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 Decmber Third week

 日々厳しい情勢の中、また世界が動いています。

 先日ウィキリークスの主催者の一人が逮捕され、このサイトに関わるさまざまな事件が報道されました。ウィキリークスは、近年存在が明らかになった各国の隠蔽された私的・公的な情報を公開するサイトであり、言論の自由を信じるさまざまな人々に支援を受けている組織です。その主催者の一人が逮捕されたことにより、その存在や理念を問題視した多くの企業が取引を取りやめたことで、それらの企業が一部の支援者によってネットワークを介した様々な攻撃を受け始めているようです。この問題の本質はまだまだ不明確なところが多いのですが、それでも現在の世界の状況が一つ見えてきています。

 これまで多くの情報は、その国や企業を運営する一部の人間に集中していました。権力を持つ人々は、そういった情報をコントロールすることによって組織を運営し守ってきたのであり、その中で利権も生まれてきました。もちろん近代化の中で多くの国が利権の集中や独裁ができない仕組みを作り出して、一部の人間ではなく国民の幸福を実現しようとしてきたのは事実です。それでも現実は国家にはより多くの情報が集中し、その扱いが一部の人間によってコントロールされます。それは不安定な国際情勢においては情報が武力と同様の力を持つからであり、武力行使という最悪の手段を回避するためには必要なことであったためです。

 ところが20世紀の末から新しい流れが始まります。これがインターネットです。インターネットは国の統制がかからないうちに静かに普及し、一人一人の人間が世界中とつながることができる環境を生み出してしまいます。当初はいわゆる情報伝達のためのネットワークでしたが、現在は人間の様々な英知が集合・蓄積する存在となっています。そこでは地位や権力は意味を持たず、より広く情報を集めその意味を理解したものが強者になります。その意味でネットにつながる人間はすべて平等であり、意図的な隠蔽を行うものは自由と平等を脅かす存在と見なされる可能性があります。さらに国境や国民という概念が徐々に希薄になり、ネットの上の市民という認識が生まれる、これがインターネットが作り上げた世界といえます。

 これは既存の国家や政府にとって、非常にやっかいな存在であることは間違いありません。自国にとって不都合や不利益がある情報はこれまで通りコントロールしたいのですが、インターネットはそれを許さない道具を意味します。もちろん各国の権力者によって、情報流通の物理的ポイントを遮断することで統制をかけようとする動きはありますが、技術の進歩とネットワーク網の充実が、事実上これを完全に行うことを難しくしています。

 歴史が始まって以来、このように全世界がつながったのは初めてのことであり、情報をコントロールすることで利を得てきた様々な人々にとって、想定外の事象が生まれたといえます。それでも今回の逮捕劇のように、国家やその集合体の強さを見せつけることでそれらの動きを牽制しようとしていますが、当然のことながら限界があることは誰の目にも明かです。

 ネットの上に新しい国家概念が生まれ、その英知が自由に行き交う。そこには今まで権力者しか触れられなかったもの、有料であったものが自由に行き交い、蓄積され、利用されることになります。いちどネットの世界に放たれたデータは消えることなく、永遠に存在し続けるものとなります。そこでの言論は地位や権力が重要なのではなく、情報としての価値と英知としての質がとわれます。人の意見を言い換えたのでは価値はなく、独創性と深い志向の結果が重視されるのです。

 もちろん過渡的な段階では、これまでの倫理観や常識が壊され、悪意をもった先導を行うものが出るのでしょう。自らの価値を高めること、自らのみの利に沿うように行動し続ける人間も確実に存在すると思われます。もちろん国家という既存の枠組みでしか考えない人間もいるでしょうし、そこで権力を握っていればその実権をうしなうことをよしとしない人間もたくさんいるはずです。場合によっては今回のように、自らの意に沿わなければ攻撃を行うと行った短絡的行動に出る人間ですらいるでしょう。だからといって、インターネットは危険とか、悪を広める道具と考えてはなりませんし、ただ傍観することも危険と思うのです。

 インターネットの世界では、常に新しい常識が生まれます。ひょっとすると、それが国家という基本概念をも変えてしまう可能性をもつのかもしれません。これが現代であり、我々ITに関わるすべての人間が生み出した世界なのです。そして我々がその世界を築いてしまった以上、その世界がよりよいものになるために真剣な努力を始めなければなりません。今こそネットの社会をつくったもの、それを利用するものが集い、そして全員が襟を正して、真剣な中も理想を持った討論を行い続けること、これが必要と思えてなりません。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・通信各社 無線LAN拡大 ドコモ:タクシーに接続機器 イー・モバイル:ルーター搭載の製品
・家庭で使うタブレット NECビッグローブ ゲームやレシピ配信
・重慶、IT誘致で成長加速 エイサーやHPも進出 安価な労働力 物流の不利を克服
・世襲批判封じ 会長周到 サムスン、社長に李在鎔氏 脱「半導体頼み」課題
・ホログラム重ね偽造防止 生産履歴管理用QRコード ニッパツがラベル 専用機以外は読めず
・クラウドで図書館業務 NEC、大学向け コスト2割減
・飽和のiモード アップルに学ぶ ドコモ、コンテンツ「直販」開始 5000万需要 再発掘へ
・都市インフラ、海外で先手 日産の研究 ゴーン、人脈生かし提携
・電子書籍配信 幕開け ドコモ・大日印 来月上旬から 書籍販売と連携武器に
・非接触ICに対応 スマートフォン 米グーグルが最新OS
・画面押す強弱で操作 日本航空電子が新型パネル 電源のオンや表示切り替え
・ポストPC時代へ無償OS グーグル 「クローム」新境地なるか アプリ販売と両輪
・営業支援向けiPadアプリ トランスコスモス パンフなど閲覧 顧客管理と連携
・海外展開控え重い宿題 公取委、DeNAに立ち入り検査 囲込み限界示す 協調路線、成長の鍵
・埋め込み型補助人工心臓 テルモ、承認取得 来春発売、院外生活OK
・3Dの目で人に近づく ロボットが拓く 部品が導く進化論 オムロン、正確に組み立て
・社内照明すべてLED 阪急電鉄、新車両を投入
・産業界「日本妥当」冷や冷や COP16で「京都」延長論 米中不参加なら「国際競争、不利続く」
・来年の国内IT予測 市場規模、ほぼ横ばい タブレットは3倍に
・米企業、ウィキリークスと取引停止 自由と秩序、両立難しく ネット社会の弱点露呈
・200人整理解雇手続き 日航 パイロットの客室乗務員 希望退職、目標下回る
・「インドで悪戦苦闘」糧に IHI いまどき若手教育 解決能力、語学と両輪
・焦るVW スズキ平静 包括提携1年成果見えず 独自の環境技術着々と 具体化のペースで溝  

  •  今週は、どんな一週間なのでしょうか。