大型でのろのろ台風12号が、日本を縦断しました。
台風12号は本州を半分覆うような大型台風であり、さらに速度は15kmと自転車ほどの速度であったため、日本中に大きな被害を残して通過していきました。各地で1年分の降水量を1日で観測してしまうほどの大雨が降り、
多くの河川で増水が起きました。広範囲で土砂災害や河川の増水による人的な被害が出ており、被害の大きな台風の襲来となってしまいました。
今回の台風で本当に感じたのは、気象予測の限界です。ゲリラ的に降る雨について、天気予報では適切できめ細かな予測情報が発表されることはありません。広範囲な予報で予備的な対応はできたとしても
効果は十分ではありませんので、やはりきめ細かな対応が絶対的に必要と感じざるを得ません。土曜日は関東でも500mmの降雨が予想されていましたが、
実際には私の近所は5分ほどの豪雨が3回ほど降っただけであり、風は強いものの雨の影響はほとんど無く1日が過ぎていきました。こちらは窓の開け閉めだけ気をつければよいので実害はありませんが、豪雨に対して警戒したり準備をした方の労力は、残念ながら無駄になってしまいました。たとえば
週末に各地で予定されていた防災の日関連の催しは中止になったようですが、私の所同様実際には催行可能だった地域も少なくなかったように思います。
さらにこの時期の台風は各種作物や果実の収穫期と重なりますので、農家に大きな影響を与えます。ニュースで報道されていましたが、ミカンの栽培農家が台風に備えてビニールハウスのビニールの巻き取り作業を行っていました。強い風が吹くとハウスそのものが倒壊する可能性があるため、やむなくビニールを巻き取るとのことでした。しかしビニールを巻き取ってしまうと落果の可能性が高まりますし、収穫間近のミカンが大雨にされされると落果しなくとも大味になって、出荷価格が下がってしまうとのことでした。
もしここで細かな予測ができるとすると、風が強くなるまでビニールを巻き取らなくてすみますし、その結果ミカンの商品価値も下がらなくてすむ可能性が高まります。逆に雨の可能性を予測できれば、いつ巻き取るのが一番効率よいかの判断も可能でしょう。さらに精度の高い予測ができれば、農家の方がムダに撤収と再設置の手間使うことを省くことができます
。このようにきめ細かで精度の高い気象予測は、多くの分野で非常に大きな意味を持つと思われるのです。
気象予測の技術は、年々上がっていると聞きます。さらにそのデータを処理するコンピュータの性能も上がり、大量データを短時間で処理することもできるようになってきています。となると、あとはきめの細かい気象データを克明に収集し、それを即時に分析できる環境さえ作れば、多くの
産業の助けとなることは間違いありません。さらに土砂崩れや河川の決壊に対しても危険箇所にセンサーを大量に設置すれば、危険の度合いや被害もある程度予測可能になるでしょうし、それによって
大切な人命が損なわれる可能性も下げることができるのです。
ネットワーク環境が充実し、センサーの性能が上がり、IT化コストは全般に下がる。これが今のITの傾向ですから、発想を変えれば今以上に充実したサービスを提供することは不可能ではありません。無駄な労力や復旧にコストをかけるよりも、それが起こらないように事前に労力とコストをかけて準備することも、新しいITをベースとした社会を構築する上で大切なことと私は考えています。
政治が変わるこのタイミングだからこそ、今後の大きな被害と復旧のコストを下げる意味でも、予防的な仕組みを作りはじめるきっかけが生まれて欲しいと私は切に願っています。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・アジア、3割超す伸び データセンター需要拡大 クラウド浸透今後も積極投資 映像配信も有望
・就活支援「延長戦」に 震災で企業の選考遅く 就活時期、一ヶ月遅れに
・新入生全員にiPad そう加除したんだい 就活や授業に活用
・中国に大規模集積拠点 中小の車部品・設備メーカー まず年内20社 単独より負担軽く
・中国、アフリカ独占 黄信号 投資環境リビア政変で一変 先進国と連携加速も
・モバイル向けウィルスの3分の2 アンドロイドを標的に 自由な配信環境つく
・業務コンテンツ配信システム インフォテリア タブレットに乗る ビジネスの場、ペーパーレス
・アルツハイマー病 降圧剤で進行遅く 熊本大 原因物質の働き抑制
・電子薬歴システム開発 三菱電機・アイン 調剤薬局向け レセプト情報も
・ICタグ、滅菌器で溶けず 凸版 試薬容器・鉗子向け
・ビッグデータ クラウドで分析 富士通 来年から提供
・企業の重要情報、分散保管 米オーエスネクサス アマゾンの世界5データ拠点活用 日本でソフトト発売
・4人モデルで425万円 東電、原発事故の本補償を公表 8月末までの初回分 10月に支払い
・大林組、サーバ冷却体感 電力消費25%抑制 展示場で販促 ゼネコン、データ拠点に的
・スマホ、日本語話すと英訳 富士通研 精度1.5倍、会話簡単に
・ミクシィ、企業に開放 フェイスブック型「ページ」導入 ビジネス利用誘致合戦へ
・事務機、クラウドに活路 需要創出へ新サービス 富士通ゼロックス ソフト機能、無償提供
・インドネシアに現地法人設立 NTTデータ
・在宅患者、スマホで支援 千葉県がんセンター 今冬にも試験運用 健康状態毎日チェック
・液晶再編、起点はアップル 東芝・日立・ソニー、新会社発表 日本の虎の子技術に買収提案
・スマートシティのIT市場15年予想は6043億円 IDCが上方修正
・ソニー、モバイル展開急ぐ 新タブレット、ドコモから ウォークマンにグーグルOS
・500円で無料 オフィス用品配送 大塚商会、顧客囲い込み
・ANA、ネット予約に高速DB 混雑時のエラー防ぐ 仮想化技術でサーバー「増設」
・心身の病気、農作業で克服 復職中のITエンジニア向け 熱海市、NPOなどと連携
・リズム時計、「高収益」学ぶ 中小の端子メーカ買収 効率生産や選別受注を肌で
・ダイソン「独創は失敗から」 結果急がず 異分野への関心常に
今週は、どんな一週間なのでしょうか。