大型で非常に遅い台風が、日本を通過しました。
当初は四国から関東までを縦断する可能性があったため心配しておりましたが、関東の手前で南に逸れ、関東以東には大きな被害もなく無事に通過しました。通過後の涼しさには驚きましたが、それでも何事もなく通過したことは被災地にとって天恵であったように思います。
被災地の復興は遅々として進まず、まだまだ行方不明者ですら見つかっていない現在、追撃となる災害は極力避けたいものです。とはいえこの数年の温暖化を考えると、今年も残念ながら大きな台風が上陸する可能性は否定できませんし、せっかく復興や復旧を目指す被災地にさらなるダメージをもたらす可能性もあります。
特に心配なのが、福島原発の状況です。大雨によって放射能が洗浄されるのは良いことかもしれませんが、その汚染された水は河川から海中に流れ込みます。海中には多くの生物が生息しますし、それらは回遊するものもいますので、野菜や牛肉同様放射能汚染の可能性が高まります。もちろん風によって予想外の方向に放射能が飛散する可能性もありますし、なにより原発そのものの状況がさらに悪化する可能性もあります。
先日の台風で一番驚いたのは、この状況になって初めて、福島原発では雨の流入を防ぐ屋根をかけ始めたと言うことです。大雨が原子炉建屋内に流入すると、ただでさえ危機的な水量である冷却水があふれ出る可能性があるため、大慌てで屋根をかけ土嚢を積む風景が報道されていました。台風シーズンになることはわかりきっているにもかかわらず、今更この対応を行うしかない状況に腹も立ちますし、場当たりの対応はいまだ続いているとしかいいようのない事態のようです。
このように考えてみると、福島原発事故を収束させるための第一フェーズが終わったといっても、まったく楽観ができないことがわかります。現在計画されている作業さえ順調に進捗するかは誰にもわかりませんし、たとえ順調に進んだとしても不測の事態が数多く起きる可能性は否めません。今回以上の大型台風が福島に上陸することは簡単に想像できますし、あれだけ海に近い以上高波や高潮により汚染水の漏洩も考えられます。設備の破損を考えると強烈な風によりさらなる倒壊も否定できませんし、復旧設備が破損する可能性もあります。台風シーズンが終わっても、大雪や低温による氷着が考えられますし、それらはすべて原発事故を収束させる妨げになるでしょう。計画どおりに行かないのが世の常であり、今回の事故が発生したもともとの原因が自然環境ですので、私の恐れは当たってしまうと考えたほうが合理的と思えてしまいます。
地震や津波同様、台風や大雪も自然の猛威を思い知る災害の一つになり得ます。大雨や大雪など、被災地に追い打ちをかける自然災害が発生しないことを心から祈っていますが、それでも祈りだけは現実的な対応とはいえません。だからこそ我々は知識と経験を活かして、今後さらなる状況の悪化を招かないような対応やさらなる準備を始めなければなりませんし、これを教訓として東南海や東海地震に備えなければならないと思うのです。
せめて今年だけでも、台風が少ないことを心から祈っています。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・電力自給の下水処理 メタウォーター ５０〜１００％賄う 発生メタンの活用
・ＥＶ、もとはガソリン車 関西の中小、改造事業相次ぐ ＴＧＭＹ、１回充電で５５０キロ狙う
・レアアースの乱 プリウス直撃 中国江西省の産地、採掘停止 中央政府の「横取り」に反発
・なでしこ Ｗ杯優勝 東電の支えなしでの快挙 景気に翻弄 スポンサー撤退
・米ＩＢＭ、４〜６月増収増益 事業構造改革実る
・中国航空各社 日本便を増強 ビザ条件の沖縄 新増設 観光需要の回復期待
・複数ビル束ね節電 竹中工務店・日本ＩＢＭ クラウド活用 ３割抑制
・タブレット端末「期待はずれ」防ぐ 漠然と導入、業務効率遠のく
・シスコ、多角化･買収裏目に 従業員１万人削減 中国勢・ＨＰなどが浸食
・アプリ紹介サイト急成長 「アンドロイド」に照準 広告収入頼み、収益源探る
・被災地へ「箱貸し」配送 瀬光機器や配電設備など ボックスチャーター 効率よく割安
・”クック船長”次の航海へ アップル好調 カリスマ不在の難所を舵取り ｉクラウドで攻勢
・携帯電波とらえ蓄電 主電源切れても即座にデータ保存 タブレット端末向け
・インテル、売上高最高 ２１％増 ４月から６月 ＰＣ出荷は原則予測
・１分の面会で効果発揮 エーザイ、ｉＰａｄでＭＲの営業支援 大量の資料、即座に確認
・中国アウトソーシング活況 海外経験、帰国者がけん引 地方政府も育成後押し
・ブラウン管 再生待つ２２００万本 地デジ移行でＴＶ大量廃棄 鉛含有、国内受け皿なく
今週は、どんな一週間なのでしょうか。
