウェイヴ社長 兼元兼任氏 200カ国でのサービス目標
・韓台、有機ELで存在感 大型・3D対応品ずらり 薄型パネル国際展示会 日本勢は液晶中心
・「IT投資、一部で鈍化」 シスコCEO 官需や欧州事業 政府支出の削減続く
・やっと来た![GOPAN] サンヨー、米粒パン焼き器発売
・滞在型医療機関横須賀に誘致 京急、来年めど 羽田国際化を機に
・大型解体機 腕二本 日立建機ナベカヰ 1台でカバー、安全性向上
・鉄鋼、資源確保の後期 新日鉄、アフリカで炭鉱権益 対メジャー 価格交渉力、強化狙う

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。