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 January Fourth week

 イタリアで信じられない事故が起きました。

 4000名以上の乗客を乗せた豪華客船が座礁し、数時間後に転覆しました。事故の原因は、船長の軽いノリだというのだから驚きます。出航後に乗組員の出身地である島があったため、その乗務員の友人に勇姿を見せようと航路を大幅に逸脱して沿岸を航行したそうです。その場所が沿岸から数百メートルという非常に浅いエリアだったため、岩礁で船底を大きく傷つけ沈没する結果になりました。岸から 近い場所で起きた事故であり、さらに様々な小型船舶が往復して乗客を救助したため死傷者が少なかったこと が救いですが、それでも10名以上の方が命を落とし、いまだに20名以上の方が行方不明となっています。

 今回の事故は明らかに人災であり、船長やスタッフの対応に大きな批判がでています。いち早く事故の状況を知った船長は乗客をおいてさっさと逃げ出し、その後沿岸警備隊の再三の命令を無視して船には戻らず安全な島に居座ったからです。 スタッフも避難誘導をほとんどせず、 驚くことに大半のスタッフは乗客を残して逃げてしまったそうです。さらに救命用ボートも錆び付いて着水できないものもあったようで、安全管理に大きな問題を残す結果となりました。

 豪華客船の旅は世界的なブームであり、豪華なホテル住まいをしながらさまざまな名所を訪問できるという大きな魅力があります。 映画館や劇場など数多くのアミューズメント施設もそろっており、一つの街と同じような規模の設備があります。それらのサービスを提供するためには乗客と同数程のスタッフが必要となるため、莫大なコストがかかります。そのため多くの豪華客船が大型化しており、 相対的にスタッフ数も非常に多くなります。もちろんその中には直接船の航行や安全に関わらないスタッフもいますが、それでもスタッフである以上 乗客の安全に関しては十分な教育と訓練を受けていなければなりません。

 ところが今回の客船はスタッフに対しそういった教育・訓練を実施することを怠っていたようであり、これが大きな被害を生む原因となりました。出航して3時間後であったとはいえ、24時間以内に実施すべき避難訓練は実施されておらず、 さらにスタッフの多くは避難手順を具体的には理解できていなかったようです。それが避難の遅れ、ならびに乗客が残ったまま浸水による転覆という事態を生んでしま ったのでしょう。

 このようにこの事故はまさに人災でしたが、それでも我々に大きな教訓を残しました。それはコスト削減の中で様々な仕組みがハイテク化したとしても、最終的にそれを動かすのは人間であり、その教育・訓練を含めた様々な 人間の意識向上に対する施策がなければ安全を確保できないということです。福島の原発がそうであったように、ハイテクによる安全性を過信すると、人間の知恵をなくす結果に結びつきます。いかなるテクノロジーも、設計以上の機能を発揮することはできませんが、人間は最後の最後まで新しい知恵を生み出すことができます。その知恵を創出するためには、普段からの地道な教育・訓練が必要であることは間違いありません。

 かつて最新テクノロジーの粋を集めたアポロ13号が、宇宙で事故を起こしました。酸素や電源が危機的状況になり、地球生還のためにあらゆる手段が講じられました。その中で船内の二酸化炭素を収集する酸化リチウムフィルターが使えなくなったときに、限定された時間の中でNASAの技術者があり合わせの道具を使って規格の違うフィルターを利用できるように改造し、乗組員の生還を助けたことがありました。最新テクノロジーが使えなくても、 船内に残ったガムテープやボール紙、ビニール袋で代用できる道具を、限られた数時間で技術者は作り出すことができたのです。今の技術者に、このような知恵が本当に生まれるのか、我々は再考する必要があると思われます。

 テクノロジーの進化は、我々の生活を便利で安全にします。しかしその裏で、我々人間が本来もっている本能の働きを弱め、思考力も低下させる危険性があります。だからこそテクノロジーを否定するのではなく、人間の本能や脳の働きを活性させ、よりよいものを生み続ける力をつけることが、現代の我々に求められいるのです。

 この事故を単なるラテン人種の怠慢と片づけることなく、我々の問題として真剣に考えることが求めれている気がしてなりません。 

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 先週面白かった日経産業新聞の記事は、以下の通りです。

・双方向番組 どこでも mmbi テレビと融合、長所生かす
・2012業界展望 システム構築 回復、BCP関連増える
・企業の社内便 追跡・管理 ヤマトHD 専用封筒・箱使い紛失リスク減少
・家庭用ゲーム機の反撃 年末年始商戦プラスに 3DS・PSヴィータ効果で ソフトでSNS型に対応
・ビッグデータ分析、日本で展開 アクセンチュア、専門部隊
・課金システム、半額に NEC、SAPと提携 クラウド使い
・広がるゲーミフィケーション ゲーム感覚で商品販促 社員のモチベーションも向上
・職種転換を支援 IPイノベーションズ IT向け プログラマー対象に講座
・「かき混ぜ」の常識破り 羽なし攪拌機 泡立ち・異物混入防ぐ 塗料・食品・金属・・用途広く
・日本コクレア製人工内耳 MRI時、除去不要に 厚労省認可
・コンサル部門再編 日本IBM、担当を明確化
・企業の研究費、3年ぶり増
・医療機関に情報共有ソフト サイボウズ 空ベッド把握 急患対応
・監査制度の"限界"露呈 オリンパス調査委、責任認めず 不正の兆候 強制調査はできず
・PC作業 簡単に自動化 NTT 事務の捜査、記憶・再現 プログラミング知識不要
・米ネット規制、広がる講義 ウィキペディア、英語版一時停止 業界、過度な監視懸念
・「ソフト食」」高齢者に好評 外見ほぼ同じでも食材柔らか 介護施設 受託地域拡大を検討
・富士通、余剰SE変身作戦 クラウド時代、3万人職務見直し 他社は人員削減も
・ハドソン ゲーム盛衰映す ブランド残しコナミに吸収
・建設現場 iPadで進化 電子図面で施工管理 大成建設:下請けと情報共有
・東南アでシステム構築 TIS シンガポールに現法
・変われなかった100年企業 コダック 米破産法適用を申請 日本勢に遅れ、知財に頼る

 今週は、どんな一週間なのでしょうか。