盛夏から急に初秋の雰囲気を感じる日々になりましたが、涼しくなったせいですっかり調子が狂ってしまいました。
先日和牛オーナービジネスで有名な安愚楽牧場が経営破綻し、民事再生申請を行いました。直接の引き金は牛肉の風評被害による販売不振ですが、日に日にその経営実態が明らかにされて行くにつれ放漫経営が露呈しており、最終的には大規模な投資詐欺事件にさえ波及しそうな状況です。まだまだその事実が判明しないため何ともコメントしにくい部分はありますが、日本の食肉ビジネスに暗雲をもたらしたことは間違いありません。
福島原発の影響で、日本全国の畜産業界は大きなダメージを受けています。東北で被爆した藁を飼料としたことが原因で各地のブランド牛がセシウムを摂取してしまい、内部被曝をしてしまっています。その結果、食の安全の観点から疑わしい牛の流通が止まってしまっており、問題のない牛も風評被害で取引ができなかったり取引価格が下がったりと、畜産業そのものが存亡の危機に瀕しています。先日のユッケ事件もそうですが、狂牛病から始まった牛にまつわるさまざまなトラブルが、日本の牛の飼育を年々難しくしてしまっているようです。
かつてアメリカは国内の肉牛を護るために、日本のブランド牛の輸入を認めなかったことさえありましたが、和牛は日米貿易摩擦になるほど日本の有力な輸出商品の一つでした。十分な手間暇と愛情をかけて育てた牛の肉質は優秀であり、世界のグルメ業界で取引されるほど貴重な商品だったことは事実です。ところがこの数年、残念事ではありますがさまざまなトラブルが牛肉の安全性を阻害しており、畜産業に大きな影響を与えてしまっています。
牛は生き物であり、愛情をかけて育てれば立派な商品となることは間違いありません。ブランド牛になればなるほど、その価値を維持するために相当なコストをかけて飼育しているのは当然のことです。しかしそうやって大切に育てた牛が無価値となると、その業務に携わった人々の気持ちや愛情は無になってしまうだけでなく、投資は回収できなくなりますし、生計が立たないことから廃業せざるを得ない状況を生んでしまいます。仮に廃業しても、投資が回収できない以上借金しか残りませんし、全般に平均年齢の高い畜産業者は生きていくことさえ難しくなってしまいます。
こういった状況をなくすために、国がきちんとした補償策を講じる必要があることは当然ですが、こういった問題が起きてもきちんとした商品は取引できるよう、今よりもっと高いトレーサビリティを保証しなければならないと私は考えます。現在販売されている和牛には、個体番号が付与されその出生から育成、食肉までの過程を検索することができます。(牛の個体識別情報検索サービス) しかしそれは販売時点で検索することは難しく、手間もかかります。だからこそバーコードを店でかざせば、その飼育状況から最終取引される元気な姿が動画で見えるようにすべきと思いますし、主婦がレジで会員ポイントを使えば、それと一緒に牛肉の情報を記録し、万が一の場合に連絡をするような仕組みを作るべきと私は考えます。さらに国が定期的に畜産家を監査し、適正な飼料と飼育方法や環境で家畜が育てられていることを認証し、同様に情報を
付記すればよいと考えます。こういった仕組みをつくれば、きちんとした飼育を行っている畜産家は胸を張って家畜を出荷することができるようになりますし、風評被害も落ち着くのではと私は考えます。
このように食の安全を守ることは、消費者の健康を守るだけでなく、生産者の生活をも守ることができるようになるのです。こうやってすべての人が幸せになる仕組みを考え構築していくのが、今後の我々の仕事のように私には思えます。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・iPadで手軽にチラシ アルカディア・イーエックス ペンで描き携帯配信
・進捗状況"見える化"システム開発案件 NTTデータ、管理ツール 遅れ解消、損失防ぐ
・タイ投資、戦々恐々 政情安定の代償は「賃上げ」 日本勢、海外戦略に波及
・超高層 解体の技競う 大成 赤プリ、屋根で粉じん防ぐ
・モノ作り 面白さ学べ 豊田自動織機の技能伝承 理解度高まり手応えも
・「コスト半分以下に」 日航LCC 短距離に注力
・グーグル決断にMSの影 特許獲得ハード取り込み スマホ興亡 モトローラ部門買収
・iモード生態系を移植 NTTドコモ 開発体制、スピード重視に
・金融向けシステム参入 ソフトバンク・テクノロジー まず全銀協「電子手形決済」を受注
・iPadで資料共有 みずほ情報総研が企業向けサービス 遠隔地での会議支援
・三井情報が進化以外拠点 ロンドン・シンガポール・シアトル
・駐車場セットで 中古レンタカー ワンズ、まず都内企業向け
・感電緊張、正念場続く 電力不足「魔の水曜日」過ぎたが 頼れる融通相手なく
・1200億円市場、成長見込む 電通・博報堂系が配信強化
・スピード構築、半額で 大和ネクスト銀、勘定系でリナックス採用 低コスト運営、顧客に還元
・カルテ共有、医療関連推進 慈泉会相沢病院(松本市)
今週は、どんな一週間なのでしょうか。