Onomura System Consulting Office       

osco top


.
Weekly report
next

back

 

 

 

 

osco top

 July First week

 日本の技術力が問われています。

 安全神話が完全に崩れた福島原発ですが、その事後処理が一向に進みません。当初は冷却装置が故障しただけと報じられましたが、その後の水素爆発、放射能飛散、冷却不能、メルトダウン、汚染水漏洩、汚染水再処理不能とつぎつぎ状況は悪化し、現在はメルトスルーの可能性まで提示される状況です。汚染水の処理は遅々として進まず、今度はあふれ出るだけでなく地下水脈への漏出が疑われています。メルトスルーが現実か否かはわかりませんが、いずれにせよ高濃度の放射性物質が地下水を汚染する可能性が高まっており、それを海に漏らさない方法が検討され始めています。一説によると、海へ漏らさないための防護壁を建築するためには1000億円程度のコストが必要であり、その建築期間も相当な日数がかかるようです。

 原発の現場では名もなき作業員が命を張った作業を行っていますが、習熟度や訓練度合いの低さから作業の混乱を生じており、予定どおりに作業は進んでいません。もちろん作業員の作業環境も劣悪なだけでなく、装備や 宿泊施設も不十分、不完全であり、場当たりの対応を手探りで行うことが現状の姿です。わかっている状況とはいえ高濃度汚染水と蒸気が作業を阻害しており、まさに何から手をつければよいのか誰もわかっていないように思われます

 このような状況であるにもかかわらず、あいかわらず政府も東京電力も積極的な情報開示を拒んでいるように思えます。真相は一部の人間のみ に開示されているようですので、究めて重篤かつ深刻な事態が進行している可能性が高いのでしょう。好意的な世界メディアもこの状況を相当に疑問視しており、いよいよ日本に対する好意や信頼すら失われる事態が進み始めています。すなわちこの状況を生み出してた 政府と東京電力が、さらにこの状況を悪化させています。場当たりで計画性のない対応と、複雑さに紛れて明確な方針を立てられない優柔不断さ、情報を開示し積極的な支援を求めようとしない隠蔽体質を考えると、彼らにはこの状態を解決する当事者能力がないと言わざるを得ない状況です。

 皮肉といえば皮肉なのですが、世界でこれほど放射能に苦しんだ国は、日本しかありません。歴史上大規模な原子力兵器が使われたのは日本だけですし、原子力発電所で重篤な事故が起きたのは、ロシアのチェルノブイリと日本の福島だけです。チェルノブイリは被害が大きかったものの、数週間で暴走を止め、その後1年以内に石棺化できました。しかし福島は来年1月に収束できるかはかなり疑問が残りますし、熱による暴走を防ぐための冷却すらまだ完了していない状況です。その意味ではチェルノブイリよりも重篤な事態といえますし、そういった放射能による被害を日本は受け続けているのです。

 チェルノブイリは、25年経った今でも住民の帰還は認められていません。それどころか石棺が老朽化し、それを覆う国際プロジェクトが始まったばかりです。この事実を見る限り残念ながら福島も、そう簡単に帰還が許される状態には復旧できないでしょうし、だからこそこれ以上の飛散や被害拡大を防ぐ積極的な手当が必要となります。さらに立ち入り禁止区内を常に監視し、放射能の状況や原発の現状を誰もがいかなるときも知ることができるような仕組み作りが必要と思うのです。まさにITを利用したモニタリングであり、その状況が良くなったときに残された家財の引越をしたり、あるいは盗難などの犯罪を監視する仕組みが必要と思うのです。同時に放射能によって汚染された土壌の改善や建物や施設の放射能除去などの、さまざまな作業も行っていく必要もあります。こう考えると、これからますます民間の様々な技術を活用する機会が増えることになります。

 日本の技術力は、非常に素晴らしいと私は思っています。個々の企業や個人を考えても、相当な技術力と能力を持っています。もし政府と東京電力が情報を隠蔽せずに公開し、独自の利害やエゴを捨ててさまざまな分野の専門家を集めて賢人会議を行えば、 復旧・復興の最善の方法を見つける可能性が高いと思っていますし、早期に問題が解決する可能性が高いとも思っています。さらにそこで培われた技術や経験は、今後の世界の重篤事態に確実に活かすことは可能ですし、これこそ日本の技術力を世界に再び誇 るチャンスとなりますし、その後世界に輸出できる産業や技術になると私は信じています。

 今こそ日本の技術力を世界に見せつけるときであり、長期的に考えるとこれこそ本当の意味で日本が復興するきっかけになると私は考えます。 そしてその技術を今から醸成していくのが、これからの若者の使命なのです。そんなチャンスがあることを、すべての若者に知っていただき、真剣に立ち向かってくれることを心から願っています。

 来週は所用により、更新が遅れる予定です。申し訳ありません。

 ========================================

 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・スマホ長者企業、次々 旭化成:電子コンパス8割 タツタ:電磁波の干渉防止
・電池に水入れて発電 ナカバヤシ 本体の穴にスポイトで 未開封なら20年保存
・医師接待、基準を厳格化 第一三共 半年前倒し導入 額や人数減らす
・産業ガス業界 フィルターから高濃度放射能 交換時の基準作り急ぐ 国の指針なく対応苦慮
・医療画像分割、外部で保管 IIJ サーバー4第に分散、消失、不正利用防ぐ
・「自社ドメイン」獲得動く ネットの「住所」来年から自由化 取得代行や管理も活況
・位置情報、販促ツールに デジタル版スタンプラリー「ロケタッチ」ライブドア
・IT支出 今年は8.6%減 中堅・中小企業 震災影響、東日本2桁減
・東急「早起き乗車」応援 回数に応じて景品贈る
・廃プラ、ナフサに再生 リサイクルエナジーが分解装置 向上・廃棄物処理向け
・フェイスブック、天才ハッカー採用 委細、成長の試金石
・レキサス、アイディア募る スマホ向けアプリ開発 認知所プ患者の機能回復訓練 iPadで支援
・米MS、中小囲い込み ドル箱「オフィス」クラウド化 グーグル浸透に対抗
・クラウドで運用費3割減 営業支援システム 日本ユニシスが開発 まず日本化薬に納入
・HV車検 人員三倍に オートバックス 1000人体制、全店に専用工具 メンテ需要取り込み
・高機能住宅、iPadで説明 大和ハウス、営業に2000台配備 販促ノウハウ共有
・サービスと両立 青信号 首都圏の鉄道、ラッシュの節電除外
・物品・人員の要請掲載 文部省、被災学校の支援サイト 掲示板型、2週間で稼働
・「学生の学力落ちた」86% 全国医大・医学部アンケート 医師の質低下 危惧
・木・金休業はや「なし崩し」 車各社「節電の夏」本番 15%電力削減へ知恵
・容器回収でも提携 旭とキリン 共同配送で効率化

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。