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Weekly report
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 November Fourth week

 アップル社の新時代が始まったようです。

 先週15日、ジョブズ氏逝去の後空席だった会長席に、バイオベンチャーの元CEOアーサー・レビンソン氏が就任しました。さらに取締役に、ウォルト・ディズニー社長のロバート・アイガー氏も就任し、アップル社の取締役会のメンバーとなりました。これまでもアップル社の取締役会にはアルバート・ゴア氏など米国大手企業のCEOや元CEOなどが就任しており、ティム・クック氏と8名体制で会社を運営していくようです。

 プロジェクトマネジメント的に考えると、スティーブ・ジョブスという不世出のプロジェクトマネージャがたった一人で引っ張てきたプロジェクトを、ティム・クック氏がプロジェクトマネージャ、その他取締役会がプロジェクトマネジメントオフィスとして運営する体制に変化したことを意味します。すべての意思決定を優秀な一人のプロジェクトマネージャが行うのではなく、経験豊富な支援組織と相談しながらプロジェクトを運営するこのスタイルは、まさに現代のプロジェクトマネジメントのあり方のようにみえます。

 しかしこれは、製品のスタイルが芸術品や工芸品から工業製品に変わることを意味します。一人の美意識が隅々まで行き届くからこそ美しさは生まれるのであり、一切の妥協のないモノ作りが人々を引きつけます。完璧な夢を、完璧なまでに仕上げるためには、一切の妥協も一片の余分もすべて削ぎ落さなければなりません。どんなに意味があっても、完璧を目指す。現状に不便が生まれても、未来を信じて完璧を期する。これが芸術品の特徴といえるのです。

 逆に合議による多くの人間のアイディアの総体は、ともすれば総花的な製品やサービスとなり、万人を満足させます、しかし万人が満足するがゆえにファンは作らないモノ作り、すなわち代替製品の存在しうる環境を生み出してしまうのです。代替品が存在するならば、基本的な競争要因は価格になりますし、価格競争が生まれればますます、製品は総花的になっていきます。かつて日本のメーカーが付加価値の名のもとにとったやり方であり、結果として中国などの安価な製品に負けてしまうのです。

 オンリーワンを、誰の手にも届く価格で。

 これが最近のアップルの素晴らしさでした。逆に、気に入らない人は他の製品を買えばいい。この傲慢とも言える姿勢がジョブズ氏の特徴でした。オンリーワンを出し続け、アップル社がかつての日本企業の轍を踏まずにすむのか、これが新経営陣に対する興味であり、その意味でアップル社から当面動向に目が離せなくなりました。

 ジョブズ氏の最後の夢は、テレビの再発明だったようです。画期的な、誰もが驚くような、そして誰もが批判するような製品を生むことができるか。万人に迎合せず、理想を貫く。オンリーワンが、オンリーワンを生む。

 ティム・クック氏の手腕が試されようとしています。

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・次世代都市 省エネ総力戦 ダイキン:空調含めビル全体節電 安川電機:インドで省電力用部品
・スマートシティ 米2社先行 IBM:課題解決能力に強み GE:世界中のVBと連携
・基幹業務、クラウドで 地方金融機関向けシステム ISID、コスト3割低減
・部品に託すソニー再生 CMOSセンサー スマホ需要急拡大 不振のTVとは一線
・端末メーカー、ずれる思惑 携帯向け新放送、来春スタート 日本独自の仕様に懸念
・データセンター、外気で冷却 さくらインターネット
・非接触IC決済の実験 ソフトバンクなど5社 スマホ向け
病院の受け入れ迅速に OKIIが救急搬送支援システム 空き病室、医師・患者の状況 一元管理、選択肢示す
・孤高シャープの勝算 中小型液晶 3社統合 省エネなど技術先行 アップル頼みにリスクも
・スマホガラス 樹脂で代用 日合成 画質を守り軽量化
・先端技術で「渋滞ない道」 日産:IT駆使、北京で緩和実験 三菱重:車両に自動課金、進化探る
・賢い家電、主役はセンサー 「寒暖」「エコ」判断し最適動作 東芝HAやパナソニック
専門医でないと見落としがちな初期段階の心臓疾患が見つかる次世代聴診器を開発 英クィーンメアリー校
・ジョブズ後支える8人 アップル取締役人事 路線の継承示す 会長にレビンソン氏のチーム維持を象徴
・高輝度電子ペーパー 工場の指示、カラーで 凸版
・事務機6万台運用保守 富士ゼロックス、豪で受注
・患者の映像、救急車から 高知医療再生機構(高知)
・冬の節電 家庭動かせ「でんき予報」では物足りない NTT系やKDDI 節電に応じポイント付与

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。