浜岡原発が停止されました。
中部電力の管轄下にある浜岡原発は、静岡県の御前崎にあります。合計5機のうち2機は耐震強度の問題で廃炉となり、6号機の建設が始まろうという時点で、この判断となりました。静岡は東海沖、あるいは東南海地震の脅威にさらされており、さらに活断層が浜岡原発付近にまで伸びているという説もあり、地震が発生したことを想定すると、倒壊、あるいは津波の影響で福島と同じ状況になることが予測されます。今回政府の判断で、そういった危険性を極力低下させるために、浜岡原発の停止が決定したようです。
原発の安全性については、今後も継続的に検討が必要と思います。しかし3月11日からたった2ヶ月での停止決定ですから、電力供給に関する大きな問題を発生させています。電力のドミノ倒しという表現もあるようですが、日本中で電力不足が発生する可能性が高まっています。
この夏の首都圏は、中部からの電力供給を供給不足対抗策の一つに挙げていました。それが難しくなった現在、首都圏の夏の電力供給は危機的状況です。もちろん中部は日本の製造業が多く集まっていますから、中部の製造業にとっても危機的状況が訪れました。関西や九州も原発を持っていますから、これらが停止される、あるいは見直しが起きると、大きな供給不足になることは間違いありませんので、日本中が電力不足の危機的な状況にあるのです。
日本の発電状況は、つい数年前までは2割程度が原子力でしたが、現在はそれよりも遙かに比率が上がってしまっています。つまり日本中の原発を停止すると、現状では必要量の
2/3の電力しか供給できないことになるのです。夏の電力消費を考えると、急な対策は難しいですが、それでもこの先原発が完全に安全と思われることはないでしょうから、原発停止という小手先の対策だけではない抜本的な対策が必要となります。クリーンエネルギーであるソーラーや風力、地熱や潮力といった新しい発電ソースを利用し、不足する電力をまかなっていかなければなりません。もちろん消費電力も下げざるを得ませんから、各企業や家庭での努力は必須となります。省エネであれば税制を優遇するなど、省エネ家電への
さらなる乗り換えを推進する施策を積極的に打っていかなければならないのでしょう。
こうやって考えてみると、現時点で一番大切なのは国としての方針であることがわかります。何年後の何を目指して我々は歩み始めるのか、その歩みを確実にするためにどのような施策が必要なのか、それをまかなうためにどのような痛みを共有しなければならないのか、その世界が実現されたときに我々には何がもたらさせるのか、全国民で検討すべき時期と私は思っています。
そのためには、我々IT技術者も本気でこの状況を捉え、一つ一つの企業の利害だけでなく産業のインフラとしての役割を認識し、日本のために協調した努力が必要となると考えます。
我々技術者に何ができるのか?日本のために、業界として何をすべきなのか?真剣な検討が求められています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
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今週は、どんな一週間なのでしょうか。