先日ある講座で、何気なく「新聞を購読していない人」という質問をしてみました。平均年齢が30代の講座でしたので、おそらく2〜3割いるだろうと思っていましたが、なんと半数以上の方が新聞を購読していないという私にとっては衝撃的な結果がでました。
もともと新聞は、テレビやラジオに比べて即時性が低いという欠点がありました。しかしテレビはタイムテーブルに縛られるため、即時性はあってもユーザにとっては自由度が低いメディアでもありました。したがって即時性の観点ではテレビやラジオのニュースが、自在に情報を収集できるという観点では新聞という具合に、それぞれが両立する関係にあったといえます。
しかしながらインターネットの普及によって、ニュースを自在かつ即時に検索することが可能になり、テレビやラジオのニュースの即時性は失われました。インターネットにより、好きなときに好きな情報を収集できることからタイムテーブルの問題はなくなりましたし、音声や映像に縛られない分、より効率よく早く情報が収集できるようになったのです。(音読と黙読では、黙読のほうが情報収集スピードが速いということです) さらにそこに示されている情報は基本的に無料であるため、即時性も低く有料である新聞の存在価値が失われてしまったのでしょう。
この状況はある意味仕方ないのかもしれませんが、それでもやはり危惧感を抱くのは年齢のせいなのでしょうか。新聞というオールドメディアは、あの広い紙面に多くの情報を列挙してありますので一覧性が非常に高いのが特徴です。さらに人間の目はその中から瞬時に情報を拾い出す力を持っていますので、情報提供力が極めて高いメディアのように思えます。さらに情報を得る際に基本的に読者の指向性(知りたいことや興味)は反映されないため、一見興味のない情報も目に入る特徴があります。逆にインターネットは、インデクスのみしか情報を提供しませんので、一覧性は決して高くありません。さらに読者の指向性が反映されるため、得られる情報が偏ってしまうのが特徴といえます。検索の速度は高くても、ある限定された情報しか得られませんので、それによって形成させる意見や考えは、どうしても偏ってしまう可能性もあるのです。
もう一つの問題は、自律的に情報を得る習慣がなくなると、思考力も弱まるということです。インターネットは興味を引く参照情報が沢山列挙されていますので、一つのことを広く深く知るには向いているように思います。逆にそこに示されていない情報については、総合的に考える習慣がなくなります。仮説を立てて検証するためには論理性と発想が必要になりますが、他律的に参照情報が提示されるインターネットでは、その力が醸成されないような気がするのです。となると、私が最近問題提起しているように、若者の考える力がますます低下してしまう可能性があるように思えるのです。
願わくば両者の特徴をもったITデバイスが出現することですが、それにはまだ時間がかかりそうです。逆にこの購読者状況を考えると、新聞社の破綻のほうが近いのかもしれません。新聞の存在価値が薄れるということが、考える機会を失うことにつながるかもしれないこの状況を、どうやって変えていく必要があるのか。
またまた課題が増えてしまいました。
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先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。
・グルーポン上場 米ナスダック 初値、上々の出来 先行きは不安視の声
・スマホ通話 2秒で通訳 ドコモが試験サービス 12年下期の実用化目指す
・タイ洪水・欧州金融 懸念 民放5社 4〜9月は2社増益
・医師のスマホ所有28% 「いずれ購入したい」は45%
・工作機械2割 3500台被害 タイ洪水 日本勢納入分 更新などに時間
・携帯プレーヤー充電不要 ゼンマイ自動巻式進化 タキオン実用化へ
・ITインフラ企業拡大 新日鉄ソリューションズ 基幹システム構築、容易に
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・ロボットスーツHAL 放射線防護服の重さ軽減 サイバーダイン 1時間30分稼働
・携帯メーカー、海外に活路 シャープ:中国、インドを開拓 NECカシオ:欧米向け新カラー
・図書館の貴重文書 凸版、安価に電子化 検索条件自由にクラウドで保存 活用法も支援
・高齢者通院、スマホが案内 東芝、ソフト開発 ルート表示・持ち物確認も
・ベネッセ、海外展開加速 中計で売上高比率25%に 中国の通信教育 全土で拡販目指す
・オリンパス 20年の病 巨額損失隠し 「密接」歴代トップ情報管理 企業統治に疑問根強く
・M2M 機器間通信、用途多様に 日産:危険箇所を検知、警告 清水建設:ビルの劣化、遠隔監視
・海外事業100億ドル 1年前倒し達成 NTT今期予想 システム事業が好調
・ネット攻撃 鉗子事業拡大 ALSOK、米社製装置を運用 他代理店の顧客も対象に
・システム見直し助言 日本HP 成功事例など紹介
・駅周辺、保育所を積極展開 東京メトロ 東西線原木中山に3施設目 若年世帯、沿線に呼び込み
・トヨタが描く農業再生 収穫→出荷、リードタイム短く 「ムリ」「ムダ」なくし作業を楽に
・クラウド攻撃 被害拡散 富士通の電子申請サービス標的 利用自治体一斉ダウン
・52型ディスプレイ 水平に設置 NEC、会議向け端末 タッチパネル式
・金融向けITで協業 CTCと日本MS
・コダック、赤字170億円に拡大 7〜9月 デジタル転換、正念場 特許・非中核売却、市場冷たく
今週は、どんな一週間なのでしょうか。