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 October Second week

 世界のカリスマが、この世を去りました。

 彼の名は、スティーブン・ポール・ジョブズ。数奇な人生をおくりながらも、その天才ぶりを遺憾なく発揮し、世の中を変える発明を次々と生み出してきました。傲慢で最低な人間と揶揄されながらも、その信念を曲げることなく次々と画期的な製品を世に送り出し、世界の人々に、そして世界の企業に大きな影響を与えてきました。自らは高い技術力を持っていたわけではありませんが、ITの未来を見通す先見性と、それを社会にまで影響させる高いビジネスセンス、そしてなにより何事にも妥協しない強い意志が彼の持ち味でした。彼の死に哀悼の意を表するとともに、竹馬の友であったスティーブ・ウォズニアック氏の心中を察します。

 彼がこの世を去る日、まさに彼が世界を変えたスマートフォンの新機種が発表されました。発表前の噂では完全新機種のiPhone5ではないか、と予想されていましたが、現実はマイナーチェンジ版である4Sであり、期待を外された多くのユーザから失望の声が聞かれました。ところが彼の逝去の後、この製品は意図的に発売されたのではないか、という憶測が生まれています。すなわち、彼の最終作ともいえるiPhone4を進化させ、それを彼に捧げることでApple社全員の意思をしめしたのではないかというのです。なぜならば、その製品名が、iPhone 4(for) S(Steve)だからだそうです。

 彼の遺志を継いで、アップルの全社員はチャレンジを続けるのでしょうが、その道のりは平坦ではないでしょう。独裁者ともいえるカリスマの傲慢な辣腕が引っ張ってきた企業ですから、いまさらチーム力を発揮する企業に変わる、というのは難しいかもしれません。仮にiPhone4Sが本当にそのチーム力の結果とすると、日本の家電メーカと同じ発想の製品になった のかもしれません。従来の製品の不足部分を改善し、さらに高い技術を搭載する。カメラの画素数や処理の速度などは、日本の家電品の新製品発表 をイメージさせました。音声認識の技術も、こういうことができるようになったというギミックに過ぎず、ライフスタイルの変革を惹起するイメージを プレゼンテーションで上手く伝えられませんでした。2年に一度の新製品発表、その間に一度のマイナーチェンジ。これがiPhoneを初めとしたApple社の標準のライフサイクルですから、今回の件もルーチン ワークであり、その意味ではマイナーチェンジでもいいのかもしれません。しかし世界は、会社のルーチンワークではなく常に新しいインパクトを渇望しているのです。逆に その期待以上の速度、衝撃度で製品を出し続けたからこそ今日のApple社があるので す。なぜなら、ウォークマンなどで世界を変えたにもかかわらず、顧客の期待を下回る企業の自己満足のような製品を出しはじめたときに、日本の製品の凋落が起きたと考えられる からなのです。

 皮肉なことに、多くのエコノミストの読みを大きく外し、iPhone4Sは大人気機種となったようです。しかしながらそこにも、スティーブ・ジョブス氏の最後の影響力を感じざるをえません。世界を変えたカリスマは、最後に自分の死をもって新製品のプロモーションを行い、伝説とともにiPhone4Sを最後の名機として後世に語り継がせるのでしょう。

 Apple社の道は、ジョブズの遺志を継いだApple社が切り開いていくものかもしれません。しかしながら、その製品の素晴らしさとその先進性を知っている我々日本のIT技術者も、彼の遺志を引き継ぐべき技術者の一人 のように私には思えます。彼は日本の文化を愛し、日本の高い技術を評価していました。日本の職人技を認め、自社の製品のあちらこちらにさりげなく利用してくれました。我々の持つ文化や技術を高く評価してくれ、我々が全世界に誇るべきものがあることを教えてくれました。

 スティーブン・ポール・ジョブズ。享年56歳。我々IT技術者のあこがれであり、全世界の若者のアイコンでした。こうしてアップルが終わり、そしてアップルが始まります。

 そして世界は、新たなる創造者の出現を待ち望んでいます。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・施設点検、スマホで楽に 応用技術 ゼネコン向けソフト 道路や橋梁の画像・現況を即送信
・業務プロセス可視化 大日本印刷・日本オラクル 作業の「ムダ」助言 企業の販促活動支援
・ARサービスに本腰 KDDI 教育や環境、多分野で
・ビッグデータ、戦略の中核に 米ガートナー、12年の注目技術発表 経営への生かし方重要
・主要企業が内定式 楽天、外国籍の新卒目立つ
・新ステージ、クラウド勝負 SCSK データセンター60億円投資
・加賀電子、情報家電5機種 防水タブレット・映像プレーヤー 自社で企画・開発
・野村総研 インドにコンサル現法 日系企業の進出支援
・LCC、タクシー間隔で 日航と全日空 自ら参入、海外勢に対応
・「家ごと省エネ」競演 CEATEC2011 スマートハウス
・5億件の分析、5秒で 独SAP ビッグデータ処理、メモリー活用
・携帯向け新放送「モバキャス」 来春、ドコモが対応スマホ 記憶媒体に番組蓄積
・スマホ修理店、米で急成長 流行ウオッチング 手ごろな価格で素早く
・スマホ導入、コスト半減 新日鉄ソリューションズ 企業向け
・映画視聴、主戦場は「配信」 米国 値上げ不評、会員流出
・ストレージ、買収合戦 ビッグデータ時代に布石 分析ソフトなど焦点に
・朝日ネット、米で本格販売 クラウドが他大学教育支援システム リポート提出や成績通知
・歩き方から個人認証 農工大が開発 事前に登録して照合 識別率7割以上
・中国の外資系飲料各社 干ばつで水使用量削減 北部の不足度「危険水域に」
・アップル神話 舞台は中国 iPhone4S発表 言葉を理解 AI受け答え
・ジョブズ氏死去 アップル創業者、56歳 非凡の情熱家
・iPhoneなし ドコモに重圧 LTE注力、速度PR 端末戦略、見直しも
・UBIC、クラウド提供 「電子証拠提示」対応ソフト 世界のデータ、一元管理
・千葉の産婦人科、iPadシステム導入 育児法など収録、動画も
・空き時間狙う短編映像 通勤・帰宅途中や就寝前 視聴者の裾の広げる
・静岡方面から都心への高速バス 渋滞時、用賀で鉄道に 首都高、18路線対応

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。